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第八十一話 皇竜ユィシア

 ミコトさん、名無しさんと館の一室で過ごしたあと、気が付くと夕方が近づいていた。窓から差し込むオレンジの光の中、身支度を整えた二人と共に部屋を出て、クロトさんの居室に向かう。


 最初やってきた時は、どこまでも続いているかに見えた廊下だが、この廊下は不思議なことに、目的地を念じながら歩くとすぐに目的の扉の前にたどり着くという魔術がかけられていた。


「魔法空間……とでも言うのでしょうか。外見よりも随分奥行きがあるように感じましたが、こんなからくりがあったんですのね」

「……小生が、本に魂を吸い込まれる時のことだから、うろ覚えなのだけれど。確かクロトさんは、『女神によって導かれる』と言っていたね。彼女は、女神とどんな関係なのだろうか」


 名無しさんも俺と同じことについて引っ掛かりを口にする。


 クロトさんが答えてくれるのか分からないが、尋ねておきたい。ここでの目的は終えたと言ってもいいが、彼女は自室に戻って待っていると言ってくれたし、訪問しても問題ないだろう。


 ドアを開けると、目の前に広がる光景はまるで博物館のようだった。


 俺たちを出迎えたのは、見上げるほど巨大な鴉の像。その嘴にくわえられているのは、見るだけで寒気がするほどの力を感じる槍だった。


 この像と槍だけではなく、部屋に置かれているものの一つ一つが、他では手に入らないものばかりだと思える。それでもレアリティはレジェンドであり、神器ゴッズではない。


「名無しさん、この女性の像は……」


 ミコトさんが少し離れたところに置いてある像を見上げて言う。台座の上にあるので高い位置にあるが、その女性の像は等身大の大きさだった。


 名無しさんがつけていた『隠者の仮面』は、もともとこの像がつけていたものらしい。像の手に握られている杖も、並々ならぬ装備品であることが見て取れる。


 ――その時俺は、ふとクロトさんの姿を探して部屋を見回し、彼女の存在に気付いた。

 部屋の奥にある窓際に立ち、光を受けて立っているクロトさんは、仮面をつけていないように見える。


 銀色の長いさらりとした髪に、愁いを帯びた瞳。その姿は女神と似ていて、けれど十六歳だった俺より年下に見えた女神よりも、いくらか年上に見える。


 何歳かもわからないし、容姿の通りの年齢でもないだろう。しかしそんなことは関係なく、彼女は一つの完成した美貌を持っていた。


(仮面を、つけてないような……その下に、火傷があったはずなのに)


 そのとき太陽が雲に隠れたのか、窓からあふれる光が薄らぎ、クロトさんの姿の見え方が変わった。


 やはり、仮面をつけている。そして、その下から覗いている火傷のような痕もそのままだ。


「……大事なお話は、もうお済みになりましたか? 良いものですね、人が手と手を合わせて、その道を重ねる瞬間を目にするというのは」

「な、何だか恥ずかしいですわね……本当に大事なことは、まだこれからですのに」


 俺もそうだが、名無しさんが特に照れてしまって、顔を赤らめている。久しぶりに素顔を見せているからか、赤面しやすくなっているみたいだ。


「ん……な、何かな。小生が何か、変なことを想像しているとでも?」

「いや、大事なことって結婚式のことだよな。確かに、それはこれからだから」

「……年下なのに、ヒロト君の余裕がちょっと憎らしく感じるね。それは罪だよ」


 怒った顔も美人だ、というとさらに怒られてしまうだろうか。それにしたって、彼女は思ったより瞳がぱっちりしていて、顔を赤くして怒ると少し幼く見える。


(……理詰めな口調で怒られたりしたら、それはそれでいいかもしれない。何か、新しい世界に目覚めそうだ)


