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落第生部活指導員と現代魔法スポーツ  作者: たなお
2章 タッグバトル編
70/73

70話

 ――時間を少し遡る。

 二宮家のリビングに設置された時計は8時を指していた。


 シンは椅子に座り腕を組んで、姉の瑠偉の隣で、「うんうん」唸っていた。

 姉が面倒臭そうな表情をする。

 

 明らかに構って欲しいアピールだ。


 無視を決め込めばいいものを、瑠偉は弟に誰よりもあまかった。

 ため息こそ吐くが放置せず、話しかける。


「どうしたのだ?」

「困ってんだよ~、俺の悩みを聞いてくれよ姉貴~」

「金以外の悩みなら聞いてやる」


「なんだそりゃ?まるで俺がいつも金をせびってるみたいじゃねーか」

「せびってるだろがッ!」


 瑠偉は噛みつかんと言わんばかりの勢いでシンを怒鳴る。

 しかしシンは、その程度で怯むような神経は持ち合わせてはいない。

 

「――んで、ちょっと真面目な相談なんだけどよ」


 ふざけた表情から一変。

 シンが真面目な表情へ変わる。


「姉貴、祐乃の担任だろ。あいつのことで相談があってな」

「ほお…夏目か」


 瑠偉の問いにシンは、わざとらしい困った顔をすると首を横に振った。


「祐乃のことで困ってんだよ。あいつさ、マジッカ―の練習をひたすら避けるんだよ。俺が誘っても『ボクより愛那ちゃんを優先してあげて』なんて言うんだぜー」

「やはりそうか…」


 思い当たる節があるらしく、瑠偉はため息を吐いて腕を組む。


「次の試合はタッグバトルだ。祐乃の力が必要になる。休日が明けたら祐乃を鍛えたい」


 ――タッグバトル。

 それは2対2で戦う特殊ルールである。


 相手2人のHPを0にすれば勝利。

 ルールは至ってシンプルだ。


 しかし連携は必須。

 息を合わせ連携を取ることができれば試合は優位になる。


 ――しかしその反面、連携が取れないと味方の魔法が当たり、敗北する。 


 マジッカ―部は2名。

 祐乃以外の選択肢はない。


「土曜に試合だったな。そんな急ピッチで大丈夫か?」

「俺を誰だと思ってんだ?ザコを短期間で鍛え上げて、県代表戦を勝ち抜かせたんだぜ」


 シンは腕を組み、にやりと笑う。

 自信に満ちた表情を見て、瑠偉は安心するような表情を浮かべた。


「…流石だな、シン。だが言葉は選べ」

「わりーな。姉貴にセリフ選びの教育は受けてないんでね」

「そうだったな。近いうちに教育してやろう」


 以前に比べ、前向きになった弟の姿をみて、瑠偉は安心した表情を浮かべる。

 

「なあ姉貴。祐乃は何か怖がってるよな?」

「やはりシンも気付いたか…」

「最初は『やる気がないから練習に参加しないのか?』と思ったが、最近違うと気付いたんだよな」

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