負け犬の掃き溜め2
おはこん。
今日も来てくださってありがとうございます。
是非読んでってください。
続き
輝間 涼太 17歳
日本一の名門私立高校である渡山高校に入学。
切れ長な目と長身、何より彼の頭脳は学内でもぴか一でその名を知らぬものはいない。
できないスポーツなんて無いし、楽器を習えば次の日にはしっかり上達しきって帰ってくる。
そんな人間。
ただもっぱら好きなものはゲームとのこと。
興味のあるものと無いもので熱の入れようが激しいのだ。
こんな性格だから学校では常に爆睡を決め込んでいて、起こすことを教師にも諦められていた。
ただ、「テストはゲームだから」というわけでテストは必ず1位を独占していた。
これだから勉強しか取り柄のない彼らにとっては面白くなかったのだろう。
話しかければ皮肉られ、いつしかあだ名は「天才様」だった。当然友達なんていない。
だが、べつにそれは全く持って構わない。だって興味ないし。
裏でこそこそやられるくらいなら端からヘイトMAXで来られたほうがこっちも楽なのだ。
中には「俺たちのこと見下してるんだろ」なんて自意識過剰も甚だしいような言いがかりをつけてきたやつもいたような。
バカバカしいね。ゲームだって言ってんじゃん。あんなの要領。頭の良さなんて関係ない。
だけど、「彼女」が転入してきて状況は一変した。
菊ヵ嶺 美桜{きくがみね みお}
転入なんてウチの高校では早々できるものでもない(できても入試より断然難しい試験を高得点で入ってくるか親のコネか)。
その珍しさに加え、彼女は「聖」を象徴させるような美少女だった。
まっすぐ流れる黒髪は一本たりとも重力に逆らうことなく、照りが高級の絹のようでいて、前髪は眉よりほんの少し上で、後ろは中腹あたりで切りそろえている。
肌は僕のような病的なものではなく生気の感じられる純白で毛色とのコントラストが凄まじい。
大きな目はあどけなさをのぞかせつつもその瞳には彼女の芯が感じられる。
愛らしくも筋の通った鼻、唇は桜。線のすべてがシャープでそれでいて彼女の存在はしっかりと主張している。
そして神が自ら作り給うたかのようなその肢体は魅せられぬものなどいない、美という概念がそのまま宿されたかのようだった。
彼女の立ち振る舞いが隅々まで優雅さに満ちてたので、誰もが(失礼な話だが)裏口入学を疑わなかった。
違った。彼女は試験での転入だった。しかも満点。
才媛の中の才媛だった。
たまたま彼女の空き席が僕の隣だったので、僕が案内役に自然となり、その内親密になっていった。
彼女はその凛とした見た目に違いよく笑い、またよく話した。
勉強の質問(当然授業の範囲外なのだが)もことごとく僕が相手だった。
これにクラスの男子ほとんどが業を煮やしていた。当然彼らよりも彼女のほうへ興味が向きまくってたので僕にそんなことに気づく余裕などない。
読んでくださってありがとうございます。