「ふぅ……怒っても迫力がないと言われたことがあるけど、やはりそうみたいだね。どうしたら年上感が出てくるんだろう」

「あなたは今でも立派な大人の女性だと、私は思いますが。私のように、どれだけの時を生きたのかもわからない者が言っても、説得力は薄いでしょうか」

「……耳がとがっていますけれど、エルフなんですの? それとも……」

「エルフとダークエルフに分かれる前の種族……私も、何と表現していいのか分かりませんが。『祖エルフ』とでも呼びましょうか」


 エルフとダークエルフに分かれる前――それこそ、神話の世界の種族。


「……クロトさんは、俺の知ってる『女神』に似てる。どういう関係なんだ?」

「それを言ってしまえば、彼女は怒るでしょうから。今は、申し上げられません……強引にと言うのならば、これからお相手いたしますが」

「クロトさんは、自分の力にとても自信があるようですわね……私の間合いに入っていますけれど、何の脅威も感じていない」


 悔しそうというわけでもなく、ミコトさんはありのままの感想を口にした。


 俺も、クロトさんの力は底知れないと感じている。絶対に倒せないとは思わないが――そんな俺の考えを見透かしたように、クロトさんが俺を見て笑った。


「ええ、ヒロトさんの思う通りです。あなたの持つ斧槍ふそう……巨人の憤怒タイタンズラースならば、私に傷をつけることくらいはできるでしょう」

「……まいったな。俺の全力でもかすり傷だったら、ちょっとショックを受けるぞ」

「それは巨人の使う武器ですから。巨人以上の強さを持つあなたは、相応の武器を使わなければ見合わない段階に来ています。あの鷲がくわえた槍を握り、主として認められたのならば、持っていくといいでしょう」


 それは願ってもないことだった。あの槍を見て、どうすれば同等の武器を手に入れられるのかと考えていたから。


「ギルマスの斧槍より強いなんて……女神の武器を除けば、最強の部類ではありませんの?」

「ミコトちゃんには刀を、名無しさんには杖を差し上げましょう」

「……なぜ、そこまでのことを? 小生は仮面を外すことができただけでも、ここに来て良かったと思っている。そのうえ、装備品まで貰うというのは……」


 名無しさんが遠慮する気持ちも分かる。彼女は敵ではないようだが、この部屋にある宝を俺たちにくれるというのも、都合の良すぎる話に思えるからだ。


「ここに人が来ることは久しぶりですから。そして名無しさんとヒロト坊やは、魂の試練を乗り越えた。ミコトさんはそんな二人を信じて待っていた。私は、あなたたち三人が気に入ったのです。それが理由では、ご納得いただけませんか?」


 武器は強ければ強いに越したことはない。どれほど強くなっても、そこで強さを追い求めることをやめてしまえば、必ず足元をすくわれる。


 そうならないためにも、厚意は甘んじて受けておきたい。何か『坊や』と呼んでくる彼女に甘えているようで、落ち着かない気分ではあるが。


「クロトさん、ありがとうございます。いつかこの礼は……」

「私を敬うような言葉は使わなくて良いのですよ。坊や」

「え、えっと……その坊やっていうのは、ちょっと恥ずかしいんですが……じゃなくて。俺はもう、坊やじゃないよ」


 言葉を切り替えると、なぜかクロトさんは仮面で隠れていない右側の瞳だけで俺を見て、少し目を潤ませた。


「ごめんなさい、いつまでも小さな赤ちゃんだったあなたを見ていた頃の気持ちが抜けなくて。とてもかわいらしくて、とてもやんちゃで……ああ……私もあなたの乳母になってあげたかった」

「う、乳母……さすがにそれは、うちの母さんの許可が必要というか……っ」

「ギルマス、気にするところが違いますわ」

「許可が取れたらかまわないわけだね。まったくヒロト君は、おっぱいに目がないんだから」


(そんなにお姉さんっぽく言わないでくれ、俺はそういうのにとても弱いんだ)


「……私には、子供がないものですから。ゆえあってのことでも、ヒロト坊やを見ていられて良かったと思います」


 少し寂しそうにクロトさんが言う。彼女も、子供が欲しかったのだろうか――いや、そんな詮索をするのは踏み込みすぎだろう。


 しかしこの女神をさらに淑やかにして成長させたような女性を見ていると、初めて女神を見た時の鮮烈な印象を思い出してしまう。


(……変な女神だとは思ったが。掛け値なしに、綺麗だった。クロトさんも、顔の火傷があっても関係なく綺麗だ)


