表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

缶コーヒーの隣で

作者: 里菜

撒かれた打ち水も、まるで無かったことのようにカラリと乾くある夏の朝。


「お疲れさまです」


耳をくすぐるようなふんわりと可愛らしいその声で、彼女は今日も左隣りからそっと声をかけてくる。

すっかり顔馴染みになった僕たちは、今朝もその挨拶から1日が始まった。


同僚たちは既にどんどん補充されて、昨日とは顔ぶれもガラリと変わった中、僕と彼女は今日も隣同士。


そりゃそうだ。なんたって汗も吹き出るこの連日の炎天下。

あったか〜い缶コーヒーや、おしるこ缶を買おうとする変わり者なんか滅多に現れない。


「今日も暑くなりそうですね」


少々気恥ずかしさを残した声で、僕も彼女にお決まりの声をかける。


所詮、一期一会の自動販売機内。

いつもならどんなヤツが隣に来ても、自ら交流を図ることなんてしなかった。


でもこの夏は違った。

彼女と隣同士になってからは、不思議と色んな話をした。

そして気付けば、無糖の僕には無い「甘い魅力」を持つおしるこ缶の彼女に、自然と惹かれている自分がいたーー。


この時間がずっと続けばいいのにと、初めてそう願う熱い今年の夏。

これは自動販売機の中で繰り広げられる、僕たちの一夏の切ない恋物語だ。

小説家になろうラジオの特別企画

「なろうラジオ大賞4」応募作品です。

『缶コーヒー』を題材にした投稿作品、

少しでもお楽しみいただけますと幸いです。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 文体が正統派で 設定がメルヘン?ファンタジー?で 独特な雰囲気が後味良いっすね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