危機的状況
「ふぃー、あー……」
完全に寝不足であった。
寄土との会話、恵の恋愛相談など、昨日あったことを考え直していると、眠れなかった。
「柚姫、おはよ」
「ほたるぅ〜〜♡」
遠慮なく朝一のハグをする。
ほたるには、いつまでたってもこんな感じでいてほしい。永遠の癒し系でいてほしい。
「むふ……ぅん? 柚姫……」
「ん? どうしたの?」
「お胸が大きくなられた……?」
「え……?」
マジ? それは……どう捉えるべき?
でも、この身体は女子なんだから、そういう方面への成長も正常に起こるのだろう。ごめん、ちょっと狙った。
「……恋した?」
「はぁ!? してないしてない!」
まず、できない。
「詰めてる?」
「ちょっと……ね……」
「じゃあそれかな。まぁいいや」
場面は変わって一時間目の後の休み時間。
「恵?」
「ふぁぁい」
なんつー間の抜けた声を出すんだこいつは。
「私、胸大きくなったと思う?」
「へ?」
数秒の間。
「へっ!? そんな話、学校で……恥ずかしくないの!?」
恥ずかしいわけないじゃん。別になんとも思わないねー。中身男子だし。
「恥ずかしくないよ? それより、どう?」
「んー……」「触ってよろしい?」
デデーン。日尾が現れた。
「ダメ! こら、手をわきわきするな!」
無理無理。日尾、俺の天敵だわ……。