「あ、あの……不躾と承知の上で、尋ねてもよろしいでしょうか。クロトさんのその、仮面は……」

「大昔の古傷です。始皇竜レティシアという名を聞いたことはありますか? 私は、彼女の炎を浴びたことがあるのです」


 ――始皇竜レティシア。ユィシアの母であり、魔王たちも一目置く存在。


 彼女とクロトさんが戦ったことがあったのか、それは分からないが、レティシアの炎を浴びた火傷が今も残っている。彼女ほどの力の持ち主なら、治療できるはずなのに。


 それとも、レティシアの炎の火傷は癒すことができないのか。しかし、先ほど光の向こうに垣間見えたクロトさんの顔には、傷など残っていなかったように見えた。


 クロトさんは目を閉じ、何かを考えているようだった。そしてもう一度開けた時には、俺たちはそれ以上の質問はできなくなった――瞳だけで、十分に感情は伝わる。


「さあ……武器を取り、ミゼールにお戻りなさい」

「……クロトさん、もう一度来てもいいかな。まだ、聞きたいことが沢山あるんだ」


 ◆ログ◆

・あなたは《クロト》に『依頼』をした。


 強いスキルではなく、それはただのお願いのようなものだった。


 拒否されることも覚悟していたが、クロトさんは微笑むと、頷きを返してくれた。


「いつでも来てください。この館は、一人で暮らすには広いですから……ヒロト坊やたちの別荘にしてもらっても構いませんよ」

「……広いから、探索はしたくなるかもしれないけど。ありがとう、また来るよ」


 ミコトさんと名無しさんは、それぞれが装備できる武器を取りに行く。俺は入口にある大鷲のくわえている槍を掴み、力を込めて引き抜く――すると。


 ◆ログ◆

・あなたは『古槍グングニル』を手に入れた。

・ミコトは『三日月丸・おぼろ』を手に入れた。

・名無しは『ハーミットロッド』を手に入れた。


(グングニル……これも、何か秘めた力があるのか。しかし、このままでも……)


 ミコトさんの刀は刀身が青紫色で、抜き放って振ると刀身が見えなくなる。そのままでも強いが、名前通り『忍法朧霞』のダメージを強化する効果があるようだ。


 ハーミットロッドは名前からすると、本来『隠者の仮面』とセットで使うもののようだが――名無しさんもそう思ったのか、呪いの解けた仮面を顔に当ててみて、セットで発動する能力を確認していた。


 この部屋には、他にも無数に強い装備がある。コンプリート欲をむくむくと刺激されてしまうが、自分で手に入れる努力をこれ以上怠るのは良くない。


「……次に訪れるときも、私が私のままで居られるといいのですが」

「っ……!」


 ◆ログ◆

・あなたのパーティは《クロト》によって『転移』を発動させられた。


 クロトさんの言葉の意味を問いただそうとした瞬間、俺たちは新たな武器を手にしたまま、ミゼールのはずれに戻ってきていた。


 今は転移しようとしても、『狭間の洋館』には移動できない。何か、クロトさんの気に障ることをしてしまったのだろうか。


「不思議な方でしたわね……味方のようで、十割そうというわけでもない……」

「何か、思うところがあったのかもしれないね。一度会っただけですべてを理解しようというのは、難しい」

「……そうだな。今は無理みたいだけど、また転移できるようになったら、彼女の館を尋ねてみるよ」


 グングニルは俺の身長より高く、尺は2メートルを超える長物だ。先端の穂先はハルバードに似た形状をしており、柄は細いが見た目以上の強度がある。


「ギルマス、その槍……『グングニル』ってログに出てますけれど、あのグングニルなんですの? 北欧神話の主神オーディンが使う槍ではありませんか」

「巨人の槍より格上となると、それくらいの装備になってくるんだろうね。神話の性能そのものではないかもしれないけど、聖槍以外では最強になるんじゃないだろうか」

「世界は広いし、もっと強い武器があるかもしれない。この槍自体も、本当の性能は発揮できてないみたいだしな……」


 『斧マスタリー』だけでは、斧槍とはいえ性能を引き出しきれないのかもしれない。アンナマリーさんに協力してもらって、槍マスタリーを上げなくては。


「この三日月丸も、シノビのために作られたような刀ですが……グングニルのインパクトには及びませんわね。くやしいですわ」

「きれいな刀じゃないか。このハーミットロッドのフォルムも、流線が多くていいね。やはり強い装備を手に入れると心が躍る」


 こんなに綺麗なお姉さんが、麻呂眉さんとしてコスプレ装備に萌えていたのかと思うといまだにギャップが激しいが、今の発言で完全に同一人物だと認識できた。


「名無しさんは麻呂眉さんなんだな、やっぱり」

「いまさら何を言っているんだい、ヒロト君。小生は小生だよ」

「顔を見せるのをあんなに恥ずかしがっていた人が、もう開き直っていますわ。ヒロトさんの前では女性らしくしないと、優先順位が下がってしまいますわよ」

「い、いや、そんなことはないけど。ミコトさん、大胆だな」


 ミコトさんは着物のような服を着ているので、寄り添ってこられると谷間に二の腕が挟まってしまう。この感触に勝つのは俺には無理だ。


「……嬉しそうだね。でも、小生がいつまでも負けていると思ったら大間違いだよ」

「な、名無しさんっ……」


 ミコトさんに左腕を、名無しさんに右腕を取られる。二人とも、なぜこんなに大胆になってしまったのか――決まっている、婚約者になったからだ。


「やっと、気持ちを隠さずに済むようになったんですもの。少しでもこうしておかないと、勿体ないですわ」

「い、いや、嬉しいんだけど……かなり照れるな」

「ヒロト君には、いつまでもそういう初々しさを残していて欲しいね。もちろん、これからもっと大人になっていくヒロト君を見るのも楽しみだけどね」


 名無しさんは俺の首元に顔を埋めてすぅ、と息を吸い込む。ミコトさんまで同じことをするものだから、しょうがないので二人の背中に手を回し、ぽんぽんと叩いた。


「好きな人の匂いって、何だか落ち着きますわね……」

「際限なく甘えたくなってしまうね。あまりにも我慢しすぎていたんだ、きっと」


 仮面を外した名無しさんは、確かに前よりも心を開いて接してくれていると思う。


 しかしもう何も遠慮する必要がないだけに、二人が離れがたく思ってくれているときに幾らでもその気持ちを尊重できるというのも、悩ましくはあった。嬉しい悩みと言えばそれまでなのだが。


