22…次なる旅
ナラさんに声を掛けられ、
ウトウト眠ってしまっていたことに気づく。
大コウモリの巣の調査も終え、
今日は更に、近隣の星へ
大コウモリの生態調査の資料を届けつつ、
宇宙資源を回収に行く。
前回の功績を認められて、
さらに大型の船を用意して貰った。
これからは回収中に
資源で溺れるようなことには
ならなそうだし、
なんせ今回からは
ナラさんもいる。
旅が楽しくなりそうだ。
………
出発前の用意を済ませ、
その時を待つ。
いつものように船の中に移動をすると、
操縦席についた。
ナラさんもいるので、
少しカッコつけてみる。
もしかして…今回の船は
自動操縦ではないかも。
なんて少し不安に思いつつ、
操縦桿に手を置き、
「出発!」
と言ってみた。
…しばらく操縦桿に手を置くと、
やはり自動操縦になり、
それを誤魔化すように
「オートパイロット・オン」
とこれまた言ってみる。
これでナラさんは、オレを操縦士と思っててくれるだろう。
そして、いつもの役割をすべく、
席を立った。
…………
ナラさん、少し落ちついたところで、
資源回収中に船内に入ってくる
資源を食べていくことも
我々の役目なのです。
船の重量を適度に保たないといけないので。
そう話し、
ブドウ…チェリー…オレンジ…
と順調に、船内に入ってきた果物を2人で食べていく。
ちょっとしたピクニック気分だ。
そして金平糖。
いつものように
船が右往左往する…と思いきや、
ほぼ直進する。
あれ?アイテムの獲得は?
そう思っていると、
わたあめの星雲が見えてきた。
まずい。
このままではアイテムが確保できない。
先に繋がる道の入り口がこのままでは
見えない。
運が良ければ、先にそのまま進めるが、
ぶつかる可能性の方が高い。
今まではオレ1人…
失敗しても
気づくと、
いつも小さい船からやり直しになっていたが、
今は横にナラさんがいる。
ナラさんはぶつかったら、
死んでしまう?
消えてしまう?
ナラさんには始めて会えた。
嫌だ!嫌だ!
ナラさんを失うのは嫌だ!
(私…この先のクリア動画、まだ見てない。
分からないよ。)
って、この心の声は何だ?
「心の声じゃない。オレも私も記憶がある。
誰でもいいから助けて!ナラさんを失いたくない!
助けて!助けて!助けて!」
ナラさんは、オレの心からの叫びに
何が起きているのかと、驚きの表情を見せている。
その瞬間、
「◯〜…◯※◯〜※〜!」
と、「オレ」も「私」も分からない、
自分でも何を言っているのか分からない、
何故だか分からない言葉を
オレはまるで魔法の呪文のように、
唱えていた。
次の瞬間、わたあめの星雲が小さくなり、
船内に流れ込み、無事、入り口が見えたのであった。
…………
(間に合ってよかった…)
記憶の奥の方で、
誰かが言ったような、そんな気がした。
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