【第三章 - 11】魔石から創られた魔法陣
次の瞬間、甘猫達の周りに淡い光が漂う。それがぱっと光った瞬間、目の前に現れたのは馬車の多い商店街。
どうやら、転移した先はデゼルダの貿易エリアだったらしい。
「『虹色の剣士』様、このままだとすぐにバレてしまいます」
少女は淡々とした声でそう言う。
それに対して、れいりはその理由をあまり理解しきれていなかった。
「デゼルダはセイシスト教会ではない独自の宗派を抱えていますが、常駐している衛兵はどれもセイシスト教会が保有している聖騎士です。バレるのは、時間の問題。今すぐ、ルミナスタウンに戻るべきだと思います」
「でも、アフダルは?」
「結構です。あの子なら問題ありません。それよりも、僕が死んでしまったほうが悲しむでしょう」
* * *
ーーそれかられいりは後ろに少女を乗せ、甘猫はその隣を箒で飛び……結局マジカルタウンに着いたのはお昼過ぎのことだった。
前と同じく中央の広場に降り立つと、少女はすぐに歩き出した。
「ねぇ、どこに行くの?」
「ここの裏通に魔法店があります。そこへ行きましょう」
少女に言われた通りに付いて行った先には確かに、魔法店があった。
その扉を開けると、中に居た人が元気良く言う。
「あ、いつもの子だ!」
メガネをかけた茶髪のお姉さんは、少女に近づく。
「お久しぶりだね……、最近はどう?お父さんとお母さんは元気?」
「まぁ、どうもこうもないですよ……」
「あ、新しいお客さん連れて……って『虹色の剣士』様!?」
驚きのあまり彼女は一歩下がる。
「なんで、こんな貧乏な店に『虹色の剣士』様を連れてくるの!もっと良い店あったじゃん」
彼女は少女だけに聞こえるように言ったつもりだったのだろうが、内容はばればれだった。
「別に……、それよりルミナスタウンへの転移魔法を準備してください」
「え、ルミナスタウン?相当割高になっちゃうけど」
「大丈夫です『虹色の剣士』様なら払えますよ」
「あれ、そっちが払うの?なら、無料に……」
少し、躊躇いつつも彼女は言った。その気遣いは嬉しかったのだが、どう考えても赤字ではないか。
「全然払いますよ」
笑ってれいりは言う。
何せ、エリーナが払ってくれるのだから、これぞお金の余裕は心の余裕というわけだ。
彼女は店の奥から魔石の詰まった小瓶を持ってきてそれを床に並べ始めた。
すると、どういう技術なのかは知らないが、魔石の中心に魔法陣が描かれ始め、その内容は確かにルミナスタウンに行けるほどの魔力を為込められるものだった。
「で、お会計は金貨7枚になります」
甘猫が金貨7枚を差し出すと、彼女は涙目で、安堵したように笑ってこう言った。
「良かった〜、今月の家賃は滞納にならなそうだ……」
「それではこの魔法陣に乗れば後は、私が魔力を流し込むだけで、ルミナスタウンに着きますので」
言われるがまま、三人は魔法陣の上に乗る。
そして、魔力を流し込むと、彼女は微笑みながらこう言った。
「それでは、又のご利用を……」
次、目の前に現れたのは間違いなくいつもの街。ルミナスタウンの広場であった。
あれが結局どういった技術だったのかは分からなかった。
そんなことより、安心感がれいりの胸に一気に押し寄せる。まさに、長旅から家に帰ってきた時の感覚である。
「ここが、ルミナスタウンですか……。やはり、宮殿があるだけあって、すごく大きな街ですね」
と、少女は感想を述べた。




