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最強コーチは戦わない ~人工魔法競技~  作者: たなお
2章 タッグバトル編
94/102

94話 タッグバトル⑤ ※祐乃視点

 魔力のチャージが完了した。

 駆け寄ってくる愛那ちゃんに向かって、ボクは手を伸ばした。


「祐乃―――ッ‼」


 ボクはお荷物で足を引っ張っていた。

 守られてばっかりで、負担ばかりかけてしまった…


 けれど、そんなボクを愛那ちゃんは見捨てなくて―――

 

 そういえば愛那ちゃんは、一度もボクを見捨てることはなかった。

 

――――――――――

――――――――

――――――

 

 ふと過去の出来事が脳裏をよぎる。


 ボクが愛那ちゃんと出会ったのは中学2年生になった時だった。

 偶然同じクラスになったのが出会いだ。 


 酷い言い方だが、洛咲中学校は荒れた学校だと思う。

 いじめは多く、非行に走った生徒も少なくない。

 

 ボクは小柄で勉強は苦手。

 運動もできないし、気が弱い。


 いじめのターゲットにされるのは、洛咲中学校なら当然の流れだった。


 いじめにしても様々なパターンがあると思う。

 誹謗中傷、仲間外れなど…


 ボクの場合は叩かれることが多かった。


 廊下を歩いてるだけで肩にぶつかられたり、脛を蹴られることもあった。

 怯えさせようと拳を振り上げられたり――


 今思うと瑠偉先生にすぐに相談するべきだったけど――あの時は、お母さんが原因で大人が怖くて、ボクはふさぎ込んでいた。


 ある日の放課後、ボクは教室で同じクラスの女子グループに絡まれていた。 

 クラスカーストが上で、いつもボクに嫌がらせをしてくる人達だ。


 ボクへの嫌がらせは定期的に行われていた。

 頭をはたかれたり、「チビ」と罵られたり…


 本人達はからかっているつもりだろう。

 

 そんなことが行われている中、偶然教室に愛那ちゃんが入ってきた。


「あんた達ッ! 何やってんのッ!?」


 いじめの現場を目撃した愛那ちゃんは、今まで1度も話したことないボクを守ってくれた。

 女子グループは「いじめてない。可愛がってただけ」「勘違いすんな、これは弄り」と言い始めた。


 けど愛那ちゃんは―――


「んなワケないでしょッ! この子に謝りなさいよッ!」


 愛那ちゃんは女子グループと討論になった。

 この討論はすぐにヒートアップして、乱闘になり――騒ぎを聞きつけた瑠偉先生が、すぐに駆け付けた。


 女子グループは別室で別の先生が話を聞くこととなり、ボクと愛那ちゃんは教室で瑠偉先生に事情を話すことになった。 


「――事情はわかった」

「先生…すみません。いじめの現場が許せなくて…ついカッとなってしまいました…」


「…謝らないでくれ…こちらこそ申し訳ない。いじめの芽が潰せていなかったとは…担任として情けない…」


 瑠偉先生は顔を抑えながら、悔しそうな表情を浮かべていた。

 

「夏目さんだっけ? 何かあったら周りに相談しなさいよ」

「う、うん…ありがとう…」


―― ―― ―― ――― 


 それからボクは愛那ちゃんと一緒にいる時間が増えた。

 多分、友達になれたんだと思う。


 一緒にいる時間を増やしたくて、ボクはマジッカ―部に入部した。

 正直、これまでマジッカ―なんて微塵も興味がなかった。


 ある日、愛那ちゃんにこんな質問をされた。


「マジッカ―するためにはマジックギアが必要よ。使いたい属性のマジックギアを買わないとね」


「使いたい属性…」

「初心者なのよね。なら、色々な魔法があるから見てみなさい」


 そういうと愛那ちゃんはボクにカタログを渡してくれた。

 ここでボクは初めて、『炎、氷、雷…様々な魔法』があることを知った。


「色々な魔法を使って戦えないの?」

「できるけど、あまりオススメはしないわね。例えば、闇属性用のマジックギアで光属性の魔法を使うと、魔力効率が悪すぎて、すぐガス欠するわ」


「そうなんだ…」


 どれか1つの属性を決めないといけない…

 ボクはカタログを読み進めた。


 これまで興味がなかったのに、不思議と引き込まれて…

 ボクは教科書や小説すらまともに読めないのに…カタログは食い入るように読めた。


 そしてボクの目に留まったのは―――


「爆属性…愛那ちゃん、これどんな魔法なの?」

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