 ◆◇◆


 二人を宿に帰したあと、もう夕方ということで家に向かうことにした。


 すると、家からちょうど出てきたリオナが走って俺のところにやってくる。


「ヒロちゃん、お帰りなさい!」

「ああ、ただいま。もう夕飯の時間か? 今日は食べていかないのか」

「え、えっと……レミリアお母さんはいいって言ってくれてるけど、いいのかな? こんなに毎日、ヒロちゃんのおうちに……」

「遠慮することないぞ。なんなら、泊って行ってもいいしな」

「えっ……い、いいの……?」


 何かリオナが遠慮がちだな……いや、俺が甘くなっただけか。


「……ヒロトがやさしい。今日なら、泊っていってもだいじょうぶ」

「わ、私たちも……お邪魔でなければ、一緒に泊っていってもいい?」


 ミルテとステラ姉が、家の門柱の影から出てくる。少し驚いたが、幼馴染みたちが久しぶりに揃っているのを見ると気持ちが和んだ。


「ああ、二人とも良かったら泊って行ってくれ。ミルテ、ご両親は元気になったか?」

「……うん。お母さんのこと、初めて見た。私のこと、娘だってわかってくれた……お父さんも」


 ミルテはぽろぽろと涙をこぼす。生き別れになった両親に会えたのだから、嬉しいに決まっている。


 ステラ姉がハンカチでミルテの涙を拭く。リオナももらい泣きして目が真っ赤になっていた。


「……お父さんも、お母さんも、おばば様がヒロトのことを話したから、すごく感謝してた。一度、お礼がしたいって」

「分かった、近いうちに挨拶に行くよ」

「アッシュ兄さんも、ママたちもみんな喜んでたわ。町で人気者だったヒロトが、今度は町を守ってくれて……何か、遠くに行っちゃうみたいだって寂しそうだった。そんなこと、ないわよね?」


