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16~講義

本日更新分になります。

晴れてリンちゃんという仲間も加わったところで、改めて辺りを探ってみるか。



「よいしょ」、と小さく声に出しながら身を起こし周りに目をやる。

リンちゃんはこちらをジト目で見つめながら頭の上に?マークが浮かんでいる。



「ちょっと周りを調べてみるね。」



そうリンちゃんに声をかけて、すぐ近くの壁に触れながら隙間など無いか調べてみる。石も含まれているようだが、大部分は土で作られているのか、触ると砂が手に付いた。

右手を壁にあてつつ歩いて、所々でノックし、空間などが無いかも確認してみる。


数分ほど歩き、半分ほど部屋を回ってみたが最初見つけた以上の物は何も見つからず、隠し部屋などもなさそうであった。

そのままさらに壁伝いを歩いていると足先に何かがこつんと当たり、下を見てみると何でできているのか分からない、小さな塊が落ちていた


トイレを探してたときに見つけた謎の物体である。


そういえばこれは何なんだろうと、手に取ってみる。

500mlペットボトルみたいな縦に長い長方形で、長方形の中に黒っぽい緑色のクリスタルが入っており、周りは濁った水晶っぽいので覆われていた。

大きさも500mlペットボトルぐらいで手に収まるサイズであり、重さもさほど変わらないだろう、片手で持てる重さである。



ふむ、なんだろうかこれは?


とりあえず、少し振ったり軽く叩いたりしてみる。

コンコンといい音が鳴るだけで特に光り出したりはしないみたいだった。


いろいろな角度から見ても特に変わったところは無く、何に使うのかすら分からない物体だった。


あ、せっかくだしリンちゃんに聞いてみよう。

そう思いリンちゃんの方を見ると、先ほどと変わらず膝を抱えて地面を見つめ、指で地面の硬い砂を弄っていた。



…一緒に回ればよかったか。

そうは思ったが、元より人付き合いが苦手だし、うまく会話を振れる自信もないし…


むーんと悩みながらリンちゃんのところに歩いていく。



その気配に気づいたのか、地面からこちらに視線を移してくれて、こちらをじっと見つつ、首をこてんと傾げた。



「何か見つかったの?」



そう言葉をかけられて、先ほど拾った長方形の物を見せてみる。



「これが落ちてたんだけど、リンちゃんこれが何か分かる?」



と聞いてみると、長方形のものを一瞥した後、すぐにこちらに視線を向けて



「お姉ちゃん、魔道具を知らないの?」



と言われた。



「マドウグ?」



若干片言になりながら答えてみたがリンちゃんからは



「魔道具。」と普通に返されてしまった。



ふむ。魔道具…。


ゲームとかでよく出てくる魔法の力がこめられた道具…とかでいいのかね。


ええい、聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥だ!



「ごめん、何なのかわかんない。」



と正直に答えた。

するとリンちゃんは少し難しい顔をした後、おずおずといった感じで



「お姉ちゃんって…、もしかして記憶喪失?」



と言われてしまった。


確かに名前を忘れている時点で色々記憶は終わっているのかもしれない。

しかし、他の日本の出来事、思い出や親の名前などはすんなりと出ては来るのだが…



いや……、親の苗字も分からないな…。


……。これは自分の名前に関係してるから記憶が消えているのか…?

今できる限り自分の身の回りの思い出せることを考えてみると


住所、家族構成、年齢、携帯の電話番号…ここらへんはすんなりと出てきた。



……やはり名前だけ記憶が消えている。


と、色々と深く考えてしまい少し眉間に皺がよっていたのか、リンちゃんが泣きそうな顔をしながら



「…お姉ちゃん、ごめんなさい…。」



と言葉をかけられて はっ っと現実に帰ってきた。

こちらも慌てて返事を返す。



「いや!リンちゃんが悪いとかじゃなくてね…。今改めて記憶を思い出そうとしていたんだけど…、どうやらリンちゃんが言うみたいに記憶喪失…、みたいかな…。」



と答えることにした。

日本の記憶は持ってはいるが、ここは日本ではないし、……認めたくは無いが外国でもないのであろう。


…異世界ならこちらの記憶は役に立たないだろうし、何よりこの世界の常識が抜けている。いちいち異世界から来た!と言うより、記憶喪失で通したほうが話も早く通りそうだしね。


