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第十八章 霜霜の再会**



天鵬てんほうの飛翔は比類なく、ただ一文字で言えば――「速」そのものだった。


夏后星命かこうせいめいは震えるように、眠り込んだ庄莫言チャン・モーイェンをそっと抱き寄せた。彼を息子として送り出して以来、これが初めての抱擁だった。たとえ彼が今や十七歳の青年になっていても、母の愛情は変わらなかった。だが、飓風奈落ハリケーン・ナラクの本源霊識を封印し、その空間を解放するために費やした力で、夏后星命の神念化身はすでに力を使い果たしつつあり、姿はぼんやりと霞み、透明に近づいていた。背後には不透明な巨大氷塊が浮かび、その中に雷鳴ライメイの大身躯が氷結されていた。


冷凝霜れいぎょうそうもまた、雷洛レイルオを包む光のいとぐるまのそばに慎重に寄り添い、その冷たい表情を変えずに母に続いた。背中には月のように弧を描く二本の刀と、雲紋が縦横に刻まれた真新しい霜剣そうけんを背負っていた。彼女は無言で庄莫言を見下ろした――まだ夏后星命の胸で眠り続ける彼を。その瞳には疑惑と驚きが渦巻いていた。


そこへ、一閃の金光が走り、小さくて愛らしいてのひら大の飛天人形が庄莫言の胸元にふわりと現れた。


「モモ、どうしたの? あら、眠っちゃってたのね。ほんとに怠け者さん! びっくりして心配したんだから!」


小小霜しょうしょうそう、また会えて本当に嬉しいよ!」


「わあ! ~レイレイ~」


突如として空気を切り裂くような喜びの叫びを上げ、月夜無霜はくるりと宙を舞いながら夏后星命に飛びついた。「シュッ」という音とともに、月夜無霜は透明に近づいた夏后星命の神念化身をすり抜けた。


「うわっ、レイレイ、大丈夫ですか?」

言葉と共に、月夜無霜は再び小さく繊細な「引路飛天人形」に変身した。彼女は永遠の暗闇から最初に目覚めたとき、自分に最大の温もりを与えてくれた、あの清らかで聖なる顔を忘れない。


「小小霜、平気よ。ただ、私の神念化身がもう長くはもたないだけ。小小霜、本当にありがとう。モモのことを見守ってくれて、ずっとそばにいてくれて。」


「レイレイ、私、モモのことが大好き。モモは私にとって一番大切な人だよ。あなただって、同じでしょ!」


「ふふっ、小小霜、あなたは相変わらず可愛いわ。私の心の中では、あなたもモモと同じくらい大切な存在よ。この『奈落の針』、あなたに託すわ。これは飓風奈落の本源霊識を封じたもの。十年のあいだ、奈落は目覚めない。その後も百年のあいだはモモに従うと血誓を立てている。違えれば霊識は即座に崩壊し、二度と蘇らないの。」


再び、成人の腕ほどの長さの木杖が、頂端の円形孔に銀色の六芒星印を浮かべて光を放った。杖全体には顕青色の飓風状霊紋が浮かび、ゆっくりと月夜無霜へと漂っていく。光をまとい徐々に縮小し、やがて月夜無霜の小さな掌にぴったりの薄青色の「奈落の針」となった。


「小小霜、これは小霜霜しょうそうそうよ。表情は冷たくとも心は優しい子。今度『静心の呪』を教えてあげてね。さもないとあの冷炎れいえんという人の変な『雪晴帖せっせいてん』で心を凍らされちゃうかもしれないから。」


月夜無霜と冷凝霜の初対面は、庄莫言がまったく気づかないまま、彼が深い眠りに落ちている間に起こっていた。月夜無霜は冷凝霜の雪のように凜とした冷美に驚き、冷凝霜は笑顔を絶やさぬ月夜無霜の可愛らしさに心底羨んだ。


「小霜霜、氷と雪の賢いあなたなら、きっと庄莫言の正体に気づいているはず。彼のことは秘密にしてほしい。私の大切なモモを、あなたに託すわ。どう? うちの息子、すごくイケメンでしょ?胸がときめいた?私の未来の嫁だものね、ふふ……」


そう笑いながら、夏后星命の神念化身は二つの六芒星に分かれた。一つはすっと庄莫言の眉間に封じ込められ、もう一つは一輪の白玉のように純白な「白玉棠はくぎょくとうの花」に変じて冷凝霜の胸にそっと舞い降りた。


「小小霜、私はもうモモの精神力を封印したの。うちの息子は私と同じく、精神力で異化できるスーパー天才よ。だから危険を招かぬよう封じておかないとね。啓明塔けいめいとうのあの老学者どもは甘く見ちゃいけないわ。小小霜、モモを頼むわよ。」

夏后星命の声が、月夜無霜の脳裏に柔らかく響いた。


「小小霜、絶対にこれは秘密よ!誰にも話してはいけない。特に青龍城・夏家には、そしてあなたの家族にも。もしものときは私を呼ぶのよ、未来の嫁ちゃん。えへへ!」

冷凝霜の脳裏にも同じく、夏后星命の声が響いていた。


そのとき、小さな拳大の紫水晶の印章が空中に現れ、一拳が地を打つと、闇に沈む地下へと続く黒い洞穴が忽然と口を開いた。次いでそこから一つの結晶化した巨大な手が飛び出し、雷鳴を氷結させていた巨大氷塊を掴んで洞穴へと引きずり込み、闇のなかへと消え去った。そして紫水晶の印章はゆっくりと浮かび上がり、庄莫言の胸元へと静かに収まった。




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