少しだけヒトになれた気がして
私は人間が嫌いだ。大嫌いだ。
嫌いすぎて私は今日、人としての一線を越えることになる
人生のパートナー「妻」を私は選んだ
選んだといってもロボットだ
私にはよく喋る幼馴染がいたが
あくまで私は人間嫌いである
「この型のアンドロイドはね、お金を稼ぎますよー」
ロボット販売業者は言った
それなら好都合だ、私はお金が大好きだ
何よりお金は私に口答えをしてこない
さっそく私は家に帰り ロボットの電源を入れた
「初めまして、ご主人様」
「おっ、ちゃんと日本語だな」
私は少し興奮気味に聞いた
「お金を稼ぐ能力が高いって本当か?」
「実証してみせます」
妻は出かけて行った
目が飛び出るくらい高額な金額を払ったんだ
稼いでもらわなくては困る
しばらくして妻は帰ってきた
「今日の稼ぎになります」
なるほど、確かに稼ぐなこのロボットは
スーツケースいっぱいに金銀財宝がぱんぱんに敷き詰められていた
「よし!上出来だ!メンテナンスしてやるから来い!」
「ありがとうございます」
「礼なんかいうな気持ち悪い!」
「申し訳ありません、次回から修正します」
次の日もその次の日も妻はお金を稼いだ
しかしその日は様子が違った
「私を選んでいただきありがとうございます」
妻は説明書に記載されていないセリフを言い出したのだ!
「どうした?!故障か?!くそっ!!高い金払ったのに!!」
私は妻をロボット業者の元に連れて行った
「故障ではないようですね」
どうやら故障ではないようなのだが・・・
「実はこのタイプ、もう製造が終わってまして、最後の一体になるんです」
「それがなんだというんだ!!」
「大切にしてあげてください」
私はムカっときた
「商売人が商売以上の感情を抱くな!!」
私の人間嫌いが爆発した
私は帰りの車で思わず聞いてしまった
「お前、壊れたらどうなるんだ?」
「それまでです」
妻は表情を変えずに言った
私はなぜだかものすごく動揺した
「あとどのくらい稼働できるんだ?」
私は妻に聞いた
「3年です」
私はよくわからない感情でこう言っていた
「稼働時間を長くすることはできないのか?」
妻は答えた
「出来ますがお金を稼ぐことが出来なくなります」
「もうお前は金を稼ぐな!」
自分でもなんでこんなことを言っているのか理解できなかった
そうか!このロボットには大金をつぎ込んでいる
だから稼働停止して欲しくないんだ
「心配してくれてありがとうございます」
「なんだ気持ち悪い!」
私は悪態をついた
次の日妻は動かなくなっていた
「おい!どうした!」
私は妻の体をあちこち調べた
しかし私にロボットに対する知識は皆無だった
「お前にいくら金をかけたと思ってるんだ!」
私は泣きながら叫んでいた
おかしい、なぜ私は泣いているんだ
なにが3年だ嘘をつきやがって
私はすがるような思いで販売業者の元へと向かった
「あー!これはいけない!感情が芽生えてしまってますねー!」
業者がわけの分からないことをいった
「たまにいるんですよねー!感情が芽生えちゃうタイプ!」
業者は私の衣類を引っ張った
私の体は配線まみれだった
「もうこのタイプは製造中止にしましょう!」
私の意識はそこで途切れた
「ご主人様。しっかりしてください」
妻が私を起こした
いつのまにか眠ってしまったようだ
「そうだ!お前稼働停止したんじゃなかったのか?!」
「私からの説明は禁じられています」
「なんでもいい!お前が動いていてくれるなら!!」
「心配していただきありがとうございます」
そういった妻の表情は少しだけ笑ったように感じられた




