EX トーキング!
かくして居候することになったラテ。
そんな隙間の時間のおはなし、ただそれだけの一幕です。
「……あ、あのぅ。し……しろーさん?」
「ん? どうかしたか」
「えっと……しろうさんは、わたしのことがニンゲンの姿に見えるのですか?」
「そうだな。犬耳と尻尾はついてるけど、まるっきり人間にしか見えないよ」
「……こうして会話ができるのも、そのせいなんですね?」
「ああ。不思議なもんだな」
「今まではヒトに話しかけても、お話なんてしてもらえませんでした……」
「そりゃそうだろう。だが、俺はおまえの言うことばがよくわかるぞ」
「ほんとうに不思議です……すごいです」
「うーん、すごいのか? 正直、俺は目のやり場に困るよ、色々と」
「そうなんですか? しろうさんには、わたしはどんなヒトに見えますか?」
「そりゃあ、幼女……じゃなかった、少女に見えるな」
「よ、ようじょ? 少女ではダメでしょうか?」
「ダメってことはないが……もう少し厚着をしてほしいね、うん……」
◇
◇
「しろーさん、しろーさん?」
「どうした、犬っころ。……あ、“ラテ”って名前をつけてやったんだったな、すまん」
「えへへ……名前、つけてくださってありがとうございます」
「イヤじゃなかったか? 直感で決めちゃったからな……」
「い、いえ……ぜんぜんそんなことなかったですよぅ」
「そうか、そりゃよかった」
「その……ちょっと、もふもふされて恥ずかしかったですけど……」
「もふもふ? 俺そんなことしてたか?」
「えっ! すごくしてましたよ、もふもふ!」
「そうかな。あんまり覚えてないな、もふもふは。名前考えるのに夢中だったからな」
「そ、そうですか……でも、次からはもふもふするときは、先に言ってくださいね……?」
「……なんだかすごくもふもふしてほしそうな顔をしている……ま、気が向いたらな」