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現代科学魔法と落第生の部活指導員  作者: たなお
1章 マジッカーフロンティア県代表戦編
11/63

11話 元ニートは問題点を見抜いていた

 部室に着いた愛那は、とにかくイラついた。

 二宮シンのやる気のなさは、常軌(じょうき)を逸している。


 姉の目があるので、遅刻こそないが、部室に来たかと思えば、寝るかスマホを(いじ)るか。

 ふらふらと学校を抜けだそうとしては、瑠偉(るい)に捕まり、こっぴどく説教をされる。毎日のように痛めつけられて、部室に連れ戻されては、間抜(まぬ)けな姿でのびていた。


 余所でやるなら、愛那もとやかく言うこともない。

 しかし、毎日のように、(さわ)がれては目障(めざわ)りだった。

 あの男とは、会話すらしたくない。


 無関心を貫こう――と割り切っていたはずだった。

 しかし、自身の中学生という若さゆえ、限界に達するのは、早かった。


「いい加減にして! イビキがやかましいのよ!」


 パイプ椅子で腕を組んで寝ていたシンは、不機嫌そうに眠い目を擦った。


「んあ……? 人が気持ち良く寝てんのに、なんだよ?」

「なにが気持ち良くよ! 他の部活指導員は、部活生を(みちび)いているわ! 窓から、グラウンドを見てみなさいよ! 運動部のみんなが、活気に満ちて、楽しく部活をしてるわ! それなのに、あなたはグータラしてるだけ! あたしだって、頑張って、部活に(はげ)んでるのよ! やる気がないなら出てって!」


 溜まっていた鬱憤(うっぷん)が、言葉となって、ボロボロと吐き出される。

 険悪(けんあく)な空気を察知(さっち)した、祐乃が口に手を当てて、わたわたと慌て始めた。


「あ、愛那ちゃん……。やめた方が……」

「いいから、祐乃は黙ってて! 言わないと気が済まないのよ!」

「ご、ごめんなさい……」


 八つ当たり気味に叱責(しっせき)され、祐乃はうっすらと涙を浮かべて縮こまると、部室の片隅(かたすみ)にトボトボ移動する。

 部員の一連のやり取りを傍観(ぼうかん)していたシンは、くだらなそうにため息を吐いた。


「しょうがねえ。そろそろグータラしてんのも、飽きてきたしな。気分転換に、部活指導員として、頑張ってやるか」

「どういう風の吹き回しよ」


 シンの急変する態度に、愛那の顔が引きつった。


「部の発展と成長に注力するのが、部活指導員だよな。そのためには、まずお前達の協力が必要不可欠だ。菅原愛那(すがわらあいな)とか言ったな。ちょっと、俺の頼み事を聞いてくんね?」


 愛那は、興味なさげにシンから目を逸らす。

 今更、態度を改めても、この男の指導から価値を見いだせないからだ。


 頼みごとも、どうせくだらないことだろう。

 適当に聞き流して、練習に入ろう。


 そう思っていた矢先、シンから放たれた言葉は、信じられないもので――


「――菅原愛那。おまえは今日中に、マジッカ―部を辞めてくれ」

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