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現代科学魔法と落第生の部活指導員  作者: たなお
1章 マジッカーフロンティア県代表戦編
5/63

5話 過労死事件がキッカケで部活指導員はできた

――数日後。


 市立洛咲(しりつらさき)中学校(ちゅうがっこう)は、一つの話題で持ちきりだった。


 部活指導員(ぶかつしどういん)


 教員の負担を減らしつつ、学生が部活動に(はげ)める環境を整えるため、外部から実力がある者を雇う。

 運動系、文化系問わず全ての部活が対象である。


 中学校に外部の人間を入れる――この点が問題視され、保護者、PTA、教育委員会(きょういくいいんかい)に激しいバッシングを受けた。


『信用力が乏しい人間を学校に入れるな』

『本当に部活の質は、あがるのか?』

『コストがかかり過ぎる』


 様々な非難の末、部活指導員を雇う案は、通らないと思われた、ある日のこと。

 世間を騒がせるニュースが飛び交う。


学校教員(がっこうきょういん)過労死(かろうし)


 マスメディアは、このニュースを大々的に取り上げ、学校は教員を殺す劣悪な職場として話題に。

 この事件の発生源は、洛咲中学校ではない。


 しかし、教員の負担を減らそうという世間の声は高まり、洛咲中学校(らさきちゅうがっこう)は、部活指導員(ぶかつしどういん)の案を試行することになる。

 

 特に体力勝負な運動系の部活指導員は、若い人を率先して採用する。

 人の好みはそれぞれだが、中学生という年頃は、家族や教員以外の年上という存在に過敏になる。

 異性の場合は、尚更だ。

 

 魅力溢れる人との出会いがあるかもしれない――中学生という思春期(ししゅんき)の者たちの多くは胸を(おど)らせていた。


 ただし、その雰囲気(ふんいき)に不満を持つ少女がいた。


部活生(ぶかつせい)は、不純(ふじゅん)な人が多いのかしら」


 不服(ふふく)そうな表情を浮かべる少女――菅原愛那(すがわらあいな)


 日本人由来(にほんじんゆらい)の髪を、ナチュラルブラックで入念に染めており、人一倍黒くなっている。

 しかし、その黒さがある(ゆえ)一筋(ひとすじ)のシルバーメッシュが輝いていた。


 大人ぶったことをしているが、容姿(ようし)は中学生そのもの。


 手足のバランスが良いが、お世辞にもスラッと言えるほど伸びてはおらず、胸部を含めて、どことなく幼さがうかがえる。

 ただし、彼女は成長過程(せいちょうかてい)

 美人のポテンシャルは、十分すぎるほどに秘めている。


「部室に行くわよ、祐乃」

「うん!」


 意気揚々(いきようよう)と返事する少女――夏目祐乃(なつめゆうの)

 年齢は愛那と同じというのに、小柄。

 顔は整っており、宝石(ほうせき)のように(かがや)く大きな(ひとみ)が、彼女の性格を現していた。


愛那(あいな)ちゃん、愛那ちゃん! 今日、ボク達のマジッカ―部にも、部活指導員(ぶかつしどういん)がくるんだよ! 楽しみだよね!」

祐乃(ゆうの)も、イケメンとの出会いを求めてるのかしら?」

「出会い? ボクは、面白い人が来てくれたら、部活動(ぶかつどう)が楽しくなるなー、と思っただけだよ!」

「相変わらず、裏表(うらおもて)がないわね」

「ふっふーん。ボクは正直だもーん」


 廊下を鼻歌交(はなうたま)じりにスキップしている祐乃を見て、愛那は肩を落とす。


「祐乃は、まだマジッカ―のルールも把握(はあく)してないでしょ」

「いいんだよー。ボクは、マジックギアで、どかーんと派手な魔法を使いたいだけだもん。試合とかしないもん」


 それなら部活指導員なんていらないでしょ、と愛那が口を開こうとした時――


「嫌だあああぁぁぁ! 働きたくないよおおぉぉぉぉぉぉぉ!」


 青年のみっともない声が、廊下に響き渡った。

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