94話 タッグバトル⑤ ※祐乃視点
魔力のチャージが完了した。
駆け寄ってくる愛那ちゃんに向かって、ボクは手を伸ばした。
「祐乃―――ッ‼」
ボクはお荷物で足を引っ張っていた。
守られてばっかりで、負担ばかりかけてしまった…
けれど、そんなボクを愛那ちゃんは見捨てなくて―――
そういえば愛那ちゃんは、一度もボクを見捨てることはなかった。
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ふと過去の出来事が脳裏をよぎる。
ボクが愛那ちゃんと出会ったのは中学2年生になった時だった。
偶然同じクラスになったのが出会いだ。
酷い言い方だが、洛咲中学校は荒れた学校だと思う。
いじめは多く、非行に走った生徒も少なくない。
ボクは小柄で勉強は苦手。
運動もできないし、気が弱い。
いじめのターゲットにされるのは、洛咲中学校なら当然の流れだった。
いじめにしても様々なパターンがあると思う。
誹謗中傷、仲間外れなど…
ボクの場合は叩かれることが多かった。
廊下を歩いてるだけで肩にぶつかられたり、脛を蹴られることもあった。
怯えさせようと拳を振り上げられたり――
今思うと瑠偉先生にすぐに相談するべきだったけど――あの時は、お母さんが原因で大人が怖くて、ボクはふさぎ込んでいた。
ある日の放課後、ボクは教室で同じクラスの女子グループに絡まれていた。
クラスカーストが上で、いつもボクに嫌がらせをしてくる人達だ。
ボクへの嫌がらせは定期的に行われていた。
頭をはたかれたり、「チビ」と罵られたり…
本人達はからかっているつもりだろう。
そんなことが行われている中、偶然教室に愛那ちゃんが入ってきた。
「あんた達ッ! 何やってんのッ!?」
いじめの現場を目撃した愛那ちゃんは、今まで1度も話したことないボクを守ってくれた。
女子グループは「いじめてない。可愛がってただけ」「勘違いすんな、これは弄り」と言い始めた。
けど愛那ちゃんは―――
「んなワケないでしょッ! この子に謝りなさいよッ!」
愛那ちゃんは女子グループと討論になった。
この討論はすぐにヒートアップして、乱闘になり――騒ぎを聞きつけた瑠偉先生が、すぐに駆け付けた。
女子グループは別室で別の先生が話を聞くこととなり、ボクと愛那ちゃんは教室で瑠偉先生に事情を話すことになった。
「――事情はわかった」
「先生…すみません。いじめの現場が許せなくて…ついカッとなってしまいました…」
「…謝らないでくれ…こちらこそ申し訳ない。いじめの芽が潰せていなかったとは…担任として情けない…」
瑠偉先生は顔を抑えながら、悔しそうな表情を浮かべていた。
「夏目さんだっけ? 何かあったら周りに相談しなさいよ」
「う、うん…ありがとう…」
―― ―― ―― ―――
それからボクは愛那ちゃんと一緒にいる時間が増えた。
多分、友達になれたんだと思う。
一緒にいる時間を増やしたくて、ボクはマジッカ―部に入部した。
正直、これまでマジッカ―なんて微塵も興味がなかった。
ある日、愛那ちゃんにこんな質問をされた。
「マジッカ―するためにはマジックギアが必要よ。使いたい属性のマジックギアを買わないとね」
「使いたい属性…」
「初心者なのよね。なら、色々な魔法があるから見てみなさい」
そういうと愛那ちゃんはボクにカタログを渡してくれた。
ここでボクは初めて、『炎、氷、雷…様々な魔法』があることを知った。
「色々な魔法を使って戦えないの?」
「できるけど、あまりオススメはしないわね。例えば、闇属性用のマジックギアで光属性の魔法を使うと、魔力効率が悪すぎて、すぐガス欠するわ」
「そうなんだ…」
どれか1つの属性を決めないといけない…
ボクはカタログを読み進めた。
これまで興味がなかったのに、不思議と引き込まれて…
ボクは教科書や小説すらまともに読めないのに…カタログは食い入るように読めた。
そしてボクの目に留まったのは―――
「爆属性…愛那ちゃん、これどんな魔法なの?」




