28…いざ出発②
「ナラさんにこれを見て欲しい。
これは、スマホと言って、
今から行く、大ダンゴムシの住処を
絵で描いて 何と言うか…
地図にして、魔法をかけて、
どう進めば、より安全に行けるか、
教えてくれる道具なんだ。」
「そんな魔法具があったのですね!」
「フムフム。
大ダンゴムシは4匹…、
ビームで撃って、進路が空いた所で進むのですね?」
「ナラさん、イメージできた?
そして、もう一つ伝えることがあって…。
オレは操縦士ではない。」
「え?だって、ユノさん宇宙船、操縦してたじゃないですか?」
「実は、船は自動で操縦…されるんだ。
多分、オレの心の中の声が、操作しているんだ。」
「だからオレは、
資源を食べ続けて、
船が重くなって沈まないようにすることが
主な仕事なのさ。
カッコよくも何もないのさ。」
「そうなんですね。でも、
旅を一緒にする仲間であることにかわりないです。
そして、私を守ってくれる気持ちでいることも…。
嬉しいですよ。
さぁユノさん。行きましょう。」
…………
2人で宇宙船に向かった。
「今回の船も、さらに大きいですね。」
あまりの大きさに、周りを1周することもなく、そのまま乗り込んだ。
「行きましょうナラさん。力を貸してください。」
そして…出発する。
食べて、食べて、食べて
順調に進み、
大ダンゴムシの住処前まで来た。
(今度こそタイミング合わせるわよ!)
心の声が聞こえてきた。
頼む、頼む、頼む!!
「◯〜…◯※◯〜※〜!」
心の中から、言葉が浮かんできて、
何を言っているかは、やはり分からないのだが
感覚では分かる。
モノを小さくする魔法だ。
大ダンゴムシが小型化し、
前に難なく進むことができた。
残る2匹の捕獲にも成功。
寄港する港も見えてきた。
ナラさんと、無事を
抱き合って一緒に喜び合う。
………
「ユノさん、次帰ったら、
一緒にご飯を食べに行きませんか?
あと仕事以外で…どこか、ゆっくり
できるところ、出掛けたいです。」
「???」
ナラさん、ちょっと大胆だな…これって、
デートの誘いってことだよな。
ユノは思わずニヤけてしまう。
一先ず今日は、
宿に早めに入ったら、
美味しいお酒をご一緒しましょう。
と精一杯の
恥ずかしい気持ちを抑えて
誘ってみた。
…………
夜、ドレスアップしたナラさんは、
いつもより綺麗だった。
食事も、
時々会話が弾み、
口に運ぶのを忘れてしまう。
「あのナラさん、
出発前に見せたスマホなんだけど、
ここも見てくれないか?」
「…これは、ファイヤーモンキーですか?」
そうだと思うんだけど、
なんか少し違う。
「少し違和感がありますが、そうかな?」
とも思います。
「こっちの絵は、全く見たこともない…
服を着てますね?
街の様子も、まるで見たことがない…。」
そうなんですよね。
どうもこのスマホは、
どこか違う世界のモノではないかという気がしてなりません。
いずれにしても、
このスマホに私達は、救われました。
感謝の気持ちを込めましょう。
……………
そこから数日、
港街に滞在し、
大ダンゴムシのデータが揃ったところで、
帰郷した。
翌日、資源回収部のデスクで、
報告書の準備を進めると、
そのまま、深夜までかかってしまい、
デスクで寝てしまったのだった。
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