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プロローグ

「空飛ぶ古代遺跡」に「悪魔の石炭」、並み居る魔法使いたちが繰り広げるドタバタハイテンションファンタジー



【ウィル・オウ・ザ・ウィスプ】を知っているか?



夜中、湿地や森を歩いていると、遠くの方で青白い(あか)りが見える事がある。


誰かいるのだろうか? と、ついそんな事が頭をよぎってしまう。


が、すぐに何がいるのか想像して、恐ろしくなってその考えを頭から振り払う。


でも周りは真っ暗闇。嫌でも灯りがちらついてしょうがない。


そして知らず知らずの内、いつの間にかその灯りの方について行ってしまう。


行きつく先は深い深い森の中、か、はたまた泥沼の深底か。


いずれにせよその人はもう、帰ってはこれない。


そんな伝説。


妖精や幽霊の仕業という人もいるし、自然現象で説明しようとする人もいる。


でもこの灯りには、或る逸話があったりする。



【迷魂を導きし一族】を知っているか?



はるか(いにしえ)の時代のこと。


一匹の悪魔が、聖職者の仕掛けた罠にかかって死にかけていた。


そこへ一人の男がやってきて、助けを求める悪魔にある契約を持ちかけた。


『自分がこれから先、どれだけの悪事を働いても、絶対に地獄には落ちないように取り計らう事』


悪魔はこの契約を飲み、以降男はどれだけ悪事を働いても、絶対に地獄に落ちる事はなくなった。


男は生きている間、思いつく限りの悪行をやってのけたが、やがて流行り病であっさり死んだ。


死んだところで男は何一つ、心配などしていなかった。


自分には悪魔との契約がある。恐れる事は何もない。俺は地獄へ落ちる事はないのだから。


男はそんな事を考えながらのんきに天国への階段を昇って行った。


しかし、天国の門番に生前の悪行を全て見抜かれてしまい、そのまま地獄へ落とされてしまう。


とんだ勘違い。地獄に落ちないからと言って、じゃあ天国に行けるのかと言うとそれは話が違う。


そして、結局落とされた地獄でも、


「悪いけどアンタ、地獄には入れないよ」


地獄の門番にそう言われ、男は地獄でも門前払いをくらってしまう。


男は天国にも地獄にも行けず、かといって現世にはもう帰る事が出来ない。


行き場を失った男は、天国でも地獄でもない、その隙間、永遠の暗闇(くらがり)が広がる【辺獄】を彷徨うことになった。


途方に暮れ、当てもなく歩き続ける男を哀れんだ一匹の悪魔が、燃え盛る地獄の業火の中から火のついた石炭を一つ取って、燈火(ともしび)として男に渡した。


故に彼は【|Will-o'-The-Wisp《迷いの火》】と呼ばれる。


男は今でも悪魔の石炭を頼りに辺獄を彷徨い歩いていると言い伝えられる。


そして理不尽にもこの呪いは彼の子孫にも受け継がれた。親の因果が子に報ゆ。


子孫たちも彼と同様に、天国へも地獄にも行くことはできない。死後、永遠に辺獄を彷徨い歩き続ける。


まいった子孫たちは、どうにか先祖の罪をあがなう為、せめてもの善行を積み、現世を彷徨う哀れな魂をあの世へと案内し続けているのである。



これが()の一族にまつわる一つのいわれ。



前振りが長くなったが、こっからが本題。


これより語られますのは、その一族にまつわるもう一つの逸話。


その一族に生まれた一人の異端者の物語。


奇しくも、始祖と同じ名を冠された、もう一人の(ウィル)の冒険活劇。



『元は宮廷魔術師、いま国賊。どうにかお城に帰りたい』

原題:『Will-o'-wisp Again』

原作/翻案/噺:森岡 幸一郎



これより開演。ぱちぱちぱち。





【よこざん】先生作『元は宮廷魔術師、いま国賊。どうにかお城に帰りたい』 MV


挿絵(By みてみん)





渾身の作品です。

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