 いずれ女神の居場所を目指す旅に出たら、ミゼールを長く離れることになる。それが、ずっと気がかりだった。


 しかし今は、転移が使える。戻ろうと思えば、俺はこの故郷にいつでも帰ってくることができる――だから、みんなに寂しい思いはさせずに済む。


「俺はいなくなったりしないから、安心してくれ。ステラ姉こそ、勉強のためにミゼールを離れることになったりしないかな?」

「それは……そうかもしれないけど。私は、ヒロトの役に立てるようになりたくて……」

「……私も。でも、獣魔術だけじゃ、ヒロトにとっては……」

「そんなことないよ。強いことがすべてでもないし、ミルテはまず、家族一緒の時間を大切にしないとな。もちろん、俺ともこれまで通り遊んでくれ」


 ミルテの頭を撫でると、彼女は頬を赤らめ、俺を見上げて微笑んだ。


 するとステラ姉とリオナまでが、何やら物欲しそうな顔をして俺を見ている。


「……わ、私は、年上だから……そんな、撫でてもらったりするのは、変だけど……ミルテばっかり甘やかして、ずるい……」


 いつも大人びた振る舞いをしようとして、本音をなかなか言わなかったステラ姉が、年齢相応のヤキモチを焼いている。


 リオナは何か我慢しているような顔だ。ここぞというときに自分の気持ちを押し隠すところがあるので、今回もそうなのだろう。


 先に大きくなったからこそ、三人の気持ちを、年上として受け止めるべきだ。変に遠慮をしたりしたら、その分だけ寂しい思いをさせることになる。


「あ……」

「……ヒロトの手、大きい。温かい……」


 リオナとステラ姉の頭を撫でる。その様子を見ているうちに、獣魔術が発動してしまったのか、ミルテが猫獣人姿に変化していた。


「……ヒロト、やさしくなった。小さい時もやさしかったけど、もっとやさしい」

「ヒロちゃんは昔から優しいよ。だから私、ヒロちゃんのこと……」

「……リオナ、いいの? もう、内緒にしなくても」

「ふぇ? ……あっ! な、なんでもないの! ヒロちゃん、私何も言ってないよ?」


 ごまかし方が致命的に下手だが、子供の頃の陽菜もそうだったと思い出す。


 そして俺もまた、気づかないふりをすべき時が分かるようになっている。


「俺はそんなに優しくはないし、普通だよ。三人が大事だっていうのは間違いないけどな」


 ミルテがもう一度撫でてほしそうにしていたので、猫耳を触りつつ撫でてやる。くすぐったそうにしつつも、ミルテは俺のするがままに任せてくれた。


「ひ、ヒロト……だめよ、ミルテがぽーっとしちゃってる」

「……ぽーっとしてない。くすぐったいけど、おちつく」

「はぅぅ……ミルテちゃんが甘えん坊さんになってる。ヒロちゃん、すごい……」


 クールな性格のミルテが、気づくと俺に背中を預けてべったり懐いてきている。


 そしてステラ姉とリオナが――と、無限ループに入りそうなところで、リオナが何かに気付いたように「あ」と声を出した。


「どうした? リオナ」

「あのね、さっきまでユィシアお姉ちゃんも一緒にいたの。でも、ヒロちゃんが帰ってくるまえに飛んで行っちゃった」」

「ユィシアが? そうか、分かった……三人とも、夕食の時間には戻るから、そう母さんに伝えておいてくれ」


 ユィシアが来ていた――彼女は、俺がミゼールに戻ってきたことに気付いているはずだ。


 なぜ、俺が来る前に立ち去ったのだろう。今はユィシアの心情は伝わってこないので、念話の届かない場所にいるらしい。おそらくは、竜の巣だろう。


「ステラ姉、ユィシアは西に飛んで行ったのか?」

「ええ……少し、あわてていたように見えたけど。心配はしなくていいと言っていたわ。ヒロト、ユィシアさんのところに行くの?」

「ヒロちゃん、気を付けてね。暗くなったら外はあぶないから」

「ああ、気を付けるよ」


 俺はリオナたちに見送られ、自分の家の裏手にある丘に上がってから、転移の魔術を発動した。


 ◆ログ◆

・あなたは『転移ワープ』を詠唱した!


 ◆◇◆


 あまりにも便利すぎて、すでに転移に依存しかけている気がする。これまで徒歩で移動してきたところには、全て転移できる――ゲーム時代の『ワープポータル』は設置した場所同士を行き来することしかできないので、この転移はすごく便利だ。


 『黒魔術』がゲームで実装されていたら、黒魔術師は1パーティに1人は必須のジョブになっていただろう。そんなことを考えつつ、久しぶりに来た竜の巣の深部を見回す。


 溶岩の赤い輝き。足元の黒いごつごつとした地面も、ユィシアの眷属である魔物たちも、昔来た時と変わっていない……と思いきや。


 三体のリザードマンが、俺のことを遠くから見ている。三体とも大きさが違い、一体は大きく、もう一体は一回り小さく――さらに小さいリザードマンが、その後ろに隠れている。


 俺は子供の頃、初めてこの洞窟に潜った時のことを思い出した。俺に襲いかかって来ないで、傷ついたリザードマンをかばっている個体がいた。


「もしかして……この小さいリザードマンは……」


 リザードマンたちはしゃべらないが、俺のことをじっと見ているだけだ。


 だが、おそらく俺が思った通りだろう。魔物も家族を作ることがあるのか、と俺は妙に感心してしまっていた。


(こんなのを見たら、レベル上げで魔物を狩りにくくなるな……まあ、いい魔物と悪い魔物がいるから、それを見定めた方がいいってことか。人間も同じだな)


 俺はリザードマンたちに見送られ、ユィシアのいる宝の部屋へと向かった。どこからか流れてくる水に表面を覆われた白亜の岩窟を通り抜け、その先の巨大な空洞に向かう。


 ――光苔の淡い明りの中。昔のままで保たれた宝の山、その傍らに、銀色の鱗を持つ竜がいた。


「……ユィシア? どうしたんだ、竜の姿に戻ったりして」


(……っ)


 俺が来ていることが伝わっているはずなのに、ユィシアが動揺するのが分かった。


 ようやく気が付く。彼女は、俺に対して怯えているのだ。


 なぜ、そうなってしまったのか。理由を聞かなくてはいけない。


「ユィシアにも、話したいことがあったんだ。でもその前に、別のことを話さないといけないみたいだな」


(……ご主人様は……私のことを殺すために、その槍を……)


「……槍……この槍が、怖いのか?」


 ユィシアは俺の持つ古槍グングニルを恐がっている。その理由は、グングニルの持つ能力を改めて見ればすぐに分かった。


 ◆アイテム◆


名前:古槍グングニル

種類:斧槍

レアリティ:レジェンドユニーク

攻撃力:452~648

防御力:バリア(物理・魔法300ダメージ無効)

