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現代科学魔法と落第生の部活指導員  作者: たなお
1章 マジッカーフロンティア県代表戦編
15/63

15話 シンVS愛那3

「警告だ。惨めな姿を晒したくなかったら、ここで降参しろ」

「ふざけないでッ! あなたのHPは一桁なのよッ!」


「お前は絶対に勝てない。勝ち筋は潰れてんだよ」 

「《(うな)れ、暗黒・ダーカー!》」


 起き上がって、右手をシンに向ける。


「学ばない女だな」 


 魔法の発射と同時に、愛那の腕が持ち上げられる。

 射線がズレた魔法は、シンの顔横を過ぎ去った。


「バカの1つ覚えのように、同じ魔法しか使わないな。これは魔法競技(まほうきょうぎ)だぜ。多彩(たさい)な魔法を派手に撃ち合ってこそ、映えるスポーツだ」

「勝敗が全てよ! 派手さは関係ないわ! あたしは効率的に魔法を使ってるだけよ!」


「効率を言い訳に、自分の技術不足(ぎじゅつぶそく)誤魔化(ごまか)すなよ。お前、《ダーカー》しか使えないんだろ」

「使えるわよ! マジックギアに、強力な魔法をインストールしてるから!」


「じゃあ、見せてみろよ」


 愛那の腕を離したシンは、あざ笑いながら腕を組む。


「お前が言う、強力な魔法とやらを撃ってみろ」


 愛那はスコアボードを一瞥(いちべつ)する。

 シンのHPは、何度確認しても5と表示されている。


 かすり傷程度で、敗北が確定する状況というのに、シンは一切動じない。

 それなのに撃ってみろと、挑発する(きも)()わり方は、強者(きょうしゃ)貫禄(かんろく)だ。 


 自分が圧倒的に有利というのに、怖じ気付きそうになる――なんなの? この男はいったい、何? 

 さっきまでの間抜けな二宮シンは、どこにいった?


「ほら、さっさと来い。どうせ、口だけだろ」


 シンは、手をクイクイッと曲げて煽る。


「口だけじゃない――ッ!」


 先程感じた強者の貫禄は、全て勘違いだ!


 愛那は、マジックギアの魔力を過剰に練り込む。

 オーバーキルも良い所だが――自分の実力を、この男に証明してみせる!


「――詠唱開始」


 愚者(ぐしゃ)畏怖(いふ)する黒き龍を思い描く。

 空を(おお)い尽くす巨躯(きょく)――

 瞳に(うつ)れば命乞いをする研ぎ澄まされた爪――

 魂ごと砕く牙――!


「《愚鈍(ぐどん)なる牙・ギルドラゴン》」


 3つの魔法陣が形成。

 重なると黒い霧を発して回転を始める。


 一気に拡大した魔法陣から、魔力で禍々しく、造形された黒龍が顔を覗かせる。

 黒龍が放たれれば、シンは闇に呑み込まれ、敗北するだろう。


 しかし、シンは微動だにしない。

 まるで、結果を見通しているかのように――


「な、なんで――ッ」


 魔法陣がひび割れる。

 ガラスのように砕け始め、黒龍ごと霧散する。


「経験不足に技術不足。よくもまあ、こんな欠点まみれで勝負を挑んできたな」


 シンは嘆息(たんそく)すると、愕然(がくぜん)とする愛那に歩みよる。


「もう飽きたな。多少、乱暴だが、さっさと終わらせる」

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