転生したマゴーネは昭和の世界に困惑する
ここはどこだ
ローマとの戦いに敗れ戦死したのなら、行く先は
死後の世界のはず
バール神の神官が描く死後の世界と似てもにつかぬ
世界
私はどこへ来たのだ、どうしてこんなところへ
説明するものはいない
マゴーネをさらに戸惑わせたのは、自身の体だった
まるで子供だ、いや本当に子供になっていた
自身に起こったことの説明を求めたマゴーネは
生まれ変わりと言う考えを知った
輪廻転生、別の世界へ生まれ変わる
だとしても、どうしてここで何をしろと
苦しみや責めが待っているわけでもない
何の罪、何の罰もなく、ただ生きる
不甲斐ない己を自分で責めながら
何もできずに
罰と言えば、学校とやらに通わされる位だ
何の役に立つのかわからん。話を聞き流し
時間が過ぎるまで、ただ座っていた
この異世界で衣食住を確保するために
仮の親の支援は欠かせなかった、行くあてもない
成人した、カルタゴの戦士は子供の体で
椅子に座っていた
暇つぶしに開いた教科書にハンニバルの名を見つけた
兄はこの世界でも語られていた
ハンニバル、ハンニバル、本当に自分の知るあの
ハンニバルなのか
マゴーネは泣いた、偉大な英雄を思って泣いた
己れがいた世界は、過去の世界になっていた
あの後、何が起こったか、調べてみた
カルタゴは第三次ポエニ戦争で滅ぼされていた
国家再建を担った兄は遠くギリシャへ逃れ追い詰められ
そして自死していた
何と言う最後だ、兄の戦争が自身を滅ぼし
カルタゴを滅亡させた
兄はどこで間違えてしまったのか
ローマの成功が参考になった
前線で勝利した将軍たちが、軍隊を連れ
ローマに戻りローマを制していた
兄の間違いは
カンネーの戦いの後
自分をカルタゴに派遣した事だ
この無能のマゴーネが何もできずに、帰還したことが
ハンニバルを破滅させた
無能なるマゴーネ、兄を破滅さしたのは俺だった
俺の失敗がカルタゴを滅ぼしていた
やり直せたら、バール神にそう願っていた




