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勇者の手記-冒頭-
どこまでも、どこまでも澱んだ闇の中
彼らは生きている
どこまでも、どこまでも眩しい光の中
私達は生きている
光と闇は共にあり、決して相容れない
私は、闇を滅し光で生きる
『勇者』である
相容れない二つの世界で私は生きている
そこに壁はなく、変わりもしない
なぜ光と闇は争うのだろうか
それを私は知りたかった
愚かな考えを携え、闇の者に助力を申し出た
すぐさま否定の言葉、暴力そして私の抵抗
そう、私は幼かった
まだ十にも満たない年
私は初めて闇を滅した
成人した途端『勇者』の称号が与えられ、富と名声を得た
愚かな考えだとはわかっている
相容れるなどとは考えるつもりもなかった
だけど私は今日出会ったこの人に惹かれている
たとえそれが『魔王』だとしても