魔物に襲われた村
ガサッ
突然獣道から傷ついた少年が現れた。
「む…村が魔物に………助けて下さい」
少年はそのまま前のめりにバタッと倒れた。
彼の背中は何者かに背後から引き裂かれたであろう跡がありすぐに治療が必要だと思ったのか
ルーノとメルサローネがすぐに回復魔法をかけだした。
「何や?どないしたんや?」
「ふむ、あれは回復魔法だな」
「よっしゃほんならワイらも」
ハア、何いってんだよコイツ
ヨッシーはこの間にもコピースキルを使って毒消、ポーションを増やしまくっている。
少年はパチリと目が覚めた。
しかしその瞳はうつろで何かに怯えているのか辺りをキョロキョロしていた。
「近隣の村の子供だろうな、傷痕から察するに魔物の襲撃であろう、おそらくは貯蔵してある作物が目的なのであろう」
「マジかよ? 魔物ってそんな……どこにでもいるのかよ?」
「様々な種族があってその特性があるんだろうけど山岳地帯、海、洞窟や地底などの場所に魔物は住んで、たいてい群れ単位で生きている。生活していく中で人間の生活圏と干渉しちまったり、人間の移動経路と被っちまったりして、人間が騒ぎ立てることもまぁあるな。」
「だからアタシ達のような冒険者なんて職業がこうして活躍しているんだよな!」
少年の話によると突然魔物どもに襲撃され村を壊滅させられたらしい……
とりあえずオレ達はメルサローネ達と話し合った結果、彼の住む村へ行く事にした。
◇
数時間後、少年の案内でオレ達は彼の村へ行く事になった。やはり村は何もかも奪われて焼け野原と化していた。あたりには逃げ遅れたであろう老若男女の死体がそこら中に転がっている。うえぇっマジ吐きそう!なんだよこの悪臭は死体ってこんなにくせえのかよ
「あっうう」
そんな中で辛うじて息がある者がいた。
目の前で横たわっているバーコード頭の中年男性だ。みんなで薬やら回復魔法をかけてなんとか話ができるくらいには回復した。男は目が覚めるとメルサローネを見つめ、手を伸ばすがメルサローネは距離を取り、目を逸らした。
彼の話によると
村は襲撃により、村人数人が殺害され、約30世帯の家族が、数キロ離れた村に避難した。
「いきなり魔物がなだれこみ、家に火をつけ、住民の男性たちを処刑しだしたんだよ」
「それではこの村の者達は皆殺しにあったのであるか……」
「分からない、何人か近くの村へ助けを求めて走って行った連中もいた」
なるほど、オレ達が助けたこの少年もその類か…
少年はうつむいたまま何も喋ろうとしなくなった。
カキン!!
ルーノはバトルアックスで飛んできた矢を払いのけた。
村の奥から5匹のゴブリンがニヤリと不敵な笑みを浮かべながらオレ達を指差してきた。
「「ギャギャーッギャ!」」
なんだよコイツらは今オレを見て笑いやがったよな、なんか超ムカつく!
「よし、ブラックいけ」
ブラックが魔法を唱えると水しぶきが形成されて勢いよく魔物どもに向かって飛んで行った。
水しぶきを受けてひるんでいるスキにメルサローネの矢が魔物どもの喉や顔面に突き刺さるととどめと言わんばかりにロディマスが一匹ずつ剣を突き刺していった。
目の前にゴブリンどもの死体が転がっている!!
マジえげつねえわ! コイツは出来ればオレは目の前では見たくない光景だな。
正直、元の世界に帰りてえ
確かに中東とかアフリカの紛争地域なんかでは老若男女の死体とかそういった光景が日常茶飯事なのかもしれない…………でもオレが住んでいる日本ではこんなのねえよ。
「なあ自分ら、いくら魔物とはいえ殺す事はないんちゃうんか、コレは余りにもむごいわ」
両手を広げて近づくヨッシーに対してメルサローネは彼の喉元に短剣を突きつけた。
「寝ぼけた事いってんじゃないよ殺さなきゃ今度はアタシらが背後をやられんだよ!」
ヨッシーとメルサローネの間にクリフが割って入った。
「メルサローネ殿、彼らは稀人でやはりまだこの世界の世情に疎い部分がある。どうか剣を収めてはくれぬだろうか?」
ルーノとロディマスが彼女をなだめると彼女はため息をついてオレ達を見た。
「悪いけど護衛はやっぱりここまでだね」
「我等も依頼をほってはおけないのである」
冒険者3人は受注した依頼も達成したいのでオレ達とはここで別れるとかいいだした。
するとクリフとヨッシーが3人に駆け寄り、
「そうか、ならコレは警護代金だ。少ないかもしれないが受け取ってくれ」
「3人共ありがとうな。ゴブリンが出て来るまでは安全な旅が出来て助かったわ。コレはワイからのお礼やで」
クリフがお金を払い、ヨッシーは虚空庫の中でコピーしたポーションや毒消などをいくつか3人に渡すとても喜んで受け取ってくれた。さらにメルサローナはお菓子の催促をして来たがヨッシーは心良くいくつか渡していた。
全くあつかましいヤツだ!