装備条件:恵体100 魔術素養100


・1日5回まで、投擲した相手に必ず命中する。射程は∞。

・投擲後に使用者の手に戻る。

・攻撃時に精霊魔術『ヴァルハラサンダー』が20%の確率で発動する。

・攻撃するごとにマナが最大マナの1%だけ回復する。

・竜族に特攻を持ち、『恐慌』状態にする。

・竜族のブレスを高確率で無効化する。

・槍マスタリー100で真の力を発揮する。


 まだ真価を発揮していないというのに、強烈すぎる性能――攻撃力はタイタンズラースより平均打点が高く、防御性能も恐ろしく高い。


(そうか……グングニルは、竜殺しの槍のゲイボルグのモデルになったって言われてる槍だ。この世界でも、竜に特攻があるんだな……それに、『恐慌』だなんて……)


 ユィシアが怖がっている理由がようやくわかった。俺はすぐにでも彼女を安心させたくて、背負っていたグングニルを抜き、地面に置く。


 ◆ログ◆

・《ユィシア》は『恐慌』に陥っている……。


 それでも怖がっているユィシアに、急に近づくことはせず、落ち着くのを待つ。俺はその場に座って、見上げるほど大きなユィシアを、少し離れた位置から見つめた。


「ごめん、ユィシア。怖がらせるつもりじゃなかったんだ」


 くるる、とユィシアが久しぶりに竜としての鳴き声を聞かせてくれる。


 竜の姿の彼女は俺よりずっと大きいのに、俺にはまるで泣いている少女のように見えた。


 ――大切な存在なのに、気配りが足りなかった。竜殺しの武器なんて、ユィシアに見せたら怖がるに決まっている。


 いや、強い彼女なら気にしないかもしれないという思いもあった。でも今の俺は昔と違い、ユィシアとの力の差は縮まっている。


『……そんなことはない。私は……少し前から、ご主人様に勝てなくなった』


 ユィシアが話しかけてくる。やはり泣いていたのか、その声は弱弱しいものだった。


 今すぐに歩み寄りたくなる。しかしその気持ちを今は抑えなくてはならなかった。


 まだ、ユィシアは何かを伝えようとしている。きっと、とても大切なことを。


『この竜の巣で、私は……幼いご主人様を、殺そうとした。そのときは、それを何とも思っていなかった。ご主人様は私を許してくれた……でも、今はわかる。普通は、自分を殺そうとした相手を、近くに置けるわけがない』


 ユィシアが人の感情を理解していくことを、俺はいいことだと考えていた。


 俺や仲間たちとの触れ合いを通して、無感情で、竜の本能に従って行動するだけだったユィシアが、人間らしくなっていくことが嬉しかった。


 ――しかしそれは、彼女が人間としての価値観を手にするということで。


 俺が彼女の涙石を求めたからとはいえ、生きるか死ぬかの戦いをしたことが、彼女の中で徐々に意味を変えていった。


「……だから、俺がこの槍を使って、ユィシアに仕返しすると思ったのか?」


『……そうされても、仕方ない。私は、それだけのことを……』


「してないよ。俺が竜の巣にやってきて、ユィシアの涙が欲しいなんて、勝手なことをお願いしただけだからな。それに……それ以上のものを、返してもらったよ」


『……私は、何もできてない。ご主人様に欲しがるだけ……戦うことしか、できない』


「それは謙遜しすぎじゃないか。何度も助けられたし、その……ユィシアのおかげで、俺は強くなれたんだよ。それは間違いない事実だ」


 安心できるまで、言葉を重ねていくしかない。一つ一つユィシアの不安を取り去ってあげないと。


 俺が強くなるということは、ユィシアが俺の知る中で最強でなくなるということだ。そのことで何が変わるのか、考えが足りていなかった。


「……もしかして、今日家に来てみんなと過ごして、何かあったのか?」


 それはただの勘だったが、当たらずも遠からずというところのようで、ユィシアがくるる、ともう一度喉を鳴らす。


『……花嫁の、衣装を作っていた。レミリア……ヒロトの、母親が……』


「そ、そうなのか。母さん、もう準備しててくれるんだな……」


『……私は、ご主人様のしもべ。人の姿をしていても、ご主人様とは……』


(そうか。ユィシアは、それが心配だったのか……)


