第13話 守る者 貪る者 稼ぐ者
今日のツェンタリアさん
「ネコミミは友達から借りました。サキュバスのさっちゃんと言ってとってもいい子なんですよ。いつか本編にも出てくるかもしれませんね。ちなみにシッポがどう付いていたのかについてはお答えすることは出来ません。ただひとつ言えるのはそれを説明してしまうとこの小説がR-18になるかもしれないということだけです」
「成功を願うだけではなく失敗も考えてフォローを入れる懐の深いトレイランツ様が父親だからこそノイ様もまっすぐ育ったのでしょうね。ただ、トレイランツ様達の話をしている時のご主人様の顔が寂しそうに見えたのは私の気のせいでしょうか?」
●依頼内容「デンケの森に大量発生した生物の駆除」
●依頼主「エアルレーザー王子エアフォルク」
●報酬「1万W」
朝、俺とツェンタリアは道を急いでいた。
「モゴモゴモグモグモググ!」
「モキュモキュキュモッキュンキュン」
トーストをくわえた俺が「こんな日に二人して寝坊とはついてないな!」というと、卵焼きを食べているツェンタリアが「やはり昨日は深酒が過ぎましたね」と頷く。
「モグモググ、よしっ急ぐぞ!」
「はい、ご主人様!」
朝食を平らげた俺達二人は速度を上げる。ちなみに朝食を走りながらだったが着替えはちゃんと(?)家でしてきた。今日のTシャツには【まるい】と書かれている。
「酒かっくらう無法者の真似なんてするもんじゃないねぇまったく」
「ご主人様は飲むに飽き足らずワインを浴びてましたからね」
ツェンタリアはすまし顔だが俺は知っている。昨日の夜、俺が飲みを切り上げた後でツェンタリアが「酔い足りないですね」と言ってワインで満たされた浴槽に浸かっていたことを。
「どうしました?」
俺の視線から何かを察知したツェンタリアが疑問を投げかけてくる。ここで「牛飲馬食って言葉が有るがツェンタリアの場合は馬飲馬食だよな」などと言うほど俺も愚かでは無い。「いや、なんでもない。今日もツェンタリアはかわいいなって思ってな」と答えてお茶を濁そうとする。
しかし、さっきのモグモグ会話でも意思が通じる俺達だ。当然ツェンタリアには何を考えているかバレバレである。ただまあ例え考えていることがバレたとしてもツェンタリアがワイン樽をカラにしたのは事実なので責められることはない。
その変わりツェンタリアは俺の冗談にボケを被せてきた。
「ご安心くださいご主人様、お酒を飲んだ馬の肉は美味しくなるのですよ」
「それ牛じゃねぇの?」
「……馬もきっとそうですよ。なんなら今夜お試しになりますか?」
しなを作るツェンタリアを無視して遠くを眺める。
「お、見えてきたぞ。あれがデンケの森だな」
「ご主人様聞いてます?」
「あー聞こえてる聞こえてるヨモギ団子美味しいよな」
俺は意図的に頭を仕事モードに切り替えながら生返事をする。聞こえてるとは言ったが、聞いた言葉を頭で理解しているとは言っていない。
◆◆◆◆◆◆
「今日の依頼は何でしたっけ?」
「エアルレーザーのデンケの森に大量発生した生物の駆逐だな」
「何の生物なんでしょうね?」
「カーカラックじゃなけりゃいいんだがなぁ」
「ウフフ、だとしたら今回は私も腕を振るわせていただきますね?」
俺とツェンタリアは二人で森を歩く。木々の隙間から日光が降り注ぐデンケの森は普段ならウォーキングに最適なのだろう。歩きやすいように板が敷かれて小道が作られている。
そんな森を警戒しながら歩くなんてのは無粋だが、仕方ない。
「きれいな道ですね」
「そうだなぁ」
「いつか私とご主人様がお爺さんとお婆さんになってもこうして歩きたい」「ワンッ!」
「なんだツェンタリア、ネコミミの次は犬耳か?」
「ち、違います。本物ですよ」
「おいおいこんな森に犬なんて……「ワンッ!」いるなぁ」
振り返るとそこにはまさしく犬がいた。ツェンタリアの脛くらいの高さに頭がある仔犬である。
「お、なんだなんだ?」
その仔犬は俺の足元に来て尻尾を振っている。
俺に対する動物の反応は二種類に別れる。①メチャクチャ敵視される。野生の本能が標準装備されている竜人は俺を苦手としている者が多く。中にはジーンバーンのように俺を蛇蝎の如く嫌っている奴もいる②メチャクチャ好かれる。ツェンタリアやノイがコレに当たる。そしてこの子犬はどうやら後者のようである。
「ウフフッご主人様懐かれてますよ」
「よっこらせ、雌か」
「キャンッ!?」
俺は犬を抱き上げて下腹部を観察する。それを聞いたツェンタリアが固まる。
「……ご主人様危ない!」
「おおっとぉ!?」
ブォンと俺の手のあった場所を空槍ルフトが通り過ぎる。ツェンタリアの奴め、俺の手を切り落とそうとはどういう了見だ?
