第十四章 雷鳴の覚醒
雷鳴——まるで再び青龍城下、第三区の暗い路地に戻ってきたかのようだった。
彼は腕に数枚の野菜パンと少量の人工合成肉を抱えていた──それは、自分が献血して得たわずかな金で買ったものだ。妹の雷洛は家で自分の帰りを待っている。もうこれ以上献血はできない。体がもたないのだ。どうしても生活が立ち行かなくなれば、隕石を砕くしかない。かつて自分は、隕石に触れることを永遠に誓ったはずなのに。
隕石資源こそ青龍城にとって最重要の資源である。現在、人類が発見しているのはただ一つの大気圏開口部――「青龍之口」。そこでは中小型の星際輸送艦が発着し、隕石帯から採掘された隕石を搬出している。隕石にはエネルギー結晶が眠っており、さらに20~30%ほどは隕石合金を採掘できる。残りは廃石として分類される。青龍会と白虎社――青龍城の二大財閥は血の雨が降るような交渉を経て合意し、青龍会が廃隕石の60%を処理し、白虎社が30%を担当、残り10%は城邦鑑定会に一任すると決定した。そして、両者の資金で建設されたのが十二城邦に名を轟かせる宝くじ場――「青龍頂」である。ここでは廃隕石に潜むエネルギー結晶を賭ける「賭石」が主業となり、一夜にして富を築く者も現れた。その噂は賭石を求めるギャンブラーを引き寄せ、高利貸しや鑑定、買い戻しといった周辺産業をも生み出した。
雷鳴と雷洛の父、雷震も、かつては賭石で騙された愚かな男だった。莫大な家財を散逸し、妻は心労のあまり病に倒れ、一家は破滅へと向かった。最終的に雷震も青龍城の外で不審死した。
幼いころから異様に発達した肉体を持っていた雷鳴は、人一倍の怪力を誇り、隕石を砕くよう誘われてもすべて断ってきた。
──ある夜、雷震は薄暗い台の上に、祖父から譲り受けた大切な隕石を置いた。碗の底ほどに小さく見えるその塊を前に、雷鳴の胸は張り裂けそうだった。これは父の遺物であり、自分にとって命よりも大切なものだ。
「ドン、ドン、ドン……」
雷鳴は鎚を握り締め、隕石に一撃を加えた。すると──割れた隕石から、灰色の、親指大のしずく状の粒がころころと転がり出てきた。雷鳴は無意識に左手を伸ばし、その粒に触れた瞬間、灰色のしずくは一瞬にして彼の左手薬指の中に溶け込んでいった。
──ふと、妹の清らかな歌声が耳元に聴こえてきた。あの晩、自分だけのために歌ってくれた歌。
「遮天蔽日の飓風、龍のようにまがりくねり……風壁は山のごとく、雲のごとく、海のごとく……」
その歌は、雷鳴の瞳を再び開かせた。
左目は深い藍色に沈み、内部で永遠に旋回する風を宿し、右目は銀白に輝き、内部で雷鳴を轟かせているかのようだった。
「兄さん、とうとう目を覚ましたのね。わたしだよ、ロロよ!」
雷洛のひそやかな声を聞き、雷鳴は妹の青ざめた顔を見た。記憶の中の小さな雷洛の顔と、今まさに目の前にいる雷洛の面影が徐々に融合していく。そして、目に飛び込んできたのは、胸を貫く自分の右拳の姿だった……
「奈落、おまえは死んでも償えぬ罪を犯したな……ああ……」
雷鳴は憤怒に駆られ、左手の薬指をそのまま左目に突き刺した。指を眼窩からえぐり取り、つぶし、そのまま地面に放り投げた。そして、左手を刀のように構え、自らの右腕を激しく斬り払った。
雷洛は両手で飛ぶ花のようにその一撃を防ぎ、雷鳴の左手を抑え込もうとした。
「兄さん、もう自分を傷つけないで。死んじゃダメよ。兄さん、わたし、すごく疲れたの。昔、わたしを寝かしつけてくれた歌をもう一度歌ってくれない? わたし眠い、おやすみしたい……兄さん……」
荘莫言は親指・人差し指・小指を伸ばし、残る二指を折り畳んで「者」の字を結んだ。これは「復元」を象徴する印である。彼は重く沈んだ表情で雷鳴に向き直り、言った。
「おまえの傷はこれ以上悪化させないことは保証する。でも、雷洛の時間は本当にもう残り少ない……」
その言葉を聞いた雷鳴は、木のように動けなくなった。「運命の神」がまるで道化のように自分を嘲笑っているかのように感じられた。九年を経て遂に目覚めたというのに、今なお自分は妹・雷洛を救えない。彼女が死んでいくその姿を、ただ黙って見つめるしかないのか……。