第一章閑話:広く見れば同族
閑話はロマやメア視点の緩い感じで行きます。『』の中はロマやメアが話している内容です。もちろんほかの人は何をしゃべっているのか理解していません。今回は九、十話でのロマの視点です。
『ふわぁ~……』
いつものようにロマはリスタの使っているベットで目を覚ます。隣にはリスタはおらず、今は黒猫のメアだけだ。
『この場所。すっごい寝心地いいわネ。ずっと寝てたいくらいヨ』
そんなこんな言いながらも、ロマはベットを降り、そして部屋の扉のほうへと向かった。そうして器用に体を使ってドアノブをひねり、扉を開ける。
『ゴシュジンは……アッチかしらネ?』
そうしてロマは屋敷内を這いずり回り始めた。そうして1分後。
「ひっ!?」
人間の声をロマは察知し、そちらの方を向くと、箒を構えてじりじりとロマのほうに向かってきている使用人がいた。
『なにヨ。アタシ、ゴシュジンを探してるんだけど?』
ロマはそんなことを口にするが、そんなことが人間の使用人にわかるわけもなく、変わらず使用人はじりじりと箒を構えて近寄ってくるばかりだ。そうしてしばらく近寄ってきたかと思うと、その使用人は止まり、そして……
「えいっ!!」
『うわっ!危ないわネ!!』
構えていた箒が一気に振り下ろされるが、それをひらりとかわすロマ。しかし、使用人はあきらめず、何度も何度も箒を振り下ろしている。
『ちょっとは落ち着きなさいヨ!!』
「いやぁああ!!??」
やがてロマはその使用人の足元に潜り込み、そのまま体を這い上がってから手元を縛る。それにびっくりしたのか、その使用人は暴れ、そのまましりもちをついてしまう。その時のことだ。
「何事ですか?!」
聞き覚えのある声がどこからかしたと思うと、いつの間にかロマや使用人のそばにテューネが立っていた。
「テュ、テューネさ、テューネさん!へび!蛇とってください!!」
「落ち着いて。この蛇は心獣という生き物です。説明したでしょう?」
「へへ、へび、私、蛇は苦手で~!とりあえずとってくださ~い!」
「わかりましたから。……ロマ様?こちらに来てくださいますか?それか、触られるのが嫌でしたらその使用人から離れてくれるだけで大丈夫ですので……」
『あんまり何言ってるのか分からないけど、とりあえず離れればいいのネ?わかったわヨ』
そうしてロマは使用人の体から離れ、テューネの首に巻き付いた。
「よ、よかった……ご、ごめんなさい、取り乱してしまって……」
「貴女とロマ様が無事でよかった。特にロマ様が怪我をなされたらリスタ様にどうお詫びをしようかと……」
「本当によかったです……ごめんなさい!ロマ様!!」
そう言って人間の使用人はロマへ向かって謝罪をする。
『なんで謝ってるのかしら?あれくらいで怪我なんかアタシがするわけないでしょうに……それよりお腹が空いたワ。食べ物よこしなさい』
「な、何か言ってるんですかね?」
どうやらロマが何かを言うと、周りからはシャーシャーと鳴いているようにしか聞こえないらしい。しかし、竜人であるテューネは違った。
「どうやらおなかが空いているようです」
「わ、わかるんですか?!」
「まぁ、少しだけなら……竜と蛇は少し似ていますから」
『アラ、わかってるのネ。ならさっさと連れて行きなさい』
「かしこまりました。ロマ様。さ、ロマ様のことはわたくしに任せて、貴女は自分の仕事に戻ってください」
「はい、わかりました!」
そうしてテューネはロマを連れて食堂へと向かう。
「ちょうど貴女がたの食事を届けようと思っていたところです」
『そう』
そこで会話は途切れる。そもそもテューネは積極的に会話をするタイプではなく、ロマもリスタ意外とあまり会話をする気はない。しかし、ロマに会話をする気はなくとも、興味はある。その興味に導かれるまま、ロマはテューネに話しかける。
『なんでアンタはあんな変な奴の下についてるの?』
「変な奴とは……ジェーン様のことでしょうか?」
『そそ。あの悪魔。アタシの毒が効かないし。無理やり触ってくるのよネ』
「あの方は心器のことが大好きですから。是が非でも貴女がたを調べたいのでしょう」
『フ~ン?アイツにね~?わかってると思うけど、ゴシュジンを傷つけたら許さないからネ』
「重々理解しておりますとも」
『ふん。賢いやつネ』
「お褒めいただき光栄です……と、食堂に着きましたよ。今食事になさいますか?」
『そうネ』
「何かリクエストはございますか?」
『りくえすと?って何?』
「あぁ、言いかえます。今食べたいものはございますか?」
『ウ~ン……鶏肉が食べたいワ』
「かしこまりました」
そうしてテューネはロマを首に巻き付けたまま厨房へと入る。そうして解凍しておいた2つの鶏肉の1つを小分けにして生のままお皿に入れ、もう1つは茹でてお皿に乗せ、トレイに乗せる。
「こちらの生のほうがロマ様の食事です」
『アリガト。小さくしてくれて気が利くじゃない』
「昨日不満を漏らしていましたから。『体が重い』と」
『確かに言ったわネ。はぁ……ゴシュジンがうらやましいワ。口の中で小さくできるでショ?』
「そうですね。わたくしもこの姿のほうが食事は便利だと思っております。200年前に水鳥を丸呑みしたときには骨が喉に引っかかって大変でした」
『痛そうネ』
そんなことを話しながらテューネはトレイを運び始める。その間にロマはテューネの首に巻き付きながら器用に皿の上の鶏肉を食べ始めたのだった。
この後ロマはリスタが返ってくるまでテューネの首に巻き付いていました。




