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落第生部活指導員と現代魔法スポーツ  作者: たなお
1章 マジッカーフロンティア県代表戦編
33/73

33話 

 愛那が風呂を利用している間に、瑠偉が持ってきたタオルを受け取ると、乱暴に頭部の水分を落とす。

 ついでに、ずぶ濡れの上着も脱いで、脱衣所へと持っていく。


「さむっ! 男は不便だよな、同じ人間だってのに、レディーファーストとか、意味わからん理論で、男を差別するんだ。男女平等とか嘘じゃねーか。ぶつぶつ……」


 愚痴を溢しながら、シンは、ガララララと音がなる引き戸の扉をあけて、衣類を洗濯機に投げ入れる。

 一応、ズボンだけは履いているが、上半身は裸。

 

「水道水と雨水は、同じ水なのに、何故こんなにも違うんだ」


 蛇口を捻り、バシャバシャと顔を洗うシンは、ふと、後ろが気になった。

 浴室の扉から、スラッと伸びる肢体の影が映っている。


「シルエットだけだが……、意外といいボディラインしてるじゃねーか」


 どうやらシャワーを浴びているようだ。

 さっさと湯船に浸かればいいのに、と思ったシンだが、愛那の腕のことを思い出す。


(怪我が酷い場合、湯舟に入ること禁止されることあるもんな。傷跡から、バイ菌入るとかなんとかで)


 納得しながら、シンは洗った顔をタオルで拭く。

 そのとき――


「――えっ」


 浴室の扉が開いた。

 瑞々しくも艶やかな白肌。少女特有の整った身体のライン。

 思わず、シンの喉がごくりとなる。


「な、な、な……」

「随分早いな。まあ、シャワーだけなら、こんなもんか」


「あ、あう、あう……」

「部室で、俺の前で惜しみなく着替えてたクセに、何を今更恥ずかしがってんだよ」


 一瞬、とまどったが、シンは相変わらず、ふてぶてしかった。

 頬を赤らめて、硬直する愛那に、デリカシーに欠けた発言を開始する。


「しかし、まあ……貧相な胸部だな。女は、中学生で成長が止まるんだってよ。今のうちに成長しとかねーと、一生ちっぱい――」

「うるさい、出て行って――ッ!」


 ぱこーん


「ごは!」


 洗面器が爽快な音をたてて、シンの額に衝突した。




 ~ ~ ~




「私、言ったよな? 生徒には手を出すなと。私が菅原のご両親に電話している間に、なんということを――ッ!」

「誤解だぜ、姉貴? 手は出してねえよ。若い女の肌を目に焼き付けただけだぜ」


 リビングに連れて行かれ、瑠偉に正座させられるシン。

 説教が始まったかと思えば、シンは当然のように開き直った。


「潔いところは、褒めてやる。さて、どう罰するか……。よし、包丁にしよう」

「だから冗談でもやめろって! 目がマジなんだよ!」


「冗談ではないから、目がマジになるんだ」

「すみませんでしたッ!」


 見事な土下座が繰り広げられる。


「コーチの態度は、問題ありましたが……あれは、事故です……」


 シンと瑠偉のやり取りを見た愛那が、割って入る。

 まさかのフォローに、シンは頭をあげると、意気揚々と立ち上がる。


「ほーら、当人がそう言ってるんだぜ! 謝れよ! 怯えて縮こまった俺の息子に、ごめんなさいって謝れよ! なあ、姉貴ッ!」


 自分の股間を指す下品な姿。

 ドンッと、テーブルに瑠偉の拳が落とされた。


「……シンの息子が消えれば謝罪は不要だな。待ってろ、包丁を持ってくる」

「このままじゃ風邪ひいちまうぜ! 風呂入ってきまーす!」

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