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第十九章 劫波の果て



高通星ガオトンセイ星核コアは、星の中心に位置し、直径約3600キロを誇る。しかしその内部は固体でも液体でも、半融解金属でもない――むしろ小型ながら実体を伴うブラックホールだった。半月型の弦波が周囲を取り巻き、眩しさを抑えた黄金光を放つ。その上には巨大で透明な結界がめぐらされ、さらにその外側を黄金の外殻が包んでいる。外殻の液体の金は高通星の自転とは逆向きに、穏やかに渦を巻いて流れ、鏡のように内部の光を映し、星核はまるで内部に小さな太陽を宿したかのようにきらめいた。


その結界封印の要衝に、夏后星命かこうせいめいは珍しく弱々しく庄重ショウチョンにもたれかかっていた。庄重は渕を思わせる風格と高峰のような威厳を併せ持ち、穏やかで朗らか、落ち着いた佇まいを漂わせる。熊の背と虎の腰を思わせる壮健な体躯、剛直な国字面に大きな耳と目、濃い眉、すっとした鼻梁、方正な口元、額に刻む虎紋、燕のくちばしのような顎を備え、そのまなざしは温かい親和力を湛えている。特にその両拳は、並外れた鍛錬によって鍛えられたことを如実に物語っていた。


「今しがた、ようやく我が子に会えたというのに、心は悲しみに満ちている。彼が立派に成長し、健康で美しい若者になったことは嬉しい——だが同時に、あまりに長く見守ってやれなかった自分を悔やんでいる。モモを抱きしめたことも、ミルクを飲ませたことも、一歩を支えたことも、服を縫ってやったことも、食事を作ったことも、彼に「ママ」と呼ばれたことも、ひとつも――してこなかった……」


蕾蕾レイレイ……すべては私の不徳の致すところだ。長年モモを置き去りにしてしまった。」


庄重が優しく星命の肩を叩くと、その直後、晶化した巨手が透明な氷塊を掴んで出現し、二人の前にあらわれた。


――


吉吉島ジージーとう、ニーナ号の最上甲板、艦長室。


雷洛を包む光の繭は蝉の羽ほどに薄くなりながらも、なお鋭く輝きを放っていた。やがて「パンッ」という破裂音とともに繭は無数の蝶のような破片となって飛び散り、ゆっくりと雲気となって消散した。


庄莫言は甘美な夢の中にいた。夢の中では、極上の優しさをたたえた女性が彼を抱きしめ、子守唄のように腕の中へと招き入れてくれていた。いましがた、「ねえ、あなたは私のママなの?」と尋ねかけたその瞬間、「ドンッ」という轟音が彼を目覚めさせた。


反射的に「正眼法蔵せいがんほうぞう」を発動した庄莫言は、まだ飓風奈落の空間内にいると錯覚し、両手で結印を組んで雷洛の最後の息をつなごうとしていた。だが脳裡に「パチン」という音が走り、まるで優しい母が頬をそっと叩くようにして、彼の正眼法蔵は封じられた。目に映るのは一つの銀色に輝く美しい六芒星印だけであった。


正眼法蔵――これこそ「五眼正而万法蔵ごがんせいじばんぽうぞう」の術。五つの眼とは肉眼、天眼、慧眼、法眼、仏眼を指す。庄莫言は今まさに入門したばかりの「肉眼級」でしかないはずなのに、誰がこんな非道を……と思考が駆け巡る。だがその瞬間、心をよぎったのは慈悲と聖性を兼ね備えたあの顔だった。「先輩、どうか……あなたではありませんよね?お願いだから、許してください……」


――


啓明城けいめいじょう西港ウェストハーバー、数々の劫波をくぐり抜けたニーナ号は、ついにゆっくりと入港の舷門をくぐった。啓明城は、長い旅路の果てにようやく彼らを迎え入れたのだった。


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