 人間のことを理解するにつれ、種族の違いを気にするようになった。初めから押しが強かったユィシアだから、今も変わらないのだと思っていたが、そうじゃなかった。


「ユィシアは、意外に心配性なんだな。いや、少しずつそうなったのかな」


 ユィシアは何も言わない。否定もせず、俺を金色の瞳で見つめている。


「この竜の巣を守るために、子供が欲しいって言ってただろ。俺はそれ、最初は驚いたけど……嬉しかったよ。まだ歳が歳だから、応えることはできなかったけど」


『……私が、何も知らなかっただけ。人間と竜は、仔は作れる……でも、それは……』


「種族が違っても関係ないよ。俺は、初めてあの湖でユィシアを見た時から、綺麗な女の子だと思った。怖いくらい強そうで、実際に強かったし……今もそう思ってるよ」


 しばらくユィシアは何も言わなかった。少しして、小さくくるる、と鳴く。


 何か甘えているみたいな、子供のような声だった。母から離れて、ずっと一人でこの巣にいたユィシアは、本当は――。


「……ここに一人でいるのは、寂しかったろ。だから、俺と家族になろう。ユィシアが怖がることは絶対にしない。強くなることより、大事なことがある」


 俺は立ち上がる。そして、ユィシアに近づいていき、その身体に触れた。


「ユィシアは、どうやったら他人同士が家族になれるか知ってるか?」


『…………』


 考えている気配は伝わってくるが、彼女は答えない。知っているはずなのに、俺がグングニルを持って戻ってきたりしたから、怖くて一時的に忘れてしまったんだろう。


 強いか、弱いか。ユィシアにとってそれはとても大事なことで、俺にどうしても勝てないと思ってしまったとき、怖くなってしまった。


 それを俺は心配のしすぎだと思うと同時に、可愛らしいと思ってしまった。俺の方が強いと認めてもらえた、そんなことを嬉しく思っている場合でもないと分かっているが。


「……ユィシアは何度も言ってたじゃないか。もう、俺が怖くなっちゃったか?」


『……違う。私は……ご主人様を、傷つけたから……』


「そんなこと、もう気にしてないよ。それにユィシアと戦うなら、命の取り合いじゃなくて純粋な力比べがいい。まだ、俺のほうが確実に強くなったとは限らないだろ?」


 俺はユィシアの腕に触れ、撫でながら言う。


 そのとき、ユィシアの竜の瞳から、ぽろぽろと涙がこぼれた。それは涙石に変わって、宝石のような輝きを放つ。


「泣かせるなんて、主人失格だな。不安にさせてごめん、ユィシア」


『……ご主人様は、悪くない。私が……臆病だったから……』


「俺はどれだけ強くなっても、ユィシアや皆を守るために力を使うよ。だから……結婚しよう、ユィシア」


 まるで、時間が止まったかのようだった。ユィシアの目がぱちぱちと瞬きをする。


 輝く宝の周りを、蛍のような光がふわふわと浮遊している。幻想的な光景の中、俺はユィシアと目をそらさずに見つめあう。


 竜の姿なのに、今となっては愛らしさは人の姿と変わらなかった。出会ったときはあれだけ恐れていたのに、全て懐かしい思い出だ。


「……人間と竜でも家族になれる。もし結婚しなくたって、一緒にいれば家族だ。でも俺は、ほかのみんなとユィシアに差をつけたくない。俺の奥さんになってくれ」


『っ……』


 ◆ログ◆

・《ユィシア》は人間形態に変化した。


「ご主人様ぁっ……!」


 人の姿になったユィシアが、俺の胸に飛び込んでくる。


「ふぅっ……うぅ……ぐすっ。私……私……ご主人様に、お仕置きされると思って……」

「そんなことするわけないだろ。でも、こんな武器を持って帰ってきたら、怖いよな……ごめんな」


 俺はユィシアの背中に手を回し、頭を撫でる。ユィシアは俺の胸に頬を寄せ、回した腕にぎゅっと力を込めてしがみついてくる。


 しばらく肩を震わせて泣いていたユィシアが、そっと顔を上げた。もうずっと前から泣いていたのか、金色のきれいな瞳が痛々しいくらい赤らんでいた。


「……私も、そんなことされないと思った……でも、弱くなったら、私はいらないから……」

「何言ってるんだ、ユィシアにはこの世界で最強になれる可能性があるのに」

「ご主人様には、勝てない……」

「もしそうだとしても、弱いってことにはならない。弱いから要らないなんてことはない……わかってくれるか?」


 竜としての絶対的な価値観。弱いものに、価値はない――それを、今ここで変える。


「今日はリオナやミルテ、ステラと一緒にいたんだろ。戦う力がなくても、それがすべてじゃない。ユィシアには、もう分かってたはずじゃないか」

「……わかってた……そうかも、しれない」


 ようやく泣き止んできた。あと少しで、笑った顔を見せてくれそうだ。


「これからは、俺のことを頼ってくれていい。奥さんが守ってもらっても、何も恥ずかしいことじゃないだろ?」

「……私は……人間らしいことができない。料理も、なにも……」

「じゃあ、みんなに教えてもらってみるか。俺も料理には興味あるから、一緒にやろう」

