6…森の中①
しばらく森の中を進んでいくと、
ファイヤーモンキーの
好物の果実の木が生い茂る
山の麓が見えてきた。
この果実、
街の人達も日常的に食べていて、
もちろん、私やハナラさんも大好きなのだが、
ファイヤーモンキー達は、
主食として食べる程好んでいるものの、
その割に、
街の人達が果実の収穫に来ても
姿を隠しはしても、
気を荒立てるようなことはしない
寛容さが見られるのであった。
一方、凶暴化して街まで追われた
という報告も
ちらほらあり、
その差が分からないのが、
この街でファイヤーモンキーが、
民の生活と交わらない理由でもあった。
「そろそろファイヤーモンキーの警戒範囲に入りますが、準備を始めていいですか?」
とハナラさんは、確認のつもりで
この元勇者のユーキに
聞いてきた。
いえ。
ハナラさん。
この持ってきた、赤い縁の「太鼓」があれば、
今までのようなファイヤーモンキーとの主従契約も、
警戒解除魔法も
必要がないはずなんですよ。
だって、
バズってたの知ってるし。
(???また、バズってるが出てきた?)
ハナラさんは、
甚だ信じられないといった
表情を浮かべている。
しかし、元勇者のユーキは、
自信はなぜか、あるのだった。
そのまま歩き続けたので、
ファイヤーモンキーの
姿どころか、気配も感じない。
果実のなる木が生い茂り、
光が差し込むその場所に着くと、
ハナラさんと私は、
果実でとりあえずの腹ごしらえをした。
よーし。始めよう。
一見ランチボックスに見える持参したカゴを開け、
「モノを小さく軽くする魔法」で
入ってもらっていた
街の協力者さん達と、その子ども達を元の姿に戻し、
私を中心にして、前方に座ってもらう。
元勇者の私は、
トーン トン トン…♪
と太鼓を叩き始めた。
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