もう、くだらない遊びはやめようじゃないか。
僕らのクラスではいまだに「いじめ」というものが流行っていた。
と、いうか習慣。伝統。それが普通。
世の中の小・中学校じゃぁこんなことしてないよな、と僕はいつも思う。
小さい人間が多いんだ、僕の学校は。
そう、
僕も含めて――――。
その日は、いつものごとく小林颯がターゲットだった。
5年2組になった4月から今日、7月までずっとだ。
まぁもうすぐ夏休みに入って小林颯の時代は終わるんだろうが。
次のターゲットはたぶん、智史だ。
智史とは2年のころからの仲良し。
おとなしい性格だ。趣味は漫画を書くこと。
「あ、拓哉、おはようっ!」
教室に入ると智史が元気よくあいさつしてきた。
「おはよう、智史。…あれ、また漫画?今度は何の話だい」
手を真っ黒にして智史は漫画を書いていた。
いつものことだ。
「今度は、中学生がどんどん事件を解決していく話だよ。大人も顔負けなんだぜ」
「へぇ」
俺は智史が書く漫画をいつも読んでいた。
そしてその才能は十分にすごいものだと思っていた。
たぶんそこらへんの漫画家より上手だろう。
でもまだ小学生だから話がまとまっていないのは事実。
「おいてめぇらっ」
一気に教室に緊張感が走る。
もちろん、「いじめ」の頭、須藤敦志が入ってきたからだ。
小林颯は「ひっ」と言って顔を真っ青にしている。
その間にも敦史がニタニタしながら小林颯によって行く。
後ろから敦史の子分の明と武もついて行った。
そしていつもの「行為」が始まった。
俺らは、見ないふり。
そして終盤にかかると敦史は言うんだ。
「次はてめぇらだぞ」と。