「……わかった。ご主人様が一緒なら……」


 竜である彼女が、人としての営みに順応して生きることがすべてではないと思う。しかし興味を持ってくれたのなら、それはとても良いことだ。


「ユィシア、答えを聞かせてくれないか」

「……ご主人様が好き……食べたいくらいに、好き」

「じゃあ俺も、ユィシアのことが食べたいくらいに好きだ。食べたら勿体ないけどな」


 きっと「食べたいくらい」というのが最大の愛情表現なのだろうから、俺も竜の流儀に倣った。


 ユィシアの瞳が一瞬、戸惑うように揺れる。そして、目が閉じられる。


「んっ……」


 キスをした瞬間、ユィシアはこちらが照れるくらいに震えるが、そのまま動かずにいると、次第に落ち着いてくる。


「……んっ……んん……」


 夢を見ているようだった。俺のそばにいられなくなるかもしれないと泣いていた彼女が、心配性すぎると思いながらも、同時に愛おしかった。


 やがてキスを終えると、ユィシアは熱に浮かされたような目をして、もう一度俺の胸に顔をうずめた。


「……よかった。ご主人様が来てくれなかったら、会いに行く勇気がなかった」

「俺はユィシアが心配になったら、いつでも飛んでくるよ。転移ができるようになったからな」

「転移……魔王が使う術。ご主人様は、やっぱりすごい。いつの間にか、できることが増えている」


 魔王としてのリリムの力を、宝珠を通して借りているだけではあるが、そんなふうに感心されるのは正直嬉しかった。


「……せっかくの武器だから、使ってほしい。私は、だいじょうぶ」

「いや、ユィシアが怖くないように準備するまで、ここに置いておくよ」

「……ありがとう」


 要は『恐慌』状態を防ぐようなものを、ユィシアに装備してもらえばいいのだが――と考えて。


 俺は宝の山に目を移し、そこにあるアクセサリーを一つずつ鑑定し始めた。すると、『恐慌』を防ぐための指輪を見つける。


「ユィシア、これをつけてみてくれるか」

「……婚約、指輪?」

「えっ……ま、まあそうだな。本当は別に用意したいんだけど……」

「それなら……指輪の交換、したい。私は、結婚式のときは、遠くで見てる。私は竜だから、姿はあまり見せないほうがいい」


 ユィシアがそう言うのなら、意志は尊重しなくてはならないか。そして彼女は、ほかのみんなより一足先に、ここで指輪の交換がしたいと言う。


「……分かった。じゃあ、今から……うわっ……!」


 ◆ログ◆

・《ユィシア》は『擬装イミテーション』を発動した!

・《ユィシア》の『ドラゴンケープ』が『花嫁衣装ウェディングドレス』に一時的に変化した。


 ――ユィシアは、魔力で身に着けている衣服の形を変えることができる。


 光に包まれながら、彼女の身にまとっている薄衣が、形を変えて――そして、白いドレスに代わる。


 式典に出るための衣装としては、すごく大胆で……背中が全部開いてしまっているが、息を飲むほど美しい姿だった。


「……衣装を作るところを、見てたから。思い出して、着替えた」

「……そうか。よく似合うよ、ユィシア」


 言葉がうまく出てこなくて、当たり前のことしか言えない。それでもユィシアは嬉しそうにはにかむ。


 俺はユィシアの宝の中から、自分がつける指輪を探した。効果はそれほど気にしていないが、『テイムしている護衛獣の能力を上げる』ものにしておく。


 俺はユィシアのつけている手袋を外し、その細い指に指輪を通す。そして彼女からも、俺の指に指輪をつけてくれた。ユィシアは金色、俺は銀色の指輪だ。


「……きれい」

「あっさり交換しちゃったけど、もっと雰囲気が出てるとよかったかな」

「そんなことはない。この指輪があれば、私はもう不安にならない……本当に、ご主人様のものになれた」


 花嫁衣装を着たユィシアを、もう一度抱きしめる。


 それから彼女は、何度でもキスをせがんできて、俺は一も二もなく応じた。


 初めて戦ったあの場所が、俺たちの中で大きく意味を変える。


 しかし夕食までには帰らなくてはという約束を伝えると、ユィシアは名残惜しそうにしつつも、花嫁衣装から元の姿に戻ってしまった。


「……いっぱい甘えさせてもらったから、しばらくはだいじょうぶ」

「はは……そういうものなのか? 無理はしなくていいんだぞ」

「……それなら、ご主人様の家に行く。添い寝をしたい」

「ああ。分かったよ、ユィシア」


 少し前ならば、彼女はここで俺の家に来るとは言わず、巣に留まっていただろうか。


 その変化を嬉しく思いながら、俺はユィシアと共に、自宅近くへと転移する。気が付くと握られていた手を、こちらからも握り返しながら。





※大変更新が遅くなって申し訳ありません、明けましておめでとうございます!

 今年もよろしくお願いいたしますm(_ _)m

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