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奇妙なラブレター  作者: 山本正純
前編 Who is the sender of a love letter?
6/34

これから容疑者たちにスポットを当てた恋愛捜査が始まる。

謎のラブレターの差出人さんから第二のラブレターが。江角千穂の謎解きパートです。


 9月4日水曜日午前8時。下駄箱に靴を入れようとした時春上は驚いた。一昨日と同じように下駄箱の中には二つ折りにされた黒い紙が入っている。

「またか」

 春上は下駄箱から黒い紙を取り出す。その紙を開くと、一昨日と同じように新聞を切り抜いた文字でその手紙は書かれていた。一昨日との違いは、雑誌の文字まで切り抜かれるようになったこと。

 春上は再び届いた手紙に目を通す。

『ハルウエハクヤ。いい名前だね。私の名前も苗字と名前の最初の文字が同一だよ。春上君とは文字が違うけど、これって運命だよね。昨日は勢いで肩を触ったけど、うまくあなたと話すことができました。今度はハルウエくんから話しかけてね』


 この手紙を読んだ春上は昨日のことを思いだす。

 昨日ハルウエハクヤのように最初の頭文字が同じ女性に肩を触られた。この条件に該当する人物に春上には心当たりがあった。幸か不幸か。心当たりがあるのは二人だけ。これで捜査はかなり進展した。

 

 春上は二年三組にいる江角の元に急ぐ。捜査がかなり進展したことを報告するために。

「江角。この手紙を読んでくれ。これは今朝俺の下駄箱に入っていた第二のラブレターの差出人のメッセージだ」


 春上は椅子に座っている江角に手紙を渡す。そして彼は得意げに推理を話した。

「この手紙に書いてあるヒントから、容疑者を特定することに成功した。昨日俺に話しかけてきた女性で最初の頭文字が同じ仮名の人物は二人いる。須藤涼風と漆谷梅子。この二人は次の条件、俺の肩を触ったという条件にも該当する。つまりラブレターの差出人はこの二人のどちらかだ」


 春上の推理を聞いた江角は椅子から立ち上がった。

「昼休みを使って調べてみます。他にあの条件に合う容疑者がいないのかを」

 

 そして昼休みが終わろうとした頃二年二組の教室に江角が現れた。彼女は春上に一枚の写真を見せた。

「彼女に見覚えがありませんか。彼女もあの条件に該当しますが」

 春上は学生証の写真を凝視する。その写真に写っていたのは金髪碧眼の少女。春上はこの少女に見覚えがあった。

「昼休みに図書室で会った女だ。でも彼女とは肩がぶつかっただけで、触っていない」

「触覚です。お風呂の脱衣所にバスタオルが敷いてあるでしょう。その時春上は足でバスタオルを踏みますよね。足でバスタオルの肌触りや濡れ具合を感じ取ることは可能です。それと同じように彼女は肩と肩をぶつけることで手を使うことなく肩を触ったのでしょう。屁理屈かもしれませんが、どこにも手で肩を触ったとは一言も書いていません」

 春上は江角の推理に納得した。

「それで彼女の名前は」

「テレサ・テリー。彼女は二年一組に在籍しています。先ほど月守学園高等部の女子生徒をあの条件で検索してみました。その結果あの3人しか該当しませんでした」

 

 確かにレアだと春上は思った。苗字と名前の最初の頭文字が同じ仮名という条件に該当する人物なんてめったにいないだろう。

 須藤涼風。漆谷梅子。テレサ・テリー。この三人の中にラブレターの差出人はいるのか。

 捜査は容疑者特定まで進展した。これから容疑者たちにスポットを当てた恋愛捜査が始まる。


強引な方法で容疑者は3人に特定されました。

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