冒険者たち
山道をとことこ歩いてるとまた旅の商人と出会えたのでヨッシーがコピーした元の世界の食品を
こちらの世界で必要なアイテムと交換してもらった。特にコンビニスイーツなんかは喜んでもらえたみたいだ。
あとクリフさんの勧めで一応武器も装備しておく事にした。剣が使えなくとも受け流すくらいはなんとか出来るしね。
「やっぱヨッシーのアイテムボックスとコピー機能は羨ましいよね!オレには探索くらいしかないからなぁ」
「ええやろーっワイはたまたま買い物の時に転移したんで助かってるわ!この中はいくらでも入るちゅうヤツで食料とかコピーしまくりやしな」
「ヨッシーのソレは魔法では無いの?
じゃ例えば私が今購入した矢も本数を増やすことは可能なのかな?」
「おうイケるで一度アイテムボックスの中に入れる必要はあるけどな!あとMPは一切使わないので魔法とはちゃうで」
「こちらの世界では収納魔法やアイテムは存在するけどスキルは聞いたこともないなぁ、それは稀人の特権か?」
「稀人って何や?」
「アンタら別の世界から来た人の事だ」
「何や他にもおるって事かい」
「そうだな!私も今まで何人か会った事があるぞ。
国によっては一定多数存在する所もあるし、何も人間になっているとは限らない」
マジかよ魔物とかはイヤだなぁ
夕方
テントの中で寝袋に包まって
さっき交換してもらったアイテムを確認する
初級冒険者向けの短剣×1
旅人の服×1 回復薬×1
毒消×1 テント×1 寝袋× 1
あとクリフさんも何か色々買っていたなぁ
「なぁクリフちょい聞いてええか何でワイらの事を助けてくれたんや?」
「そうだな、私はルーデンハイムの民の役に立ちたくて志願者したんだが、いざ入隊してみると兵士達は亜人奴隷をおもちゃにしたり、町の店舗からは商品を脅し取ったりやりたい放題で腐敗しきっていた。さらに奴らの自分達が儲ける為、お前らを他所の国の奴隷商人に売り飛ばすと聞いた時、あまりに非人道的と思って我慢出来なくてな」
「ふーんクリフもなかなか立派な考えの持ち主やな。そもそもルーデンハイムは聖教会が権力を持ってる国やったら奴隷解放とかそういうのは今までなかったんかいな」
「それはあり得ない、タダで死ぬまでこき使える労働力を彼らがみすみす手放す訳がない、聖教会の教えは我ら平民と貴族は神から選定された者らしいが亜人や奴隷は家畜同等の存在とされているので痛ぶったり、殺したところで誰も気にもとめないし処罰される事も無い」
「それはあまりにも酷い話やわ」
オレ達3人で話をしながら山道を登って行くと急に霧が立ち込めて来た。
そのおかげでどんどん視界が悪くなり歩きづらくなってきた。
ブラックが周りを警戒してるとクリフさんとヨッシーが何かに気付きオレの方に目を配ると、これ見よがしに野良犬三匹がいきなり襲ってきた。オレは驚いた拍子に転んで尻をついた状態で持ってた剣で威嚇した。
オレが必死に剣をブンブン振り回しているとすぐにクリフさんがスパッと剣を抜いて目の前に飛び込んで来た。
「大丈夫か」
野犬共は獲物を見るような目で俺らの周りを
ゆっくりと囲み回り出した
これはちょっとオレがヤバイんじゃね?
ちょっとクリフさんなんとかしてくれ!
