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奇妙なラブレター  作者: 山本正純
前編 Who is the sender of a love letter?
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テレサ・テリーと友達になる

今回のメインヒロインはテレサ。

 9月5日木曜日。午前8時5分。春上は図書室にいた。

 彼が図書室にいる理由はこの前借りた本を返すためではない。容疑者の一人テレサ・テリーと話をするためだ。

 月守学園の図書室は午前7時30分から開いている。早く登校してすることがない生徒も図書室に集まるらしい。

 

 そのとき金髪の少女の姿が春上の目に写った。春上は彼女にすかさず声をかける。

「テレサさん。この前は失礼した」

「ああ。確かこの前肩をぶつけた人だね。何か用」


 肩をぶつけたとは作為的だと春上は思った。彼は碧眼の瞳を見つめながらテレサに質問する。

「そのときあなたは紺碧の雨を借りなかったよな。なぜだ。紺碧の雨は来週末に劇場公開される作品。ぶつかったときにちらりとあなたが借りた本が見えたが、どれも今月中に2時間ドラマとして実写化される作品の原作本ばかりだった」

 テレサは尋問のような春上の言葉を笑った。

「あの作品たちが今月中に実写化される作品だと分かったということは、春上君もミステリファンということか。紺碧の雨を借りなかった理由は、前に読んだことがあるからだよ。映画化が決まったという情報を得た後ですぐに借りたの」

 テレサは嘘を吐いていない。春上はそう感じた。


 その頃江角千穂は自転車小屋に自転車を停めた。その彼女に一人の男子高校生が声を掛けた。その男の髪型は黒髪のおかっぱ頭。身長140㎝という低身長のため高校の制服を着ていないと中学生に見える。

「待ちましたよ。江角さん」

「こちらから呼び出したのに、遅刻してすみませんね。秋山義光くん」

 江角の目の前にいる男の名前は秋山義光。月守学園一の情報屋で、新聞部の部長をしている。江角が彼を呼び出した理由は3人の容疑者たちの情報を得るためだ。まず江角は秋山に状況を説明する。

「ふむふむ。なるほど。それでほしい情報というのは、テレサ・テリーの情報だけでいいのですよね」

「いいえ。それともう一つあなたの見解が聞きたいことがあります。ですがそれはテレサの情報を聞いてからでも構いません」

 

 秋山と江角は校門に向かう。歩きながら秋山はテレサの情報を話した。

「テレサ・テリーは帰国子女。3年前からアメリカに留学していました。そして今年の4月この月守学園に転入した。留学中ミスコンで優勝した実績があります。そのミスコンでミステリファンであることをアピールして周囲を驚かせたそうですよ」

 秋山は一呼吸してから江角に質問する。

「それで聞きたいことというのは何ですか」

「須藤涼風についてです。昨日から聞き込み捜査をしているのですが、彼女には裏の顔があるという情報が多くを占めていました。これらの証言は正しいのでしょうか」

「それは今追っているスクープ。詳しくは言えないが誰かをストーキングしているらしいですよ。完璧な学級委員長に泥を塗るためのデマの可能性もなくはありませんが」

 

 丁度その時春上は図書館の玄関の前で仲よさそうに話をしている江角と秋山の姿を目撃した。

「あの野郎」

 春上の目は怒りに燃えている。これはただの嫉妬だ。あの二人の元に走って行こうと思った時彼の背後からテレサが声を掛けた。

「春上君。また今度推理小説の話でもしましょう」

「そうだな」

 嫉妬を隠した彼は最初の目標『テレサ・テリーと友達になる』をクリアした。残る目標は後二つ。


ようやく江角千穂をラブコメに絡めることに成功した。

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