64話 闇VS鋼②
「おもしれーじゃねーか」
シンは口角を上げて、2人の女子中学生の試合を眺める。
前に比べて愛那は格段に強くなっていた。
愛那は学生の中では上位の強さと言っても過言ではない。
「すぐ強いヤツが出てきやがって…、ワクワクするぜ」
「愛那ちゃん、楽しそう…」
少し寂しそうな祐乃を膝に乗せ、シンは試合を眺める。
「さっきのアイアンカノン…効いたわ。反撃させてもらうから!《唸れ、暗黒・ダーカー!》」
愛那の手から魔法陣が出現し、人工で生成された魔力が黒い塊となって、カレン目掛けて発射される。
――近距離。
ほぼ確実に直撃する。
「はあッ‼」
カレンは声を出すとバスターソードを乱暴に振り回し、ダーカーを地面に叩きつけた。
軌道を無理やり曲げられたダーカーが霧散する。
「すごい!ダーカーが無効化されるなんて!こんな強い人と戦えるなんて嬉しいわ!」
「……そりゃどーも」
キラキラした瞳で見られ、カレンは気だるそうな態度を取り繕う。
恥ずかしくて顔が赤くなっているのを誤魔化すためであった。
「けど、ここからが本番よ!もう一本使わせてもらうわ!《出でよ、暗黒剣オメガ》」
再び、愛那の手元に魔力が集中し、それが剣と変わろうとする瞬間――愛那はカレンに急速接近した。
当然カレンはバスターソードを振り、反撃を狙う。
しかし――
「大剣だけあって、動きは少し鈍いわね!」
愛那は身体をひねり、バスターソードを回避する。
カレンは「ちっ!」と舌打ちするが、遅かった。
――愛那は既に胸元まで迫っていた。
「はあッ!」
愛那の声と共にカレンは斬られる。
しかも1度ではなく、連続で剣を振るう。
スコアボードに表示された数字が変化する。
【菅原愛那 HP35】
【XXカレン HP25】
「ちっ…結構削られた。もうここから出し惜しみ無しで行くから」
「いいわよ!全力で迎え撃つわ!」
両者のマジックギアが魔力が集中し、バリバリと音が鳴り始めた。
――《魔攻砲》である。
強引に魔力を引き出し、巨大な光線を発射する大技だ。
強力な攻撃であるが、その代償として魔力を大幅に消耗し、反動で自身のHPすら削ってしまう――まさしく諸刃の剣。
愛那とカレンの全力が今ここにぶつかり合おうとしていた――
しかし…
「お前ら、タイムオーバーだ」
シンがぽつりと呟くと同時に――キーンコーンカーンコーンと時間切れを意味するチャイムが学校中に鳴り響いた。