そう思った時なんとも言えない変な笛の
音が聞こえてきた
すると野犬共は突然慌てて去って行った
突如現れたエルフとリザードマンがオレ達を指差す、
「なんだこいつらは? 変わった形の顔や髪の色の
人間種だな なあアンタら何処から来たんだ?」
「聖教国だ。助けてもらってアレなんだけど
アンタ達は何者なの? どこへ行くの?」
「アタシ達はスタロリベリオって街から来た冒険者なんだよ。村々を頼っていくつかの山を越えたセントラシア公国を目指しているんだよ」
「冒険者?」
「Eランクだけどね」
とりあえず彼等と供に焚火を囲んで休ませてもらう事にした。彼等が持っている地図を見せてもらい色々教えてもらう事ができた。どうやらオレ達はユーゲンティアラって国に向かって歩いてたみたいだ。この際だから詳しく聞いておこう
「ルーノ、アンタ達が来たスタロリベリオってどんな所なんだ?」
「スタロリベリオはユーゲンティアラの南西にある街なんだ。そこはギルドが盛んで特に商業ギルドが力を持ってるかなぁ、 あと屋台などがやたら多く中央広場の前でよくパレードやコンサートあと寸劇みたいな事よくやってるな」
ほうなかなか文化の高い国のようだな
正直興味がある
ルーノはニヤニヤしながらオレ達を見つめる。
「ギルドを知らないって事はまだ登録はしてないって事だよな?」
「うむ、私はとりあえず仕事を探したいのだが」
「ギルドに登録して依頼を達成すればお金を稼ぐことが出来るぜ」
「依頼? 例えばどんな事をすんの?」
メルサローネはオレを睨み付けてきた。
「ハァっ アンタらみたいな野犬程度にビビってる連中に何ができんの? 特にそこのへっぴり腰野郎!」
オレはマジでブチギレて一瞬ぶっ殺してやろうかと思い近づいて睨み返してやるとメルサローネが掴みかかって来たので取っ組み合いになった。
「まぁまぁっ!ちょっと待ちぃや!お姉ちゃんお菓子でも食べへんか、何やったらコーヒーとケーキもあるで〜っ! ほいでギルドの話の続き聞かせてや?」
「うわぁ何それ美味しそう〜!!」
メルサローネはコロッと態度が変わり、オレを突き飛ばして美味しそうにお菓子をほうばりながらヨッシーに説明し出した。
「まず〜っ!ギルドにも種類があって、戦闘能力せんとうスキル持ち向けの冒険者ギルド、このギルドにはランクがあってね最初はGランクからなんだけど薬草の原料を採取とか種を集めたりとかしてランクを上げてから少しずつ難易度の高い魔物を退治して行ってお金を稼ぐの」
ルーノは『冒険者ギルドの初級ガイダンス』という本を見せてくれた。それによると
Aランク
シーサーペント、ドラゴンなど災厄級のモンスター討伐可能
Bランク
キメラヴァイパー、ベヒモス、ゴーレムなど災害級のモンスター討伐可能
C ランク
オークジェネラル、ゴブリンチャンプなど討伐可能
Dランク
魔物の群れの討伐が出来る
Eランク
単体の魔物を一人で討伐出来る
Fランク
アイテムの材料、原料を見つける事が出来る
Gランク
登録時のランク
あと倒した魔物の毛皮、爪、肉、核などはギルドが買い取ってくれるそうだ
「次に商業ギルド、ここは鑑定とか商業スキルの人向けで店を持って商売をする際に商人ギルドに所属するといろいろな恩恵がある。商品を仕入れる際に便宜を図ってくれたり、何かトラブルが起きて商売が出来なくなった時などに保証してくれる」
オレはどちらかというと商業ギルド向けなのかなぁ? 正直興味はある。
「最後に生産者ギルド
ここは錬金術アルケミーのスキルの人向けで
工房で販売用の商品を作ったりしてるの
ルーノは昔、生産者ギルドに登録して薬師達が作った回復薬製作所で働いていた事があるのよ」
「オイっいきなり昔の話で振るんじゃない!」
皆に一斉に驚きの表情で見つめられてルーノは顔が真っ赤になった。
冒険者3人の話を聞いたあと、ヨッシ、クリフさんと話し合った結果、とりあえず忍びの里へ行き、その後はスタロリベリオへという感じでまとまった。
ヨッシーは何か頼み事でもあるかの様な態度でメルサローネ達に近づいて行った。
「お姉ちゃん達良かったらここら辺までワイらを警護してくれへんか」
「おっけーっ!それだったら〜」
メルサローネはいやらしい笑みを浮かべながら手を出して来た。嗚呼、お菓子の催促だろうな
しかし、ドワーフのロディマスが彼女の手を弾いてそれを遮った。
「メルサローネ、それは駄目だぞ。ギルドからの
クエスト外だ。それに見ての通りそのなんだ、ワシらはルーデンハイム聖教国とは関わりたくないんだよ。あそこは人間以外は奴隷差別があるだろう」
クリフが横目でチラッと彼等を見て頷き返す。
「聖教国は大英雄ニーヤ様が国を起こして以来、今日まで人間と奴隷との関係が続いているんだ」
メルサローネはクリフさんに顔を近づけてきた!
「ねぇっ!何で!アタシ達エルフは、人間以外の種族は奴隷なの?」
「昔、神学校で習ったんだが太古の昔、天使と悪魔と人間達が闘った光魔戦争………
伝承では3000年位前の出来事とされている。その戦争で人間達に勝利を導いたのがニーヤという名前の聖戦士だとか、 そしてニーヤ様と共に闘ったのが人間と亜人でニーヤ様との約束の元、皆が平等に暮らせる国を作り、平和になったのちにニーヤの教えを、約束を破った亜人がニーヤの教えを守ろうとする人間と戦い人間が勝ち、ニーヤを神とし、崇め、亜人を約束を破った裏切り者として虐げる今のあの聖教国の原型が出来たのだそうだ」