10…それは
初めて「サウナ」を体験する
ハナラは、
この、ユーキに握られた手からくる
ドキドキなのか、
緊張からくる
ドキドキなのか、
分からずにいた。
「ハナラさん。驚くと思いますが、
この元勇者のユーキと一緒に、少しの間、
頑張ってみてくださいね!」
そして、ユーキが扉を開けると、
手を引かれた先の「サウナ」は、
今まで体験したことがないような、暑さだった。
………
ここに座ってください。
「あ!はい。」
と座ると、ユーキは手を離して、
少し離れたところに
座ってしまった。
ユーキさん
他の人の前では話せないようなこと、何か話したいのかしら?
それとも食事でもするのかしら?
なぜここは暑いの? 暑い必要はあるのかしら?
ハナラは考えたが、
ユーキは何も言わず座っている。
ジワジワと感じる「サウナ」の暑さに、
ハナラから、ユーキに声を掛けた。
「ユーキさん、暑くはないのですか?
私は結構暑いのですが…。」
「ここでこれから何をするのですか?修行ですか?」
あぁ、ハナラさんは
「サウナ」を知らなかったんだ。
「サウナは…。」と説明しようとした時、
♪トン トン トン〜♪
と、あの「太鼓の音」が どこからか流れ始めた
「あ!丁度時間になってしまいました。」
「時間?」とハナラが言うや否や
着飾ったファイヤーモンキーが「サウナ」に入ってきた。
あの、ユーキと捕獲にいった時に、
ハナラとユーキがともだちになった大型のファイヤーモンキーだ。
踊るような身のこなし。
ファイヤーモンキーは
このダンスを練習してたのかしら?
手に、扇子??
とハナラが思った直後、
1匹のファイヤーモンキーが火を上げた!
「えー!!」
しどろもどろハナラはしたが、
ユーキは平気な顔で座り続けている。
次の瞬間、もう1匹が、今度は手に持つ扇子で仰ぎ始めた。
「あつーい!!」
ハナラは思わず、サウナから飛び出した。
………
「あっ ハナラさん!」
追いかけてきたユーキが、そのまま手を引き、
ハナラと一緒に、
森の中の小川に入った。
「あのユーキさん?
温泉の魅力は本当に分かったつもりですが、
サウナが目玉って……大丈夫でしょうか?」
と疑問をぶつけた。
説明しようとしたユーキは、
その言葉への返答の代わりにタオルをハナラに渡し、
「さぁハナラさん、あと少し、この元勇者のユーキを信じて、
サウナに来てください。」
と言うので、黙って、後ろに着いていく。
そして、その瞬間を迎える。
ハナラは トトノッタ。
身も心も全て。
「町長にお許しをもらいに行きたいと思っています。
元勇者を辞めて、街の民ではなく、
ハナラさんを守る勇者になることを。
おとうさんは 許してくれますかね?」
「はい。」
……………
はー。
今日も仕事頑張った!!
今日はコンビニで買った、
今バズっている、テーマパークキャラクターを模した
和菓子をお供に、お茶を入れた。
え?すご!
何この…
ミシンって、こんな風に動くんだー。
へえー。
ほー。
自分で〇〇キャラの衣装作って、
この前の
踊ってみたら、
バズること間違いないかも!
あっ!その前に、
私もミシンの動画流せばいいのかー?
ミシン買ってみようかなー。
何て思う。
今晩は、そのシリーズ動画を検索しまくった。
………
デスクに浮かび上がった文字は、
その後の私にも決して読むことはできないのだけれど、
ハナラ・ユーキ
と書いてあったのだった。
初めての連載中です。
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