67話 ※祐乃視点
深夜。誰もが寝静まった時間帯。
自室のベッドで寝ていた祐乃は懐かしい夢を見ていた。
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コーチが来る前、まだマジッカ―部に多くの部員がいた頃。
愛那ちゃんは、がむしゃらに練習していた。
…けれど、それが結果につながることはなく――愛那ちゃんは全く勝てなかった。
愛那ちゃんは、やる気はあった。
けど空回りしていたんだと思う。
部活に担任はおらず、誰も教えてくれる人はいない。
独学で学ぶしかない環境。
マジッカ―部は部活として機能不全に陥っていた。
部室は不良のたまり場と化しており、お菓子を食べてスマホを弄っているなら可愛い方だった。
けど…たばこの吸い殻まで落ちていて…
「何やってんのよ!真面目にやらないなら出て行って!」
愛那ちゃんは限界が来ており、部室にたむろっていた不良グループに嚙みついた。
「真面目ちゃんごっこ楽しい?」
「あんたねッ! いい加減にしなさいよッ!」
今にも殴り合いの喧嘩が始まりそうだった。
そこで僕は「ダメだよ。喧嘩は!」と言って仲裁したが――加熱した不良と愛那ちゃんは止まらない。
そこで僕は提案をしてしまった。
今でも心の奥底から後悔している提案を――
「マジッカ―部だし…マジッカ―で勝敗つけたら…どうかな?」
意外にもこの提案を不良はあっさりと受け入れてくれた。
今でもあの顔は覚えている――まるで『楽勝』と言わんばかりの表情だった。
愛那ちゃんが負けるわけないと思っての提案だった。
あれだけ練習している。
だから、必ず勝てるって―――
ビーッ
勝敗を知らせる音がグラウンドに響き渡った。
「キッショ。調子のんな」
―――愛那ちゃんは負けてしまった。
あそこまで悔しそうな愛那ちゃんを見たのは初めてだった。
雨に打たれて、悔し涙を流し、ひたすらに地面を叩いていた。
「なんでよッ!あたしの何がダメなのよッ!なんでできないのよッ!!!!!」
間違いなく愛那ちゃんが正しかった。
誰よりも真面目に部活に取り組んでいたし、校則に違反した不良が間違っている。
それは事実だった。
けど――愛那ちゃんは負けた。




