1 無人売り場
散歩道で、あるお宅の前に本が並べてあった
不要になった本を「どうぞお持ちください」
無料のようだけれど、どうも紙にくるりと入れた小銭が置いてあった
本を持って行った方のお気持ちなんだろう
昔、地方に住んでいた時に
無人野菜売り場があった
専業農家の家はその周辺ではもうなかったが
自宅の広い庭で野菜を作ったり
兼業農家の家はまだあったよう
じゃがいも、人参、白菜、ねぎ・・・
その時々に収穫されたものが机に並べてあり
箱が置かれてあった
「50~100円お願いします」
私も何かを買ったことがあった
箱に小銭を入れるとチャラチャランと音がする
すでに購入した人が何人かいたんだろう
ある日、たまたま野菜を作った女性が野菜を入れ替えていた
何か購入したら
「獲れたてのトマトがあるから」
と、3ケばかり新聞紙にくるめて
「おいしいかどうかわからないからサービスですよ」
少し話すと、儲けるという営業目的はなく
「正直、箱も置くし心無い人もいるかもしれない」
と、思われていたよう
でも、箱がなくなることはなかったという
一度、野菜を見ていて何かを持って行かれたが
小銭の支払いはなかったよう
でも、催促することなく
「たぶん、事情があるんでしょうから」
のんびりとやってらっしゃって気持ちがいい思いをした