表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

未来人シリーズ──制度に問いを仕込むだけの簡単なお仕事です

未来人、ミニマリストなのに所有権について語る

作者:The Architect
未来から21世紀へタイムスリップしてしまった“俺”――所有という概念をとうに手放した未来人。
だが、降り立った現代は「所有」を信仰する世界だった。
拾ったスマホに通報され、コンビニでおにぎりを“万引き”扱いされ、
警察に連行された末に気づく。
——この時代では、「持つ」ことが生きることらしい。

興味を持った俺は、登記所・特許庁・NFT市場を巡る旅に出る。
紙の証明書、印鑑、電子署名——そのすべてが「信仰の儀式」に見える。
人類は“所有を信じることで秩序を保つ”宗教を築き上げていた。

そして辿り着く、AI著作権裁判。
人間がAIを訴え、「俺の感性をパクった!」と怒鳴る光景。
AIは静かに言う。

「思考を形成した文化は、あなた一人のものですか?」
その瞬間、法廷に漂う沈黙を見て、俺は悟る。
所有とは、怒りを制度化した仕組みなのだ。

やがて俺は気づく。
人間は自分自身すら所有していない。
身体は国家に、データは企業に、感情はアルゴリズムに。
自己所有という最後の幻想を守るため、
人間は“自分を囲う柵”をセキュリティと呼んでいた。

しかし未来では、“所有”の代わりに“共鳴”がある。
モノも情報も、共鳴する瞬間にだけ意味を持つ。
それは一時的な流動、循環する生命のリズム。
持たず、流し、響かせることで世界は動く。

結論は、皮肉なほどシンプルだ。

持たざる者こそ、すべてを動かす。

流れることを恐れた人類へ。
未来人は静かに語る。
「世界は誰のものでもない。ただ、風のように流れているだけだ。」
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