よし、今から記憶喪失キャラで通そう。

と、リンちゃんの様子を見てみると、こちらを悲しそうな瞳で見つめていた…。


うっ…、その視線はやめてほしい…。昔の母親の事件を思い出してしまう…。


空気が重くなってしまったので、それを払拭するためにも少し明るい声を意識しつつ



「ま…、まぁ!、記憶は今更どうしようもないしっ!そ、それより、リンちゃん先生!、魔道具っていったいなんなの?」



と、若干強引に空気を変えながら聞きなおしてみた。


その言葉を受けてリンちゃんも意図を察したのだろう。

一度頭をふるふると振るい、いつものジト目顔になり、さらに少しドヤ顔をしながら



「分かりました。リン先生がお教えします。」



と答えてくれた。

ほっ、と一息つきつつ先生のお教えを聞くことにしよう。



「魔道具とはですね、簡単に言ってしまうと魔法が使えなくても、魔法を使うことができる物です。昔は今より種族間の戦争などが多くてですね、それに伴って魔法が使えないもの、使えるものでもマナを消費せずに発動ができるものとして、普及されたのが始まりらしいです。」



「魔法…。」



「はい、魔法です。…お姉ちゃん、魔法の事も覚えてない?」



「…残念ながら。」



「ん。分かりました。魔法とはですね、五元素を司り、術者のマナを媒体として術式を完成させることを言います。元素はそれぞれ、火、水、風、土、木、この五つになります。その上位として光、闇、魔法とは少し異なりますが精霊、死霊があります。

これらの元素をどのように使いたいか、どのような効果にするかを術式として作り、そこに自分のマナを流し込めば魔法が発動されます。これが一般的に魔法とは、で説明されています。…ここまでお姉ちゃん分かる?」



……ふむ。



「……。つまり、不思議パワー?」



「………。」



「あぁっ!ジト目で睨まないでっ!」



「睨んでないです。もともとの目付きです。……はぁ、お姉ちゃんもエルフなんだから、体にはマナが流れていると思うよ?」



「えっ!、じゃあ自分も頑張れば魔法がつかえるって事?」



「はい、エルフは他種よりマナが多いことで有名ですから。私も魔法使えますよ?」



「えぇ!? リンちゃん魔法使えるの!? 見せて見せて!!」



「………。」



「…?、どうしたの、リンちゃん?」



「お姉ちゃん…、奴隷の首輪の事も忘れてるんですね?」



首輪…?


あっ、と思い首に手を伸ばす。


冷たく、鉄か何かで作られてるような感じだ。

首輪を触っているとリンちゃんが続けて説明してくれる。



「奴隷の首輪はですね、設定者、それらを含む種族に対して攻撃的行動ができなくなり、設定者の命令に強制的に従わされる呪いが掛けられています。もちろん勝手に外したりもできないです。

さらにですね、自ら魔法なども使えないように、体からマナを出せない仕掛けも施されていていますね。この首輪も魔道具の一種です。…なので、今私は魔法使うことができないんです。」



「ふむ、なるほど。」



つまり、首輪を外さないと身を守ったりできない上に、さらに強制的にこちらの行動も操れると…。



……ん?



「えっと…、リンちゃん。」



「なんです?」



「首輪が外れないと…、つまり盗賊を攻撃できないって事?」



「そうですよ?」



「え?」



「…?、攻撃できないですよ?」



「えっと…、それじゃあどう逃げれば…。」



「え?」



「え?」



「……、お姉ちゃん…。何か考えがあるんじゃ…。」



「………。」



「………。」



徐々にリンちゃんの目付きが鋭くなっていく。



「そんなに睨まないでっ!ちゃ、ちゃんと策考えるから…。」



「………。」



リンちゃんからの信頼度がガリガリ減っている気がする…。

急いで策を考えなくては…。



しかし、そうそう事態が待ってくれる訳でもなく…



ガチャっと言う音共に、部屋の中の唯一の扉が開かれた。


びくっと、音に驚きながらそちらに二人で視線を向けると



盗賊風の格好をした男が二人、ランタンを片手に持ってこちらをニヤニヤとした下卑た表情で見ていた…。





ざんねん!!わたしの ぼうけんは これで おわってしまった!!




やっと魔法の説明ができました。

この考えにそって魔法を使っていく予定ですが

何分文章が行き当たりばったりなのでおかしいところがあるかもしれません。


これおかしくね?と思っても生暖かい目でスルーしていただけると幸いです。



読んでいただきありがとうございます。


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