かんちがい悪魔といじわる天使(3)
[A○]悪魔くんのターン
[T○]天使ちゃんのターン
[A3]
僕は地上に着いたときこのにごった空気を心地いいと感じていた
欲望にまみれたこの世界、その中にごくわずかに混ざっている清らかな魂
天界より魔界より地獄より天獄より
地上界がもっとも僕のいる世界だと思えたんだ
僕は感動のあまり涙を流してしまった
ふと視線を感じると、そこには天使がいた
もちろん彼女は人間で、だけど混沌の中に清らかな心が混じっていた
この世界を表現したような人間
僕は唐突に奇視感を覚えた
まるで、前にもこんなことが・・・
「大丈夫?つらそうよ」
そんな鈴が鳴ったような声に僕の心は鷲掴みにされたんだ
大ッ嫌いな人間に、愛憎をこめた笑顔で答える
「大丈夫、平気だよ・・・」と
[T3]
私は彼を見つけるなりいてもたってもいられず具合が悪い振りをして抜け出してきた
彼は私を振り返ると一瞬だけ顔がこわばった
涙を流しながら私を見る目は昔のあの頃のままで
まるでいまの私を見て昔の私を思い出そうとしているみたいで
だからもう一度言ったの、「大丈夫?つらそうよ」って
彼は変わったわ
あの時は無邪気な笑顔で「大丈夫だよ!」って
だけどいまの瞳には怒りが隠れていて
それでも私に笑いかけてくれて
「大丈夫、平気だよ・・・」
私はそんな彼をとてもとてもいとおしく思ったの
同時に決心したわ、あらゆる障害から絶対に彼を守ってあげるって