「血迷ったか!?」
「血迷ってるのはご主人様の方です。さあ早くその危険な犬を渡してください」
ツェンタリアは目を爛々と輝かせアルカイックなスマイルを浮かべる。仔犬はその殺気を感じ取っているのか震えている。
「危険ってんなバカな、何を言って……」
どうひいき目に見てもツェンタリアの方が血迷っているようにしか見えないのだが、それを指摘するとますますヒドイ事態になりそうなのでグッとこらえる。こういう手合いにはまず相手の要求に頷いてやることが先決だ。
「OK、渡す」
「ご主人様っ!」
ツェンタリアの表情がパァっと明るくなる。それを見て俺は「ただし!」と断りを入れる。
「な、なんですか?」
「質問に二つ答えてもらう、いいな?」
「……はい、わかりました」
頷くツェンタリア。よしよし、こういう時はとにかく簡単な要求でも良いから頷かせて相手の理性を回復させるのだ。
「1つ目、なぜこの犬が危険なんだ?」
「そ、それは狂犬病や他の病気を持っているかも」
もう既にこの時点でアウトなのだが、敢えてツッコまずに俺は「そうか」とだけ答える。仔犬に噛まれるような俺じゃないことは他ならぬツェンタリアが一番良くわかっていることだ。
「……」
俺は無言でツェンタリアを見つめる。ツェンタリアは、ばつの悪そうな顔をしている。それはそうだろう。俺が反論していたら頑なにもなれたのだが、肩すかしを食らって興奮している自分の姿を自覚してしまったのだから。
しかし俺は追求の手を緩めない。容赦なく次の質問をツェンタリアにぶつける。
「2つ目、渡された仔犬をどうする気だった?」
わざわざ過去形にしてるのはもうツェンタリアの目には理性の光が戻っていることが確認できたためである。その証拠にツェンタリアも「ウッ……」と言葉に詰まっている。
「……大丈夫だよな?」
俺はダメ押しで念を押す。するとツェンタリアは諦めたのかシュンとして頷いた。
「はい、大丈夫です。きっと」
「よーしそれじゃあ……パースッ!」
被告の返事を聞くが早いか俺は仔犬をツェンタリアに向かって(優しく)投げる。
「え、あっご主人様!?」
俺は右手をスナップさせる。そして泡を食って子犬を受け止めているツェンタリアの上を飛び抜けた。
『……ッ!?』
跳躍の先にいたのは、たぶん今回の依頼で指定されてる生物だ。木の上からぶら下がりツェンタリアの頭を狙っていた。
「不意打ちとは良い判断だな畜生」
すれ違いざま木刀でその生物を真っ二つに分断する。ちょっと遅れて振り返ったツェンタリアが見た物はビチビチと跳ね回る真っ黄色の芋虫の姿だった。
「ご主人様、それは!?」
「特級害虫のバンヴィアだ。発達したアゴで葉っぱどころか木ですらバリバリ食べちまう。今回の依頼で言われていた生物ってのはコイツのことなんだろうな」
「に、人間も食べられてしまうのでしょうか?」
「安心しろ。人間や犬がバリバリされることは無い」
「あ、そうなんですか。安心しました」
「四肢を砕かれ卵産み付けられて苗床にはされるだけだ」
「まったく安心できないじゃないですか!?」
モゴモゴ動いていたバンヴィアが力尽きて土に溶けるのを見届けたあと俺は解説を続ける。
「そう、その通り。まだ安心はできない。このバンヴィアの厄介なところは二つある。一つはつがいのムカデのように仲間がやられたら復讐に来ること……」
「あ、確かに周りの木の上から殺気が向けられてますね。それも……」
勘の良いツェンタリアはすぐに気づいたようだ。バンヴィア共の放つ殺気と、俺達を五重にも囲んでいるその膨大な数に。
「ツェンタリア」
