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3~絶望

3話連続投稿です。

現状に絶望しつつどうしようかと頭をひねるわけだが解決策が全く思い浮かばない。

どれぐらい絶望かというとHP1で一歩先がすべて毒沼ぐらいやばいわけである。


何せ行動しようにも全裸のせいで、木々の間を通るだけで傷だらけになる。

細かい傷ぐらい我慢しろし!と思うかもしれないが、わずかでも出血すればその分体力を奪われ

傷口を放置すると感染症にかかる可能性もあるわけだ。

さらに靴もなく、木々を踏むと足裏もダメージを受ける可能性もある。


つまり 行動=詰んでる というすでにムリゲから始まっているのである。


山登りをしたことはあるといったが、もちろん全裸でおこなったり食料、水なしなどという

頭がいかれた行動などしたことがない。


もう自分の全裸に対して恥ずかしい!局部見えちゃう!とかよりも

どうしろと……という絶望が激しすぎる。


100歩譲ってそこを無視できたとして、食料も水もなしに

全く分からない森を探検もとい探索するという行動は

タイタ○ックに乗り込むと同じぐらい無謀である。


もう何をやってもダメ!回りすべてからロン!学芸会で馬の足役!剣道部のお面装備!

それぐらいの絶望である。


つまり絶望に絶望をかけて絶望である。



「……はぁ」


ため息もつきたくなる。

今まで修行とはいえ服はあったし靴、食料に水ぐらいは持たせてくれていた。

それぐらいならまだ生きていけるとは思ったがこの状態はまじでやばい。


それに加えて女体化という意味不明状態である。


肉体的にはまだ大丈夫でも精神的にKOされてしまい、自分は膝をかかえて体育座りで木にもたれ掛かってしまった。

……全裸で。


もうお尻に土や葉っぱが付こうが知っちゃこっちゃねぇ!という心境である。


それがプラスに動こうなんて思えるはずがなかった。


「…ん?」


木にもたれかかったときに、心に何かが響いてくる感じがあった。


どう表現すればいいか…、木の気持ちというかなんというか、そういうのが流れ込んでくる感覚である。


自分が持たれた木を見上げてみると、風に吹かれたのかザザ……、ザザ……と音を鳴らしている。

なんというか木に励まされている感じである。


「……?」

と、不思議に思いながら木に手を当てつつ立ち上がり、木を見上げていると

木の枝の一部がゆっくりと音を立てながら下りてきて自分の頭を撫でてくれた。


うん、何を言ってるのかわからないと思うが枝の一部で器用に頭を撫でられているのである。


何ともメルヘンな状態でポカーンと


全裸で木々に撫でられる女子。

…ありだな。


などという分けの分からない考えが頭に思い浮かぶが

そんな心情は知らん!慰めてやろう!という感じで器用に頭を撫でられる自分。


そしてしばらく撫でられた後、頭を撫でていた枝が自分の目の前に下りてき、少し発光したかと思うと


そこに真っ赤な木の実ができた。


ポン!といい音が出そうなほど唐突に現れたそれに目を見開くが、木に触れている手からは

{食べなはれ。食べなはれ。}と、田舎のおばあちゃんのような感情が流れ込んでくる。


「…いいの?」

と、自分の声とは全く思えない声を聞きながら、誰に断るでもなく木に向けていうと

{OK}というおばあちゃんなのか、外人なのかよくわからない返事が返ってきた。


とりあえず、真っ赤な木のリンゴみたいなものを手に取ると、目の前にあった枝はゆっくり元の位置に戻っていった。


ふむ。なにはともあれ食料をもらえたみたいだが、もうどうにでもな~れという気持ちが強いので

その木の実を一口食べてみた。


「おいしい…」

味っ○みたいに口から光は出なかったが、起きてから水も何も取っていない状態でこの木の実はうまかった。

スーパーなどの果物と比べてみずみずしさが違うし、なおかつとても甘く体に力がみなぎるようだった。

味は見た目と似た感じでリンゴのような味だが、みずみずしさは梨のような新しい食感だった。


そのあとは貪る様に食べてあっという間に芯しか残らなかったが、体からは力がみなぎる感じであり

さきほどまでの絶望感を吹き飛ばしてくれた。


「ごちそうさま。それとありがとう」

と木に感謝を伝えると{かまへん、かまへん}とどこぞ芸人風に返ってきた。


それに苦笑しつつ、木を撫でるとこちらから何かが木に流れるような感覚と

木からこちらに流れるような感覚があった。

不思議な感じだが、嫌悪感などなく暖かい感じが胸に流れ込んでくるので

喜んでくれているだろうと思うことにした。


しばらく木を撫でていたが、はっと、結局状況は変わってないじゃない…という思いがわき

「はぁ…」とため息をついてしまった。


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