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14~状況

遅くなりましたが本日更新分です。

色々と手伝ってもらい、何とか壷から降りれる状態になったが、精神的ダメージはひどかった。

日本の個室トイレの大事さと凄さが改めて分かった気がする…。



体が冷えたりしたわけではないが、謎の物体の近くに置いてある襤褸切れを拾い、お互いマントのように羽織った。


リンちゃんは最初別にこのままでいいと言っていたのだが、元男の自分としては全裸はさすがに目のやり場に困るので、何とか説得し着てもらえた。


その時に改めてリンちゃんの全体像が見れたのだが、年齢は大体小学校高学年ぐらいの見た目で、自分より背は低く体系はスラッとした感じで、肌も白く美人というよりかわいらしい感じであった。

今はかわいらしい雰囲気が多く表にでているが、このまま成長すれば日本のアイドルなど目じゃないほどに美人になるのも間違いないだろう。


その時にふと思ったのだが、とくに煩悩が沸いてくることも無く平然とできている自分に気づいた。


森で目覚めたときも少し思ったことなのだが、それは自分の体だからだろうと思うことにしていたのだが、他の人の裸を見ても何も思わないということは、

よくいう精神が肉体に引っ張られるというやつなのだろうか。


まぁ今深く考えても仕方が無いことなので、心のメモ帳にメモだけして引き出しにしまっておこう。



とりあえず肌も隠せたし、しばらく心の中で深呼吸を続けていると話せるぐらいには精神も回復したので、お互い壁に背を預けて地面に座った。



座ったあとしばらく沈黙が続いたが、その間に色々と聞きたいことを整理し、ゆっくりと話を切り出していった。



「…えっと、リンちゃん、改めて色々と聞いて良いかな?」



確認の意味も含めてそう聞いてみると、リンちゃんはこちらに視線をやり、こくりと頷いてくれた。



「それじゃあまず…、この会話なんだけど、何で言葉が通じるのかリンちゃんは分かる?」



そう聞いてみた。とにもかくにもまずそこからだろう。

リンちゃんはすぐさまこくりと頷き、何で分かるのか理由を教えてくれた。



「お姉ちゃんがエルフだから。」



………


…ふむ?



自分がエルフだから分かる。

…どういうことだろうか?



こちらが分からないことを悟ったのであろう。リンちゃんは続きの言葉を口にしてくれた。



「お姉ちゃんは、私と同じエルフだから言葉が通じるんだよ。」


………。

…ふむ。ということは



「エルフ同士だと会話が通じるってこと?」



そう聞いてみると、リンちゃんはこくりと頷いてくれた。



なるほど。

根本的なことはさっぱり分からないが、つまりはエルフ同士なら言語が違っても相手と会話ができるのであろう。

盗賊っぽいのと会話ができなかったのは種族が違ったから翻訳されなかったとかなのだろうか。

このことも調べていかないとダメだなと、心のメモ帳に書き込んでおいた。



と、首をふんふんと動かしていると、今度はリンちゃんから質問が飛んできた。



「お姉ちゃん。名前はなんていうの?」



あ、いっけね。

リンちゃんには聞いといて自分が名乗っていなかった。



「あ、ごめんね。こっちが名乗ってもいないに名前を聞いて。えっと自分の名前は…」



………。

……あれ?



「自分の……、名前は…。」



……ん?

どういうことだ?



自分の名前が一向に思い出せない。


そのことに困惑しフリーズしていると、リンちゃんが首をこてんと傾けながら言葉をかけてくれた。



「お姉ちゃん、名前が無いの?」


「いや…、えっと…、名前はあるんだけど……。」


「思い出せないの?」


「………。」



その言葉に返事は返せなかった。

するとリンちゃんは悲しそうな顔をして、顔を俯けた後小さくごめんなさい…と呟いた。



「いや、リンちゃんのせいじゃないからね!、自分も色々とあってまだ混乱しているのかな。もうちょっと落ち着いたらきっと思い出すだろうから気にしないで! ね?」



そう答えると、リンちゃんは顔を上げて小さくこくんと頷いてくれた。


ふぅ。とりあえず何とかなったかな。


それにしても、名前が分からない…か。


自分でも言ったが混乱などしているせいなのかな…。

まぁとりあえずこのことも心の隅に置いておこう。

時間は有限だし、やっと話せる子に出会えたのだ。色々情報がほしい。



「えっと…、じゃあまた聞きたいんだけど、ここってどこだか分かる?」



そう、牢屋だとは思うのだが、確証が無いので一応リンちゃんにも聞いてみることにした。

リンちゃんは顔を少し俯けた後



「…盗賊たちの牢屋。…多分奴隷商人に売られる。…そういう話をここに連れてこられるときに聞いた。」



そう答えてくれた後、最初見た頃のような濁った瞳になり俯いたままになってしまった。

先ほどまでの自分ならフォローを入れれたのだろうが、色々聞いてはいけない言葉が聞こえてしまい自分もフリーズを起こしてしまった。



奴隷……。


昔は日本でも奴隷制があったらしいが、今では全面的に禁止されていて言葉自体そうそう聞かないものである。

……最初から分かっていたことだが、やはりここは日本ではないのだろう。


木が勝手に動いたり、自分がエルフや女体化になっていたり、はたまた盗賊(はれて っぽい が取れた)と戦ったり…。

要素としてはたくさんあった訳ではあるが、どこか他人事。そのように考えないと判断ができなかったのもあるが…。


そういった感じで後回し後回しにしていたのだが、先ほどの奴隷商人という、危機的な言葉をリンちゃんから聞いたのが決め手になってしまった。


…やはり自分もいっぱいいっぱいであったんだろう。


他にも色々と聞きたいことは山ほどあるのだが、言葉は全く出てこず、お互いに何も会話が無いまま時間だけが過ぎていった…。


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