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落第生部活指導員と現代魔法スポーツ  作者: たなお
2章 タッグバトル編
71/73

71話

「部員をよく見ているな。他の指導員たちの見本になってくれ」

  

 シンの洞察力に瑠偉は感心した。

 瑠偉は担任ゆえ、夏目祐乃とは多くの接点がある。

 そして似たタイプの生徒を何人も対応してきた。 


 まずは祐乃がどんな子であるかをシンに伝えることに決める。

 シンが『成長するキッカケ』を与えてくれると確信したからだ。

 

 身内とは言え、本来はあまり喋ってよい内容でもないが…


「夏目のようなタイプは今まで見てきた。おそらく、あの子は自分が邪魔な存在になることを恐れている。自分に自信を持っていない子の典型的なパターンだ」


 多くの子ども達と向き合ってきた教員ゆえ、瑠偉は夏目祐乃という人間を把握できていた。

 シンは納得したらしく首を縦に振って頷くと、次は頭を掻き始める。


「俺は…祐乃に何をしてあげれるんだろうな?」

「難しいことを言うじゃないか」


 瑠偉は腕を組んで目を瞑る。

 シンへのアドバイスは1つしかないようだ。


「お前は、夏目のことをどのくらいわかっているんだ?」

「どのくらいか…?そう言われると俺、祐乃のこと全然知らねーな」

「なら簡単だ。もっと夏目と会話し、共に過ごす時間を作るんだ。シンが求める答えは、それで見つかるはずだ」


 シンは難しそうな表情を浮かべ、頭を掻く。

 

 ――自分は何をすべきか。

 それを必死に考えているのだ。


 そして1つの案が思い浮かぶと同時にスマホを取り出し、LINEを起動する。

 

「よし思いついたぜ。俺が祐乃のためにやるべきことが!」

「頼もしいな」

「俺は俺を越えてくれるヤツを探してるんでね。部員のために全力くらい出すさ」 


 シンは腕を組み、ドヤ顔をする。

 瑠偉は安心したようで、椅子に座るとリモコンのスイッチを押し、テレビをつけた。 


「もう用は済んだだろ?せっかくの休日だ。ゆっくりさせてくれ」

「いや、もう1つあるんだけど?」


「まだあるのか?手短に済ませてくれよ」

「ああ、それは大丈夫だ。姉貴がうんと頷いてくれたら一瞬で終わる」

 

 頷いたら一瞬で終わる。

 その言葉に瑠偉の脳内に嫌な予感がよぎり、顔が歪む。


 シンは両手を合わせて頬にあてると、可愛く――― 


「―――金貸して♡」


「貴様と言うヤツはッ!カッコいい姿を見せた瞬間にこれかああああああああ――――ッ!!!」

「ちょ、ちょっと!暴力反対!暴力反対!話を聞いてくれええええええええ!!」

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