野営地の夜
夜にはまだ勝利の余韻があった
そこかしこで火を囲む兵たちの
尽きることのない話題
あの勝利の、ローマ軍をかんぷなきまで叩きのめした
カンネーの戦いに参加した者たちの興奮は続いた
途中で脱落した者たちへの憐れみ
参加した己たちの幸運、
ハンニバルを信じた者たちは
ハンニバルのいる丘を眺めながら
勝利の後の未来に思いを馳せた
将官たちの集まる場の空気は重かった
ハンニバル、あなたは勝利することをできても
好機を生かすことを知らない
今こそ、ローマを攻めるべし
それで戦争は終わる
無言で座ったままのハンニバルは立ち上がると言った
ローマは攻めない
出てきたローマ軍を叩く、これを続ける
お待ちください
1人立ち去るハンニバルを追いかけ、
足を止めぬハンニバルの、その背中に向かって
マゴーネは声をかけた
ローマが降伏しないのなら、
閣下が勝利する前と何も変わっていない
勝利する前と今が、全く同じ状況なのです
勝ったのに何も変えられていない
だから、閣下はさらなる勝利を戦場で重ねようとし
ているですよね
立ち止まったハンニバルが振り向いた
しかし、あの勝利が変えたものがあります
我々の信頼であり、兵の信頼です
ローマに勝つことができると、今や誰もが閣下を信じております、おそらくカルタゴ市民も
その閣下が目指すのローマと次の戦いではない
カルタゴです
どうかカルタゴを落としてください
そして、カルタゴの総力を持って、ローマとの戦争を継続すべきです
いつから考えていた?
父ハミルカルが戦場で勝ちながらも
カルタゴの支援を受けられなかった時
今の閣下と同じ立場です
父ハミルカルは自身の勝利を信じていました
しかし、カルタゴ市民は違った
そのカルタゴ市民が変わったのです
勝利を信じ始めた
どうか、カルタゴへ向かってください