「はい」
「頼むぞ」
俺とツェンタリアが削るところのない会話を終えた次の瞬間、ザアッと木の上からバンヴィアが降ってくる。その数およそ三十匹。
「さっきの特徴の続きだ。もう分かってると思うが繁殖力が馬鹿高いんだよこいつらは!」
俺はバンヴィアが地面に降り立つ前に十体を斬り伏せる。振り返るとツェンタリアはバリアを張ることに成功したようだ。半径3メートルほどの薄い炎の幕がツェンタリアを丸く被っている。
「しばらくそのままでいろよ。こいつらメスとか子供とか弱いやつ奴を優先して狙うからな」
「つまり、ご主人様ですね?」
「ハッハッハ、ナイスなジョークじゃねえか」
ツェンタリアの言葉に苦笑しながらも更に十体を斬り伏せた。
「まさかとは思いますがこの子の性別に興味を示したのは……?」
「まあ、そういう事だ」
数が多く組織的に弱いものを狙うというルールに則って動くバンヴィアだが、裏を返せばそうとしか動かない。
つまりその性質を利用してしまえばいいのだ。だから先ほど仔犬の性別を確認した。更に確実に俺が勝てる口論にツェンタリアを誘い込むことでバンヴィアたちの認識を操作したのだ。
こうすることでバンヴィアは①メスの仔犬②弱いと判断した女性のツェンタリア③男性でツェンタリアよりも強い俺、の順番で狙うようになる。しかし、仔犬を持ったツェンタリアがバリアを貼ってしまえばもうバンヴィアは攻撃はできない。
そのためバンヴィアの攻撃対象の優先順位が低い俺は安全かつ簡単にバンヴィアを料理できるというわけだ。……それにしてもリヒテールのオッサンめ。しっかり確認しなかった俺も俺だが、相手が特級害虫バンヴィアだってんなら教えてくれてもいいのによ。
「よし、取りあえず第一陣はおしまいだ」
そう言って俺は残りの十体を斬りつくした。
「さすがですご主人様」
「キャンキャン♪」
俺は一人と一匹の言葉には答えず集中して木々を見渡す。すると赤い点が四十ほど確認できた。それを見て俺は「めんどくせぇなぁ」とつぶやく。
「えーと前々回はダーツ、前回が爪楊枝だったから今回は……」
俺は倉庫の中身を思い出しながら左手をスナップして武器を収納する。
そして少し考えた後「良し決めた」と言って右手をスナップする。次の瞬間、俺の右手に現れたのは何の変哲もない一枚の紙だった。それを見たツェンタリアが首をかしげている。
「ハリセンでも作るのですか?」
「あぁそれも良いかもな。だが今日の武器はこれだ」
そう言ってシパパパパっと手を動かし出来上がったのは紙飛行機だ。
「なんですかそれは?」
「まあまあ見てろって。よーし、よく飛び『よく貫いて』戻って来いよっと!」
その紙飛行機に魔力を付加して俺は赤い点めがけて投げる。紙飛行機が飛んで木々の中に消えていったのを確認した後、俺は振り返って伸びをする。
「よし、これでもう今日の仕事は店仕舞いだ」
「え、本当ですか?」
訝しげなツェンタリアに俺は教師のように人差し指を立てて説明する。
「いいか、この攻撃は俺がどこぞの国の偉い奴を倒すときに使った手だ。ふざけているようにしか見えないが威力は高いぞ」
『……ッ!?』
しばらくすると発声器官の無いバンヴィアが木の上からボタボタと落ちてくる。葉っぱで隠れて見えないが自動追尾する紙飛行機がバンヴィアを倒しているのだ。
「凄い技ですね。でもこんな攻撃は始めてみるのですが?」
「そりゃそうだ。攻撃手段に使ったことがあるのは一度だけだからな」
先ほどから説明しているとおりこの紙飛行機を攻撃手段に使ったのは……いわゆる暗殺を行った時だ。
