15…朝露が光る朝
次の日 早く起きると
辺りはまだ少し薄暗い。
コーヒーを淹れて
ふっと一息つきながら、
香りを楽しみつつ、
口に運ぶ。
シュザンヌさんは
今日が早いからと
泊まっていたので、
そろそろ起きてくるかしら…
と思っていたところ、
「…おはようございます。…
…コーヒーの香りがいいですね。」
と起きてきた。
コーヒー淹れてありますよ。
と声をかけ、
2人でデスクに向かい合う。
「これ何ですか?
水の精霊さんと光の精霊さんのパワーを
貰っているようですね?」
「あっ、それ?スマホ。」
と、
シュザンヌさんがイジる「それ」を見て
口から言葉が出る。
何?スマホ?
私、そんなの作ったかしら?
いえ。作ってないわ。
カシャ。
「あらー。凄いー。
私でもパワーを閉じ込められるように
してあるのですね?
面白いわー。」
と、
水面を加工したような「スマホ」に、
私がいた。
どういうこと?
なぜ?
と、少し慌てている私の気持ちは
通じないようで、
「ユーリさん。コーヒーも飲み終わったし、
急ぎましょう。
早くしないと、
せっかくの朝露が、なくなるわよ。」
と、シュザンヌさんに急かされた。
そうだった。急がねば。
カップをそのままに工房を出る。
…………
〇〇橋に着くと、
水の精霊に。
「おはよう。」
と声をかけた。
「あら?頼んでおいたものはできたの?」
できたわ。これよ。
と、キラキラ光るワンピースを渡した。
「まぁ、素敵。
キラキラ光っているのね。
それでいて、今までの私の服とは、
雰囲気が異なるわ。
そうよ。そう。
こういうのが欲しかったよの。
あの男は、清楚な雰囲気の娘が良いと言うのよ。
朝露から、仕事仲間と話しているのを
見て聞いていたわ。
これであの男は、私のモノになるでしょうよ。」
と話すと、次の瞬間には、
水の精霊は
ワンピースを着て、
クルクルと水面を踊るように回っている。
「良かった。気に入ってくれて。」
ユーリは心底ホッとした。
「あの、ワンピースを着ている姿を
この箱に残していいですか?」
とシュザンヌさんが、
さっきのスマホで、
また、カシャ っと音をさせた。
「綺麗ですよ。とっても素敵です。」
「ありがとう。」
そう言うと、水の精霊は
微笑み、水辺に魚や光る石を
打ち上げてくれた。
「シュザンヌさん、遠慮しないで頂いて帰りましょう。
ではまたね。」
と、工房に戻った。
「次は、この貰った石を使って、
宝飾でも作りましょうか。
そしたら、シュザンヌさんにプレゼントさせてね。
独りぼっちになるかもしれなかった私を、
シュザンヌさんは、ずっと隣にいてくれて、
私は本当に感謝してるのよ。
これからもどうぞよろしくね。」
そして2人は
コーヒーを淹れ直した。
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