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奇妙なラブレター  作者: 山本正純
前編 Who is the sender of a love letter?
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「千穂。お前に解いてほしい謎がある」

江角千穂と須藤涼風初登場。

今回のメインヒロインは江角千穂だけどね。

 午前8時25分。遅刻まで残り5分という所で春上は教室に辿り着いた。

 本日は始業式と学級委員の選抜選挙しかなかったため、午前中で学校は終わった。


 学級委員が決定したら、帰宅しても構わないというルールが設定されているため、早いクラスは午前10時20分には帰宅できる。

 

 部活動がある生徒はどんなに早く学級委員が決まっても、午後にならないと帰宅できない。学級委員が決まり次第部活動に移行するからだ。

 

 この瞬間春上は帰宅部でよかったと思う。

 春上の所属する2年2組は満場一致で成績優秀の須藤涼風に決まった。肩まで伸びた後ろ髪。前髪はピンク色のヘアピンで止めてある。身長は春上より少し高い。

 そんな特徴の須藤が学級委員の抱負を語った頃時計は午前10時30分を刺していた。

 

 そして午前10時35分。春上は足早に教室で出ていき、急いで帰路に着いた。

 

 午前11時20分。春上博也は隣の家の呼び鈴を押そうとしていた。その家の屋根は青色。二階建てだ。この家に住んでいるのは、彼の幼馴染。


 呼び鈴を押すと玄関のドアが開いた。その中から黒いセーラー服を着た高校生が出てきた。彼女の髪は須藤より少し長い長髪。身長も須藤涼風と同じ。彼女の名前は江角千穂。

「千穂。お前に解いてほしい謎がある。月守学園の名探偵にぜひ解いてほしい事件だ」


 江角は首を傾げ、彼をリビングに案内した。

 椅子に座った春上は彼女の事件の概要を説明する。

「なるほど。朝学校に行ったら下駄箱の中に新聞で切り抜いた文字で書かれたラブレターが入っていた。その差出人が誰か特定してほしいということですね」


 江角の依頼内容の要約を聞いた春上は頷く。

「出来そうか」

「今の段階では無理でしょう。ただ一つだけ分かっていることはこのラブレターの差出人が外部の人間ではないということです。容疑者は月守学園高等部の女子生徒全員」


 江角の推理を聞き春上は月森学園の構造について思い出した。

 月守学園は小学校から高等学校までが同じ敷地内にあるが、校門が独立している。それぞれの校門に立っている警備員はそれぞれの校舎に生徒と教職員しかいれない。つまり外部の人間は決して入ることができない。

 また月守学園に通う中学生も小学校と高等学校の校舎に足を踏み入れることはできない。

 月守学園に通う中学生が別の校舎に足を踏み入れるためには許可証が必要だ。正当な理由がなければ許可証は発行されることはないが、このルールはこの学園に通う生徒全員に適応される。

 

 生徒の防犯を強化するために発足されたルールが容疑者特定の手がかりになるとは春上も夢には思えなかった。

「でも許可証があれば高等学校に足を踏み入れることができるのだろう。だったら許可証を発行してもらって、高等学校に潜入。俺の下駄箱に奇妙なラブレターを入れて逃走ということもできるんじゃないか」

 春上は江角の推理を否定した。だが江角は表情を変えない。

「それは不可能でしょう。許可証を発行するには手続きが必要です。それを調べたらすぐに分かるでしょう。容疑者は月守学園高等部の人間の中にいるって」


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