この攻撃の特徴として、良くも悪くもふざけているようにしか見えないと言う点がある。暗殺するときにその点を利用したのだ。
具体的には殺した後、すぐに新聞記者を現場に踏み込ませ取材させた。結果として重要な人物が紙飛行機で殺されたとは言えない敵国は不慮の事故として処理せざるを得ず。暗殺を行った後で一番面倒になる世間からの非難を封殺したのである。
ちなみにその時俺は17歳で、作戦を考えたのはリヒテールだった。ほんと今思うと何やらせてくれてんだか。
「さて、終わったな。ツェンタリア、ちょっと借りるぞ」
しばらくして紙飛行機が戻ってきた。俺はツェンタリアのバリアから少しの火種を拝借して紙飛行機を燃やす。
「証拠隠滅も楽なのですね」
「ああ、便利だろぅ?」
◆◆◆◆◆◆
「繁殖力が強いとは言えバンヴィアという生物あんな簡単に増えるものなのですか?」
俺とツェンタリアと仔犬は生き残ったバンヴィアがいないかを確認するために森を歩いていた。しかし、バンヴィアはよっぽど仲間意識が強いのか、あの戦いにこの森にいる全てのバンヴィアが集って来ていたようだ。今に至るまで俺たちは遭遇すること無く平和に歩いてきている。
「さすがに良いところに気づくなツェンタリア。いくらバンヴィアが爆発的に増えると言ってもアレは増えすぎだ」
そこで俺は意図的に言葉を切った。バンヴィアは動物の死体を苗床として増える。つまり、この森の何処かでバンヴィアが大量に増えるための苗床を見つけたという事なのだが……。苗床にされた生物の死骸というのはあまり見ていて気持ちのいいものではない。
「ワンワンッ!」
いったい何が苗床になったのかと思案していると仔犬が急に駆けだした。
「あ、ちょっと」
「待てツェンタリア!」
ツェンタリアが走り出したところを俺が制止する。今更ながら全てを理解することができた。
「ここからは俺だけでいく」
「なぜですか!?」
早く追いかけたいツェンタリアが俺に非難の目を向ける。だがしかし、ここで折れるようなら最初から止めはしない。俺はもう一度、真剣に頭を下げる。
「……頼む」
「……」
当然ツェンタリアは納得していない。しかし、道を開けてくれた。
「すまんな、だけどこういうのを見る人間は少ない方が良い」
そう言って俺は仔犬が走り去った方角へ歩き始めた。
◆◆◆◆◆◆
「まったく俺もヤキが回ったもんだ。デンケの森には守り主がいるって事を忘れるなんてな」
そんなことを呟きながら歩いて行くと広場に出る。いや、ここは広場では無い。少し前まではここも木の生い茂る場所だったことがそこらにある切り株からも分かる。この広場でバンヴィアが生まれ、育ったのだろう。
そして、その広場となった場所の中心にデンケの森の守り主の子、小さな……犬ではない。オオカミがいた。
「……それがお前のかあちゃんか?」
「ウォーーォゥ!」
悲しい時、オオカミは涙を流さない。その代わりに空に向かって吠える。
「ウォーーォゥ!」
「お前のかあちゃんは強かったんだなぁ」
そう言いながら俺はオオカミに近づき頭をなでる。嫌みでは無い。森の守り主が身を挺して我が子を守ったことは骸からでも察することができる。
それはオオカミにも伝わったようだ。ただただ俺に撫でられながら、母だったものを見上げてなき続けた。
俺は「……それにしても」と考える。例えバンヴィアが十分に増えていたとしても、ここまで大きな森の守り主を倒しきることが可能なのだろうか。もしかするとバンデルテーアの遺産であるズイデンのようにバンヴィアの力を強化できるものでもあるのだろうか?
