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黄昏のアルタイル  作者: さっく
第一章 王立魔術学園編
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第二話

 「……おはよう、ノアくん」


 静かで柔らかい声。

 

 振り返ると、少し水色を含んだ長い銀髪を静かに下ろした女の子がいた。


 制服はシワひとつない、いつもの距離で、いつもの表情。

 それなのに、胸の奥が少しだけざわつく。


 「おはよう、ルナ」


 短く返すと、彼女はいつみても慣れることのない笑顔で微笑んだ。


 「昨日、ちゃんと眠れた?」


 「俺そんな顔色悪そう?」

 

 「……ううん、なんとなく、そう思っただけ」


 「そっか、じゃあ教室入ろうか」


 スライド式のドアを開ける。どうやら一番乗りみたいだ。


 「少し緊張するね」


 新しい環境に対する不安と期待が入り混じる声でそう言った。


 理由は、俺ら新入生にとって王立魔術学園の初登校日だからだ。

 

 教室に入った瞬間、そこは歴史を感じさせる雰囲気を持つ部屋だった。


 黒板は正面にある。それを囲むように、座席は段状に連なっていた。


 前列は低く、後ろへ行くほど高くなる。


 どの席からも、黒板が見えるようになっている。


 「席は自由っぽいな」

 

 「じゃあ一緒のところ座ろうよ」


 「初日から女の子とお近づきになってる調子乗ったやつみたいにならないか?」


 「気にしすぎだって」


 少し笑いながらそう言った。


 でも初日から一人ってのもハードルが高いから隣に座ってくれるのは正直ありがたい。


「じゃあ後ろの方座ろうか」


 教壇からみて一番後ろの右側の席に座った。


 そして同時に教室のドアが開いた。


 「おはようございます!!」


 朝にしては元気すぎるその声の主は、髪型は肩ぐらいまでのボブで、その顔からはいかにも妹系みたいな可愛げを感じる。


 そして彼女も一番後ろの段で教壇からみて左側に座った。


 「あの子、タイプなの?」


 少し拗ねたような、静かだが怒っていそうな声が隣から聞こえた。


 「いや、別にそういうわけじゃ、」

 

 「もう課題出ても手伝ってあげないからね」


 「な、なんで」


 「自分で考えなさい」


 とりあえず彼女の機嫌を直さないと一日口を聞いてくれなさそうだ。


 「帰りにミーア亭の苺タルト奢るから許してくれないか?」


 「3つ」


 「へ?」


 「3つ」


 どうやら彼女の機嫌はそう安くないようだ。


 「わかったよ。帰り食べに行こう」


 「やったぁ!苺タルト楽しみだなぁ」


 なんとか彼女の機嫌は直せたようだ。


 頭の中で今日の出費を計算していると、続々と教室に生徒が入ってきた。

 やっぱり後ろの方から埋まっていくようだ。

 そして俺と席を一つ開けて金髪を美しく分け、整った顔立ちの男の子が座った。


 「え、もしかしてあの人って」


 「知ってるのか?」


 「知ってるも何もこの国の第二王子だよ。この学園に今年入学するとは知ってたけど、まさか同じクラスなんて」


 「どおりで既視感があるわけだ」


 「もう…あなたは普通見ればわかるはずなんだけどね」

 

 少し呆れた声が聞こえた。


 というのもこの国、ヴァルディア大陸の北に位置する、魔術が大陸内で最も発達していると言われるリュミナ王国の第二王子とは一回だけ会ったことがある。

 俺はリュミナ王国の南東に小さな領土を持っているリオナス子爵の次男だ。

 と言ってもリオナス家が治める領土はほとんど畑で田舎だ。町は一つしかない。

 そしてルナはそこに住む町長の娘だ。

 俺は次男で後継ぎとかとは縁遠い話だったからよくルナと一緒に町中で遊んだものだ。

 少し話を戻すと、こんな田舎貴族でも2年に一度、首都ルミナリアで貴族を集めた大規模なパーティーに呼ばれる。

 どうやら父、アストリウス・ヴァレンティス・リオナスはこの国の国王、セリウス・アルディオン・リュミナ陛下と親しい間柄だとか。

 そこでそのパーティーに一度だけついて行った時に話はしなかったが、顔を合わせたことがあった。

 まぁ幼いかったからか、顔を覚えるのが苦手なだけだからかわからないが、はっきりとは覚えていなかったのだ。


 そんなことを考えているといつの間にか教壇に白い髭を生やしたおじいさん先生が立っていた。

 

 「それじゃぁ全員集まったということじゃから第一講堂に移動じゃな。儂についてくるのじゃ。」


 どうやらこれから入学式が始まるようだ。


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