昼の乙女と夜の王子 3
え?今日の彼、への字口。怖い顔。
乙女がお使いに行く時には、ちょっとだけ回り道をして、一番大きな木のそばを通って行く。たまに、ちょうど王子がいてチラッと姿を見る事ができる時があるから。
昨日、乙女は新しい靴を下ろしたのだけれど、思いの外長く歩かなくてはならなかったので、少し靴ずれを起こしてしまっている。痛くて、つい、足を引きずってしまう。
乙女の気をひこうとする男たちは多い。面白い話をしたり、興味深い事を教えてくれたり。偶然のような顔をしてぶつかってベタッとくっついてみたり。異様に近づいてきたり。乙女がいつも通る場所で待っていたり。みんな、どうやって乙女の気持ちを捉えようかと考える。
王子だけは、乙女の歩き方が少しおかしい事にすぐ気づき、どうしたんだろうと心配している。
自分のことしか見えていない男たちよりも、ちゃんと乙女の事を見てくれる王子のことが、乙女は大好き。……顔が怖くなっちゃってても。
ちなみに、その時、王子は怒っていた。
(俺がいない所で怪我なんてするなよ!)心配しすぎて。(大丈夫なんだろうか?無理してないだろうな?)なんなら、自分が抱っこして運びたい。怪我なんてしないように、しまっておきたい。
……そこまでは、思ってないかもしれない。




