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ヒューマンドラマ

弁当のご飯二倍 【1000文字】

作者: 山目 広介

 大学でお昼に弁当を購入しようとした。いろいろあって遅れたのだ。次の講義まで時間もあまりない。

 学食は混んでいる。だから遠慮したい。隣に弁当屋がやっているが、この時間はもう売り切れだろうと思っていた。このままだとコンビニで菓子パンとかになるかもと妥協案を考慮しながら弁当屋を覗いた。

 しかしギリギリ間に合った。最後のから揚げ弁当が残っていた。

 もちろん購入。

 だが、ここで普段とは違うことが起こる。

 一つ余ったからサービスしちゃうね、と言われた。

 残飯処理が面倒だったのだろう。だからと言ってご飯だけ追加されても……

 私は顔を顰めながら受け取った。


 さて問題はご飯がおかずに対して多いという点にあることだろう。

 普段から利用しているため、おかずとご飯の配分を理解していた。

 でも今日はご飯が倍もある。

 食は細い方だから、ちょっと困っている。

 大学に入った当初は陸上部に入っていたが足を怪我してからは辞めて体を動かしてはいない。

 背は180㎝あっても体重は62㎏しかない。


 まあ、悩んでみても普段に比べておかずの倍ご飯を食べるしか方法はない。

 せめてフリカケ、いや塩だけでもあればまた違ったかも知れない。


 仕方がなく、食べ始める。手を合わせて、合掌。いただきます。

 そして、おかずが綺麗になくなる頃。

 ご飯は未だに一つ分の半分が居座っていた。

 思ったよりも食べれていない。

 おかずが無くなっては仕方がない。

 白米だけで箸を口に運ぶ。

 良く噛んで食べてみる。

 ふと気付くと次の講義時間が迫っている。

 味気ないが纏めて口に放り込むしかない。

 まだ一つ分の半分の半分ほど残っていた。

 飲み物で流し込むにも、貧乏学生には辛いものがある。

 飲み物を安いパック入りの小さいのしか購入していないからだ。

 よくよく考えると普段の節約で食が細くなっていたんだろうか。

 そんなこと考えている余裕はもうあまりない。

 意を決し、掻き込む。

 口の中に大量に入れることがないため、一瞬、吐きそうになる。

 思えば、吐くくらいなら残せばいいのにと思わなくもない。

 貧乏のため、お残しが非常に罪悪感を駆り立てるものだったというのもあったのだろう。

 口の中がいっぱいで噛みにくい。

 くちゃくちゃごっくん。

 ご飯に苦労するとは思はなかった。多く食べるという意味で。

 ストローに口を付け、一気に飲み干し、手を合わせる。合掌。

 ごちそうさま。

 分別のゴミ箱へ行き、分別してゴミを捨てる。

 そして急ぎ次の講義へと向かうのだった。




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― 新着の感想 ―
[一言] 苦しいね。 晩食べなくてもいいくらいになったかも?
[一言] なんだか情景が目に浮かぶようでした。 あまり食べない学生の身だと、こういうサービスはかえってこまってしまうのですよね。 ただ、食べてしまったことに拍手。ごはんつぶを残したらいけないと、親世代…
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