第二十二章 出会い(二)
青空と白い雲の下、球体状のニーナ号が空中に浮かんでいた。下層の動力室では全出力モードが起動され、ニーナ号はゆっくりと加速しながら、高通星の天空に広がる海流層へと突入していった。その空の流れに乗り、ニーナ号は青龍城へ向けて進んでいく。
冷凝霜は自身の修練室で静かに座し、心を整えていた。そのとき、彼女の左耳に着けられた紅梅の形をしたイヤリングから声が聞こえた。
「青龍二部第六組風部監察司、身分確認を求む。繰り返す、身分確認を求む!」
誰も予想していなかったことだが、青龍城は高通星の上空に存在する海流層で通信を行える、極秘の技術を持っていたのだった。
「冷凝霜、青龍風部 房宿監察史。身分コード:房心兎。」
「身分確認完了。コード確認完了。ただいま、冷大人を接続中……」
「凝霜、俺だ。冷鋒だ。いま、颶風奈落に関する情報を確認したい。
奈落に意識はあるか?
現在の颶風奈落の状態は?
奈落空間内部に関する全情報。できる限り詳細に。」
「颶風奈落は意識を持つ気体生命体で、何者かに操られていた疑いがあります。奈落の中心部では、夏后星命が神念で実体化し、手を下しました。現在、颶風奈落はすでに滅びています。詳細な情報は風部監察司の規定により、面会の上でのみ報告可能です。」
「夏后星命……彼女が奈落空間に現れただと?しかも手を出した?!凝霜、青龍城に戻ったら、まず家に寄って俺に会いに来い。それでは、またな──俺の娘よ。」
冷凝霜は一瞬呆然とした。あの男が、まさか自分を「娘」と呼ぶなんて。思えば、自分はもう父の顔さえも、ほとんど思い出せなくなっていた。
大きく息を吸い込み、冷凝霜は慣れた動きで《雪晴帖》の心法口訣を唱え始める。その瞬間、脳裏に月夜無霜の清らかで凛とした静心咒の声が響く──
「オン・アミダバ・シャ……」
もしかしたら、初めて静心咒を聞いたせいか、冷凝霜の思考は乱れ、神念も不安定になった。いっそ塞ぐより流すが吉。彼女は自らの思考に身を委ね、心を天高く飛ばすように意識を漂わせた。
すると、不意に思い出が蘇った。九年前、啓明塔学院で修行していた頃、「啓明の智者」と自称していた蕭元聖が語っていた、啓明塔入学試練についての考えである。
──もし自分が啓明塔の第一試練を設計するなら、きっと罠だらけにして全員を落とし穴にはめてやる──
まずは、2時間以内にチームを組まなければ失格という条件。その間に仲間を見つけられない者は脱落となる。だが、頻繁にメンバーを変えたり、自尊心が高すぎて他人を見下すような者は、特別にマークされることになる。彼らはそもそも啓明塔で修行するに値しない。啓明塔が重視するのは、少人数チームでの協力と開発能力であり、これは高通星の野外探査において最も適したモデルだと、実践で証明されている。
次に、3人・6人・9人チームという形式。多くの人はすぐに3人チームを選ぶだろうが、それこそが罠だ。6人、9人のチームには、3人チームでは得られない明確な優位性がある。自分なら迷わず9人を選ぶ。
最後に、「チーム全員の番号の合計が369を超えてはならない」という条件。これが最大の落とし穴だ。なぜなら、すべての受験番号は以下の3タイプに分かれているからである。
数字タイプ──370〜999までのランダムな数字。
記号タイプ──加減乗除などの記号、あるいは特殊な象形文字。
空白タイプ──中には番号が完全に空白の者が3名いる。
特に、「666」「999」、そして空白番号の3名は、ある特殊な能力を持っているという。
……
荘莫言は、少しバツの悪そうな顔で鼻をこすった。三度目だ。あの冷たそうな少年に、無情にも三回も無視されたのは!
荘莫言は、ついに自分の「必殺兵器」──月夜無霜の登場を検討しようとしていた。だがその時、樊清雪が一人の少女を連れて近づいてきた。
その少女は、まるで隣に住む妹のような清楚な風貌で、黒くて太いおさげ髪をしており、頬には少し恥じらいの笑みが浮かんでいた。
──司南は、ついに荘莫言と再会したのだった。
もしかすると、荘莫言は、かつて数年前に彼女と出会ったあの出来事を、もう忘れてしまっているのかもしれない。