◆◆◆◆◆◆
森の中で探してきた石にカカッと死剣アーレで文字を刻む。なぜわざわざこの剣で文字を刻んだのかと言えば、相手に最大限の敬意を払うためである。
『森の守り主は最後まで勇敢に戦い次代へ希望を託した』
俺は刻んだ文字に脱字がないかを確認したあと左手をスナップ、死剣アーレを収納する。
「さて、これでおしまいだな」
俺は振り返ってオオカミに「お前はどうする?」と聞いた。「ウチに来るか?」と言う意味だったのだが、オオカミは俺を見たまま動こうとはしない。
「そうか、まあ森に守り主がいなくちゃ締まらねぇもんな」
そう言いながら俺はオオカミに近づいて右手をスナップする。
「餞別だ。受け取れよ」
そう言いながら差し出したのはナイフだ。刀身には『辛いときには空を見よ』と書かれている。
「これは昔、俺の師匠から貰ったもんだ。やるよ」
俺の心が伝わったのだろうか。オオカミはそれを口で受け取った。もう一度俺はオオカミの頭を撫でる。オオカミは目を細めた。
「それじゃ俺は帰るぜ、達者でな」
「ワン!」
歩き出した俺の背にオオカミの声が届く。それを聞いて俺は「こりゃこの森も安泰だな」と呟いた。元気の良い返事を返してきたのもそうなのだが、ツェンタリアですら苦手意識を持ってる死剣アーレを見てもあのオオカミには動じた所が見られなかったためである。
あのオオカミ大物になるぜぇ。
◆◆◆◆◆◆
「ご主人様はポーカー強そうですよね。さっきも私の表情完璧に読んでましたし」
帰り道、ツェンタリアと賭け事についての話題になっていた。その中で勝負師というのは顔に表情が出にくいという話が出てからのツェンタリアの言葉である。
「ツェンタリアが顔に出やすい方だからじゃねぇのか?」
「いいえ、普通だと思いますよ……ウフフ、もしもご主人様がそう思ったのなら、それだけよく私のことを観察してくださっているのでしょう」
暗に賭け事に弱いと言われたのだがツェンタリアは何故か上機嫌だ。
「ちょっと待て、それだとツェンタリアが俺のことを全然見てないように聞こえるぞ?」
「ふふ、その通りです。まだまだご主人様の全てを観察はできていませんよぉ」
ツェンタリアはじぃっとコチラを見つめてくる。むぅ、俺の頬が赤くなっているのは夕日の熱のせいじゃないんだろうなぁ。俺は照れ隠しの言葉を探してひり出す。
「ブリンカーでもつけるか?」
「……」
うん、こーれーはー最悪な言葉が出てきたぞ。ちなみにブリンカーと言うのはむこうの世界の競馬で使われている器具だ。性格に難のある馬の視野を狭めるために使われている。
「なんだか分かりませんが、ご主人様のその発言には怒りがわいてきますね」
俺のしまったという表情からツェンタリアは実に正確に言葉の意図を感じ取ったようだ。
「それにしたって空槍ルフトまで持ち出すことはないだろう! 仔犬……じゃなかったオオカミの時と言い今日は軽々しく空槍ルフト出し過ぎだ! それだけ鬱憤が溜まってるのか!?」
「問答無用!」
その後ツェンタリアの猛攻を避けに避けまくって家まで帰ったのは言うまでもない。
こりゃなんかでツェンタリアのストレスを発散させてやらないといけねぇなぁ。
■依頼内容「デンケの森に大量発生した生物の駆除」
■結果「森にいたバンヴィア約50体を駆除した」
■報酬「1万W」
ブックマークありがとうございます。ドラミになりま……ハゲミになります