34…繁盛への道②
「ハナラさん。ちょっといいですか?」
「はーい!今行きます。」
「これなんですけど…。」
「あぁ、それは、このソースをかけて炒めてください。」
ハナラは食事処のメニュー指南役で
この数日は忙しい。
街の雇用も期待されてのオープンだったので、
街の多くの人が、この施設に関わることになった。
「ユーキさん。ファイヤーモンキーの
踊りの太鼓のリズムが何かちょっと違うみたいなんですけど。」
元勇者のオレは、
ファイヤーモンキーとの
「フレンド登録」してもらう為の
太鼓指導と、
(何か、そう名付けたらどうか?と心の中から聞こえた気がした。)
都やその先の村に出向き、クランなどに
ファイヤーモンキー温泉の
広報活動に回っている。
もうすでに受付業務や、ある程度の運営は
街の人に任せて大丈夫になり、
継続的に行っている
新人研修にも、応募が途絶えない施設になりつつある。
こう言ったらなんだが、
近隣の街や村には
既に評判の施設になった。
……………
うーん。
何だったかな「バ◯△※…」
何か使命的な、やらなくてはいけない事があったような…。
まぁ、元勇者のオレは、
転生者でもあるので、
ある程度、上手く立ち回れるようになったかな??
と思っている。
しかし、オレはパーフェクトではない!
特に、ネーミングセンスがゼロ。
ついこの前まで、何とも自然に口から出ていたはずの
言葉が思い出せない。
だからかな…。
今までの経験から身に付いたものはあるが、
この世界で新たに得た魔法は
「モノを小さく軽くする魔法」
転生者でなかったら、
元勇者にはなれなかったであろう。
あぁ、それにしても「バ◯△※…」
思い出せない。
デスクに肘をついて、考え込んでしまった。
…………
「ユーキ。何考え込んでるの?
ハーブティー飲む?私も一息ついたところよ。
一緒にどう?」
「あぁ、ハナラありがとう。じゃあ、一緒にいいかな?
今日も忙しそうだね。」
ハナラは微笑み、
キッチンからお茶を持ってきてくれた。
「ねぇユーキ、何考え込んでたの?」
「あぁ、どうしても思い出せないんだ。
何か、このファイヤーモンキー温泉には、
もう一つやらなければいけない使命があったと思うんだけど、
何だったか…。」
「あら?それはもちろん、私の父さんへの
ご機嫌とりでしょ?私を…その…お嫁さんに…してくれるための…。」
急にハナラは、顔を赤らめてモジモジしている。
「うん。それはそうなんどけど、
それはまた別の目標みたいなもので…。
バ◯△※… って言ったような。」
「あら?バズることでしょ?」
「えっ?何だって?」
「よく言ってたじゃない。
これはバズること間違いなし
だって。」
そうだった…。
(バズること)も目標だったんだ。
…………
一口、また一口とハーブティーを口にふくみ、
カップに注がれたハーブティーを覗きこむと、
何かをあとちょっとで思い出しそうな気分だった。
「そう言えば、あの、ゲームコーナー??人気よ!
ストーンを打ち合うゲームや、魔法力を試せるゲーム?何ていつも並んでやってもらっているわ。
あと、昨日なんてね、コインを手に、ゲームだけしたいって子もきたのよ。凄いのね。ゲームって。
人って平和なら、遊ぶのが、子供も大人も好きだったのね。
なんだったかしら、あのゲーム…。?」
「あぁ、スイーツ・プラネットのことだね?」
「そうそう。私も少しやってみたのよ。
後で一緒にやってみない?ユーキ?」
「あぁ、勿論さ。オレは負けないよ?」
それだけは、凝りに凝って再現した。
転生前に、何度も何度もクリアして楽しんだ、
思い出のゲームだったから。
面白かったらブックマークと評価、いいねをお願いします。
応援メッセージもお待ちしています!