表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/45

第十四章 雷鳴の覚醒



雷鳴ライメイ——まるで再び青龍城下、第三区の暗い路地に戻ってきたかのようだった。

彼は腕に数枚の野菜パンと少量の人工合成肉を抱えていた──それは、自分が献血して得たわずかな金で買ったものだ。妹の雷洛レイルオは家で自分の帰りを待っている。もうこれ以上献血はできない。体がもたないのだ。どうしても生活が立ち行かなくなれば、隕石を砕くしかない。かつて自分は、隕石に触れることを永遠に誓ったはずなのに。


隕石資源こそ青龍城にとって最重要の資源である。現在、人類が発見しているのはただ一つの大気圏開口部――「青龍之口」。そこでは中小型の星際輸送艦が発着し、隕石帯から採掘された隕石を搬出している。隕石にはエネルギー結晶が眠っており、さらに20~30%ほどは隕石合金を採掘できる。残りは廃石として分類される。青龍会と白虎社――青龍城の二大財閥は血の雨が降るような交渉を経て合意し、青龍会が廃隕石の60%を処理し、白虎社が30%を担当、残り10%は城邦鑑定会に一任すると決定した。そして、両者の資金で建設されたのが十二城邦に名を轟かせる宝くじ場――「青龍頂」である。ここでは廃隕石に潜むエネルギー結晶を賭ける「賭石」が主業となり、一夜にして富を築く者も現れた。その噂は賭石を求めるギャンブラーを引き寄せ、高利貸しや鑑定、買い戻しといった周辺産業をも生み出した。


雷鳴と雷洛の父、雷震ライシェンも、かつては賭石で騙された愚かな男だった。莫大な家財を散逸し、妻は心労のあまり病に倒れ、一家は破滅へと向かった。最終的に雷震も青龍城の外で不審死した。

幼いころから異様に発達した肉体を持っていた雷鳴は、人一倍の怪力を誇り、隕石を砕くよう誘われてもすべて断ってきた。


──ある夜、雷震は薄暗い台の上に、祖父から譲り受けた大切な隕石を置いた。碗の底ほどに小さく見えるその塊を前に、雷鳴の胸は張り裂けそうだった。これは父の遺物であり、自分にとって命よりも大切なものだ。


「ドン、ドン、ドン……」

雷鳴は鎚を握り締め、隕石に一撃を加えた。すると──割れた隕石から、灰色の、親指大のしずく状の粒がころころと転がり出てきた。雷鳴は無意識に左手を伸ばし、その粒に触れた瞬間、灰色のしずくは一瞬にして彼の左手薬指の中に溶け込んでいった。


──ふと、妹の清らかな歌声が耳元に聴こえてきた。あの晩、自分だけのために歌ってくれた歌。


「遮天蔽日の飓風ハリケーン、龍のようにまがりくねり……風壁は山のごとく、雲のごとく、海のごとく……」


その歌は、雷鳴の瞳を再び開かせた。

左目は深い藍色に沈み、内部で永遠に旋回する風を宿し、右目は銀白に輝き、内部で雷鳴を轟かせているかのようだった。


「兄さん、とうとう目を覚ましたのね。わたしだよ、ロロよ!」

雷洛のひそやかな声を聞き、雷鳴は妹の青ざめた顔を見た。記憶の中の小さな雷洛の顔と、今まさに目の前にいる雷洛の面影が徐々に融合していく。そして、目に飛び込んできたのは、胸を貫く自分の右拳の姿だった……


奈落ナラク、おまえは死んでも償えぬ罪を犯したな……ああ……」

雷鳴は憤怒に駆られ、左手の薬指をそのまま左目に突き刺した。指を眼窩からえぐり取り、つぶし、そのまま地面に放り投げた。そして、左手を刀のように構え、自らの右腕を激しく斬り払った。


雷洛は両手で飛ぶ花のようにその一撃を防ぎ、雷鳴の左手を抑え込もうとした。

「兄さん、もう自分を傷つけないで。死んじゃダメよ。兄さん、わたし、すごく疲れたの。昔、わたしを寝かしつけてくれた歌をもう一度歌ってくれない? わたし眠い、おやすみしたい……兄さん……」


荘莫言は親指・人差し指・小指を伸ばし、残る二指を折り畳んで「しゃ」の字を結んだ。これは「復元」を象徴する印である。彼は重く沈んだ表情で雷鳴に向き直り、言った。

「おまえの傷はこれ以上悪化させないことは保証する。でも、雷洛の時間は本当にもう残り少ない……」


その言葉を聞いた雷鳴は、木のように動けなくなった。「運命の神」がまるで道化のように自分を嘲笑っているかのように感じられた。九年を経て遂に目覚めたというのに、今なお自分は妹・雷洛を救えない。彼女が死んでいくその姿を、ただ黙って見つめるしかないのか……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