63話 闇VS鋼①
「お前ら、しょうもない試合したら承知しねーからな。試合開始だ!」
シンの合図がグラウンドに響き渡る。
――同時、愛那とカレンはマジックギアに魔力のチャージを開始する。
「「《チャージオン》」」
互いのマジックギアがバチバチと音を鳴らす。
数秒、2人は様子見――先制攻撃はカレンだった。
さっきまでの気だるそうな姿とは正反対――力強く鋭い瞳。手の動きも俊敏だ。
「《ぶっ飛べ鋼の弾・アイアンカノン》」
カレンは手のひらを合わせて正面に突き出し、魔法を唱えるとギラギラ光る鋼のキャノンが生成され、サッカーボールサイズの魔力が発射される。
「早いわねっ!」
とっさに愛那はしゃがんでアイアンカノンを回避。
髪の毛をかすった魔力の弾は地面に衝突し――どぉぉぉんと大きな音を立てて、爆発する。
そんな2人のやりとりを遠目で見ていたシンは、小さく笑った。
「ははは!鋼魔法か。ダルそうな顔してたクセに豪快なもん使ってくるじゃねーか」
鋼魔法は重量級の魔法だ。
威力はあるが魔力効率はわるく、武器を生成して振り回すため、とにかく重い。
扱いが難しく、好き好んで使う人が少ない属性の魔法だが――カレンの戦いを見るに手慣れているようだった。
「《出でよ、暗黒剣オメガ》」
愛那の手元に、スラっと伸びた黒い片手剣が生成される。
ギラッと眼光を光らせ、勢い良く土を蹴ると、カレンの胸元目掛けて突進した。
凄いスピードを出す愛那を見て、カレンは少し驚いた表情を見せる。
「すごいじゃん。迎え撃ってあげる――《出でよ、大剣バスターソード》」
カレンは出現した魔法陣に両手を入れると、力任せに引き抜いた。
そこに現れたのは2mはある鋼の両手剣。
数十キロはあるであろう巨大な剣を持っているというのに、カレンはふらつくことなくバスターソードを振り回す。
オメガとバスターソードが衝突し、ガキンと音を鳴らして、火花が散った。
剣越しとはいえ、巨大な剣で殴られた衝撃が、腕に伝わったのだろう。
腕が痺れてしまい、思わずオメガを落としてしまった。
「しまったっ!」
「隙、出たね――くらえ!《ぶっ飛べ鋼の弾・アイアンカノン》」
無防備な愛那に鋼のようにギラギラ輝く魔力の弾が直撃する。
――スコアボードに表示された数字が変化した。
【菅原愛那 HP35】
【XXカレン HP50】
「つっよ…なんだあの女…ホントに中学生か?」
扱いが難しい鋼魔法を使いこなし、先制攻撃を決めたカレンの腕前に、シンは感心するのだった。




