STORIES 033:アルジャーノンに花束を
STORIES 033
知的障害を持つチャーリィは、パン屋で働きながら、それなりに楽しい毎日を送っていた。
でも、みんなと同じように賢くなって、もっと色んなことを出来る様になりたい。
ある日彼は、知能指数を向上させる先進的な脳手術を受ける機会に恵まれる。
先に同様の手術を受けた、天才ハツカネズミのアルジャーノンとの交流。
彼らは周囲の誰よりも賢くなることに成功するが…
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ダニエル・キイスの代表作。
映画化やドラマ化もされたが、原作を活字で読むほうが100倍面白い作品。
高校を出るか出ないかくらいの頃に、何かの書評を読んで気になったこの本を、ハードカバーで手に入れた。
いろんな感情、複雑な心境になるけれど、面白い内容であることは間違いない。
何度も繰り返し読んだ。
読んだことのない方はぜひ。
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大学生になりたての頃、一人暮らしをする友人が急に増え、みんな面白がって泊まりっこしていた時期がある。
そのなかには、高校の頃は一言も口を聞いたことのないメンバーもよく混ざっていた。
話すと仲良くなるんだよね。
知らない土地で暮らしていて、もともと顔を知っている人に会うとね。
まあ、そんなだから、変な距離感の友人が急に増えたりしていた。
親しいのかそうでもないのか、よく分からない。
単なる友達なのか、恋愛沙汰に発展しそうなのか、なんだか曖昧な位置の人たちも。
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そんな感じで、人の出入りが多かった頃。
CDや本の貸し借りをすると、だいたい返せなくなったり戻って来なくなったりした。
そういう時って、お気に入りを勧めちゃうから、後で後悔するんだよね。
アルジャーノンに花束を
この本も戻って来なくなった。
2回くらいしか会っていない女のコに貸したまま行方知れず…
とはいえ、僕も他の友人・知人から借りたCDが、30年経っても手元に残ってたりするので…
お互い様というか、そういう時期に当たっちゃっただけかな。
借りたものを返す前に、その相手との付き合いがなくなってしまう。
そんなこと、実家にいた頃はあまり考えたことがなかった。
友達付き合いって急に消えるんだね。
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その後も、貸したものが戻らなくなることは多々あったけれど…
当時と違うのは、貸す時に「もう戻って来ないかもな」と思うようになった点。
もう僕は、今日会った誰かとまた当然のようにすぐ会えるなんて思っていない。
もしかしたら、このまま一生会えなくなるのかもしれない。
実際、そんなことも何度かあったし、ね。
せめて天国まで…
僕が貸したものを持って行ってくれたなら。
そこまで大切にしてくれるというのなら、もう戻ってこなくとも諦めもつくのに…
あの本は、後でペーパーバックで買い直した。
まだ何度か読み直したかったからね。
すべての出会いに花束を。