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現代科学魔法と落第生の部活指導員  作者: たなお
1章 マジッカーフロンティア県代表戦編
21/63

21話 プロ選手との再会


 時刻は昼過ぎ。

 駅まで徒歩で移動したシンは、バスで隣街までやってきた。

 寂れた商店街の街角。そこがシンの目的地である。


「もうこんな時間かよ。随分と品定めしちまったな」


 店を出ると、シンは店主から受け取ったカタログを鞄に片付けた時だった――


「――殺気ッ!」


 射貫かれるような鋭い視線を感じて、シンは、周囲を見渡した。


(勘違い……か?)


 どれだけ見渡しても、寂れた商店街には、老人と主婦しかいない。


「平和な日本で殺意剥き出しなヤツなんていねーよな。この歳になって、中二病を再発症させちまったか?」


 勘違いだと気付くと、恥ずかしさがこみ上げて、シンは頭を掻いた。

 ぐーっ


「へんな勘違いを起こしたのは、空腹が原因だろ」 


 飢えた腹を抑えるシンの目に入ったのは、ハンバーガーで有名なジャンクフードショップだった。

 外出することが少ないシンにとって、ジャンクフードを食す機会が少ない。

 物珍しさも相まって、ここで昼食を取ることを即座に決断する。


 食事時から時間が経っているからか、客は少なく、店員はまったりと仕事に取り組んでいる。

 シンはハンバーガー、ポテト、ストロベリーシェイクを注文して、店員から受け取ると、カウンターテーブルまで移動して、ドスッと腰を降ろした。


「歩き回って、疲れたぜ」


 愚痴を溢しながら、シンはハンバーガーに喰らいついた。


「ハンバーガー喰ったのなんて、高校の時以来だな」


 頬杖を突いて、スマホで最近のニュースを確認しならが、モグモグとハンバーガーを食べていると、周りが騒がしくなったことに気づく。


 ふと、気になったシンは黄色い声のする方へと視線を向ける。

 女子大生くらいの2人組が、1人の男に握手と写真を求めているようだった。

 反応からして、その男は有名人らしい。


「大物YouTuberでも来てんのか? 女にモテるとは、羨ましいことで」


 この手の有名人に興味がないシンは、食事に戻る。

 ファンの対応を終えた有名人が、トレイに食事を載せて、シンの隣の席に座ってきた。


「隣、失礼します」

「あ、はい。どうぞ――」


 礼儀正しく対応され、シンは、思わず返事をしてしまう。

 他に席は空いているはずなのに、何故わざわざ俺の隣に座るんだ――と疑問に思いながら、男の顔を見た。


「久しぶりですね、二宮シンさん」


 シンの名前を呼ぶ青年。

 年齢はシンと同じくらい。清潔感溢れるブラウンの毛髪。すっきりと整った顔付き。ゆったりした目つき。服装はライトブラウンで統一。

 ファッションに疎いシンですら、アウター、トップス、インナー、パンツ、シューズに至るまで全てが、ブランド物であることを理解する。


 女性受けするには充分過ぎるほど、彼は魅力を秘めていた。

 しかし、身長は男性にしては高くなく、長身のシンに比べると、やや小さい。むしろ、それが、彼のカリスマと可愛さを掛け合わせて、相乗効果を生んでいる。


「ったく。こんな所でおまえと出会うとはな」

「はい。僕も驚きました」 


 互いに、親しさを含んだ受け答え。

 これは勿論、互いに面識があるからこそ、出来ることである。


「――北里息吹。一年ぶりだな」


 そこには先日、テレビで見かけたプロの姿があった。

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